ISO成功法

ISOと継続的改善を両立させよう。ISOは継続的改善のための、基盤整備に役立つ。基盤整備と継続的改善のコツを整理したい。

マネジメントの半分

2009-04-09 | ISO外論
マネジメントという概念は人間の文明と共にあったが産業の発展、拡大によってその必要性が認識されるようになった。

テーラーの科学的管理法や時間研究、動作研究が生まれたのは、1900年になってからのことである。大量生産、ベルトコンベアと結びついて、人間性を無視した行き過ぎもあって、その反省から組織論や動機付けの理論が生まれた。
便利なものは何にも使われるのは、おさえられないことでマネジメントは戦時研究に使われオペレーショナルリサーチ:ORや多くの情報技術など勝利のための戦略技術も生まれた。
徹底的にそれが使われ戦争で再起不能と思われるほどの破壊を受けたのは日本であるが、その日本で奇跡といわれる産業の復興の役に立ったのもマネジメントである。

狂気の戦争から目がさめ、日本人の心がもどった。
というのは見方が甘いだろうか。

「日本にできてなぜアメリカに」などという日本における品質管理の発展のドキュメント番組がアメリカで作られアメリカ人を奮起させた。
自動車に代表されるジャパンバッシングはマイナス面の動きであるが、プラス面の動きとして日本高度成長の秘密の調査もおこなわれた。
その結果を一つの形としてまとめたものが、品質マネジメントシステムとしてのISO9001である。

ISOがマネジメントをシステムとしてまとめたことは革新的なことでありマネジメントの歴史の新しいページを開いたことになるが、日本高度成長の秘密の半分をコピーしたことに過ぎない。
日本はアメリカから品質管理を学んだがその推進や実践面で「改善」という活動を徹底したため高度成長をはたした。海外、特にアメリカやイギリスからの度重なる調査をもってしても、実践的活動まではシステムに反映できなかった様である。
ところが歴史の皮肉というか、この「半分のコピー」が日本で普及しすぎたため、残りの半分の実践的活動が忘れられてしまった。

いまの日本で起きている品質不良は「半分のコピー」でこと足れりとするシステム指向、普遍性指向が生んだものと思う。
効率的マネジメントに重点指向は大切であるが、総合的人間やその集団である組織の半分を切り取るような重点指向は明らかに誤りである。

ISOで要求するマネジメントシステムは、
① 顧客の要求を満たすことを前提に品質方針を設定し、
② その実現のために経営資源を投入し
③ 製品開発から生産、販売、サービスのプロセスを整備し
④ それら全てのプロセスにおける継続的改善を実施するための測定、解析、改善、管理をおこなうことである。

ISOでは①から③は、文書化されたシステムを作成しそれを実行する。
多くの場合、ISO規格をお手本にした文書を作成する。
なかには、理想的過ぎて現実に即さないシステムを作ることに注意が必要である。
これがPDCAのPとDである。

つぎに、現状把握をして問題点を改善しながらシステムの継続的改善を繰り返す。
PDCAのCとAにあたる。
本来、現状把握して問題点の改善を行うのが、品質管理の常套手段である。
品質管理はCAPDと考えればよいのだが、品質管理の基本が理解できてないために、過剰なシステムを作りがちである。

そのような過剰な文書やシステムを総点検するのも、ISO規格の8章の目的であるが、内部監査などでより細部にわたる過剰なシステムをつくりがちである。このようなことがないように基本を理解しよう。システムは頭で作れるが、実践的活動は組織でおこなう。誰もが理解できること、そのなかで実践できることのみを選択すべきである。
品質管理の原則は、目的指向、問題指向、重点指向であることを忘れてはならない。

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