ISO成功法

ISOと継続的改善を両立させよう。ISOは継続的改善のための、基盤整備に役立つ。基盤整備と継続的改善のコツを整理したい。

継続的改善とISOと

2009-01-24 | ISO外論
日本の品質管理の発展に大きな貢献をしたデミング賞は、品質管理の実施で成果をあげると同時に、品質管理の発展に貢献する特色ある活動を実施したことも受賞の条件になる。成果という結果だけでなく、成果を上げるまでのプロセスや手法、ツールなども評価の対象になる。これを「光りもの」とよび、審査の席で企業側から説明がある。方針管理、品質保証体系、QC工程図、管理項目一覧表、品質表、QA表、品質機能展開など多くの管理技術やツールは、「光りもの」として開発されたものである。この「光りもの」は、成功事例を積み上げて、成果を継続するため、標準やシステムとして残る。継続的改善とはそのような全体を言う。まずシステムを作るというISOのアプローチでは、組織の特色、管理の必要性などの分析が不十分なため、その組織にあった「光りもの」は出来にくい。
一企業の成果よりも、標準化をねらうISOはそれでいいかもしれない。

最近、品質や安全に関する事故が増えている。継続的改善という地道な活動を忘れ、短絡的に成果を求めすぎるからだろうか。
継続的改善は「飽くなき品質の追求」といわれるように、時に不合理と思えるほどの品質へのこだわりが基本にある。日本の伝統ある、ものづくりの職人芸が品質管理と融合したものが継続的改善である。

時の流れと人の考えが品質管理にも影響する。「安かろう悪かろう」といわれ輸出先から返品の山ができた時代には、危機意識と反省を基にした歯を喰いしばるほどの改善に対する取り組みがあった。恵まれた今の時代の人に昔の危機意識を要求するには無理がある。

以前のような成果が期待できないときには、「結果のみでなくプロセスも」重視すべきである。いまのような時代、経営者の忍耐力と先を見据えた基盤整備に対する地道な努力が必要である。チャンス到来の時、獲物に飛びつく貯えが必要である。
「飽くなき品質の追求」やプロセスから「光りもの」を作りだす企業は創造的で
継続性のある目標を持ち続けられる優秀な企業である。

中国には、古いものと新しいものを融合させる「与古為新」、古きにあずかり新しきを為す、という言葉がある。また、日本にも、そのような精神を活かす「師の跡を求めず、師の求めたるところを求めよ」という弘法大師の言葉がある。この言葉は、芭蕉が旅を終え弟子達と別れるとき弟子達に与えた言葉だそうである。
さて、いまこそ、日本が一番元気だったときの成果とその時代の先輩たちの「求めたるところ」と新しいものの融合をしつつ現状打破すべき時である。そのための方法を検討し読者の方々と共有したいと思う。

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