晴耕雨読とか

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美しい森

2009年09月09日 | 
先日行った尾鷲では、今や日本を代表する林業地を見てきたのですが、それはそれはすごい森でした。

尾鷲ヒノキの人工林なのですが、さすがに江戸時代から続く林業地だけあって、段違いのすごさです。


豊富な林床植物。多様な亜高木層の広葉樹。


身の丈近いシダの海。


林床をうろつくアカガエル。ヒノキ林でカエルですよ!?

先代の8代目から、積極的に広葉樹を残し、結果的に生物多様性の高いヒノキの人工林を作り上げてきた森です。

先代が書いた『美しい森を作る』(速水勉/(株)日本林業調査会)という本があるのですが、これを開くと、まず1900年代前半のドイツの林業家アルフレート・メーラーの言葉が記されています。

曰く「最も美しい森林は、また最も収益多き森林…」。

アルフレート・メーラー。彼の『恒続林思想』(山畑一善訳/都市文化社)という本はいまでも森を学ぶ人に読んで欲しい名著です(Amazonでも売ってないのはどういうことなんだろう、、、。ま、超が付くマイナー本なんですね)。

久しぶりに本棚から出して読み返しています。内容は難解ではないのですが、日本語が難解というか、古くて読みにくいのが難点ですが、いやいややっぱり今でも通用するすごい本です。

皆伐をいっさい否定して、「ダーウィンの『種の起源』を、根本的に研究する作業の必要性」を謳い、森をひとつの生命体として捉え、それを林業という産業に明確に落とし込んだものです。

ダーウィンといっても“進化”というよりは“生存競争”…というか、生物同士とか生物と環境の相互作用に対する視点のことですかね。

メーラーは、森を、いまでいう複雑系として森を捉えているように思います。「われわれは、われわれが直接追求する目的のほかに、その結果については全く見極めのつかない、そして厳密な観察によって苦心して、しかも部分的にのみ、徐々に知り得るに過ぎない他の無数の副作用を同時誘発することなくして、森林を手に入れることは不可能である。」。

ああ、読みづらっ! でも、21世紀もすぎすぎの、生物多様性が声高に叫ばれる今こそ、この視点、自然に対する謙虚さがきわめて重要だと思います。

いや~、、、、この項、つづく。

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