二銭銅貨

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ばらの騎士/MET10-11舞台撮影

2011-03-26 | オペラ
ばらの騎士/MET10-11舞台撮影

作曲:R.シュトラウス
演出:ヘルベルト・ヴェルニッケ
指揮:クリスティアン・ティーレマン
出演:元帥夫人:ルネ・フレミング、
   オクタビアン:ゾフィー・コッホ
   ゾフィー:ディアナ・ダムラウ
   オックス男爵:フランツ・ハヴラタ

真っ赤なバラ、生きたバラを
銀のバラから持ち替えて、
ゾフィーとオクタビアンは幸せそうに寝転んでいる。
木立に囲まれ、
落ち葉に覆われ、
道は遠く長く続いている。

マリーテレーズまたはマルシャリン、
あるいは元レジの心の中は複雑。
恐れ、やすらぎ、嫉妬、喜び、あきらめ、
希望、悲しみ、自信、絶望、祈り。
いろいろな気持ちがまざりあって、
オーケストラのよう。

理性がそんないろいろな気持ちを押さえ付け、
落ち着きが心を支配して、
冷静さを装う。それでも、
一瞬でも気が緩めば、底からあらゆる感情が噴出して、
号泣してしまうかも知れない。
揺らぐ心を押さえつけ、しっかり押さえつけ、
そして涙も拭かずに、
ハンカチを地面に落とすと1人馬車で走り去る。

フレミングは美しく突き抜けるようなソプラノ。ダムラウは強靭だけれども年若いゾフィーを良く演じていてそれらしかった。活発でやんちゃな小娘の印象。コッホは誠実な青年で声が美しい。男装してもちょこっと女性的な感じだったが、女装した時の方が少年らしく見えた。この3人の最後の三重唱は演奏ともあいまってエネルギーが高かった。引き続く二重唱も美しいアンサブルだった。ハヴラタも大活躍。抑え気味の芝居できびきびとした印象だった。カウフマンがイタリア人歌手役でちょっと出演、代役だったらしい。

美術はハーフミラーの下に絵を張った大きな縦長の板のようなものを何枚も背景に使っていた。この光沢のある背景画が美しく、時々人の出入りの時に回転する。ちょっと角度が変わると絵が消えるし、そもそも絵が常に揺らいでもいる。うつろいやすい男女の恋のイメージなのだろうか。白が主体の衣装も美しく、特に2幕のゾフィーのドレスが豪華絢爛だった。これを着てピョンピョン飛び跳ねるゾフィーの仕草が可愛らしかった。演出は繊細で丁寧。輝くシュトラウスの音楽にぴったりだった。

11.03.06 109シネマズ川崎


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