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サロメ/東京文化会館(二期会)2011

2011-03-21 | オペラ
サロメ/東京文化会館(二期会)2011

作曲:R.シュトラウス、演出:ペーター・コンヴィチュニー
指揮:シュテファン・ゾルテス、演奏:東京都交響楽団
出演:サロメ:大隅智佳子、ヨカナーン:友清崇
   ヘロデ:片寄純也、ヘロディアス:山下牧子
   ヘロディアスの小姓:田村由貴絵、ナラボート:大川信之

現代の退廃した風俗を過激に表現し読み替えた激しい演出で、演劇性の強い舞台だった。シュトラウスの美しい音楽とは調和しない殺伐とした、とげとげしいリズムで、歌や演奏を楽しむスタイルの演出ではなかった。ただ最後のサロメのアリアの所は歌手の芝居も少なくなって歌に集中できた故か、ソプラノの歌声が演奏の音色に良く溶け込んで美しいアリアとなっていた。またハッピーエンドな演出もその音楽に良く合っていた。オリジナルは悲劇だけれども、その音楽が実はハッピーエンドに良く似合うというのは興味深かった。

歌手の皆さんも芝居が沢山あって大変そうだったが、それぞれが普通の舞台俳優のように頑張っていた。その故なのか、歌にちょっと迫力が無いと感じたが、7つのベールの踊りあたりから全体的に迫力が出て来たように思う。

7つのベールの踊りの後半で、登場人物が壁に描いたドアから必死に逃げようとする。退廃から逃れ出ようとして逃れられない人々、何処でもドアのように描かれた複数のドアの寂しそうな線画が印象的だった。

舞台中央に置かれた長い食卓に登場人物が並んで座るという構図がダビンチの最後の晩餐のような印象の舞台美術だった。場の設定は核戦争後の核シェルターという事だったらしい。

11.02.26 東京文化会館


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