二銭銅貨

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10地方公演10月/仮名手本忠臣蔵、釣女/文楽

2010-10-16 | 歌舞伎・文楽
10地方公演10月/仮名手本忠臣蔵、釣女/文楽

昼の部

開演前の解説:幸助

仮名手本忠臣蔵
5段目(二つ玉の段)
6段目(身売りの段、早野勘平腹切の段)

「与市兵衛が女房」を遣う勘壽のばあさんが良い。勘平の髻(もとどり:髪を頭上で束ねたところ、たぶさ)を掴んで、ぐいと引き寄せ小判の包みをもって頭を打擲(ちょうちゃく)する。容赦が無く涙ぐましい。じっとそれをこらえて耐える勘平は、顔色が無い。婆さんのかなきり声が場内を切り裂く。

それにしても慌てものの婆さん、もうちょっと落ち着けと言いたくなる。早まったり早野勘平ではなくて、早まったり与市兵衛が女房と言うところ。でも、このシチュエーションで早まるなという方が無理かも知れない。とにかくこの婆さんが劇中で一番可哀相な役回りだ。怒りの涙、悲しみの涙、どんだけ涙があっても足りない役だ。

勘平が玉女。いくぶん猫背で、うつむき加減なのが玉女の人形の特徴だが、こうした悩める男子役は良く合っている。じっと静止して動かず、状況の厳しさにじっと耐えている様子は、まじめで必死な勘平が良く表れている。凛々しかった。

玉佳の一文字屋才兵衛も憎たらしいところをちょっと出して、きりきりとした活気があり、愉快で良かった。途中、玉佳が舞台下駄を踏みはずしたらしい部分があったが大過はなかった。

最後の段は清治の三味線。強くはぎれが良く、美しい。気持ちが良い。

釣女(つりおんな)

勘十郎の醜女(しこめ)がめっぽう元気が良くて快活。かわいらしいおかめだった。一方の太郎冠者が清十郎で、こちらもコミカルな動きを活発にして遣っていた。遣い手が清十郎なので、まじめコミカルといった感じだったけれども、勘十郎と清十郎の格闘は良いアンサブルで楽しかった。殿様が幸助、美女が一輔。

国立劇場と違って、幾分ざわついた会場だったけれども、それなりに素朴な観客の気分が楽しかった。

10.10.02 相模原市民会館

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