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愛の妙薬/ハーモニーホール2018

2018-09-10 | オペラ
愛の妙薬/ハーモニーホール2018

作曲:ドニゼッティ、指揮:粂原裕介
演出:古川寛泰
舞台装置:鈴木俊朗 、衣裳:小野寺佐恵
演奏:テアトロ・ジーリオ・ショウワ・オーケストラ
アディーナ:鈴木和音、ネモリーノ:藤牧正充
ドゥルカマーラ:岡野守、ベルコーレ:月野進
ジャンネッタ:長谷川沙紀

開幕30分前に下手幕前にスポットライトが当たり、タキシードのような正装で、左手に杖、右足と右手が不自由な形で、堂々とした体格の男がゆっくりと登場し、そして聴衆に話始める。今日は「愛の妙薬」なのに「パリアッチョ」のトニオの前口上の趣向なんだろうか?男は自身の病気、公演プログラムのプロフィールによると2015年に脳卒中で倒れリハビリ中と記載されていることについて語り、またイタリアでのリハビリの経験、今回の公演の趣旨、「人知れぬ涙」の所で特別な仕掛けがあること、今日はスタッフ、キ ャスト、聴衆のみんながイタリア人になること、などを解説し、みんなでブラボー、ブラバー、ブラビーの練習をした。やっぱりトニオみたいだけれど、これは演出の古川寛泰。数年前の昭和音大ではネモリーノを美しく歌ったテノール。今日は演出家。
舞台は左右にセピア色の建物を配した簡素なものながら本格的な造りのセットを用意したもので、中央奥に上辺がいくらか斜めになっているスクリーンがあり、そこに朝昼晩の空が投影されている。特に朝は柔らかい薄い雲を伴った抜けるように明るい空で、くっきりとした青が向日葵に似合いそうな空だった。向日葵は劇場所在地の座間の花で、劇中で使われていた。衣裳は淡い色彩で村人っぽい感じの落ち着いたデザインだった。演出はオーソドック スで、登場人物や群衆に細かく振付をしていた。
合唱に迫力があり、美しくキレが良い。強力なオーケストラの演奏と良くアンサンブルし、またソリストとのアンサンブルも良かった。ジャンネッタと村人達の合唱も印象に残った。オーケストラは元気よくて迫力があり、弦楽器だけでなく管楽器も良いと思った。開放的で明るい。合唱場面の1つでトランペットが1人バンダで出ていて、気が利いていると思った。
鈴木は落ち着いた感じの綺麗な声のソプラノ。藤牧は端正な感じのテノール。人知れぬ涙は静謐な感じの演出で、舞台奥のスクリーンと天井の楕円になっている部分に満天の星をマッピングして雰囲気を出していた。聴衆からはかなり長い拍手が続いた。岡野は軽快ノリノリのドゥルカマーラでアディーナとの重唱が決まっていた。月野進は落ち着きのあ る堂々とした芝居と迫力のある声。長谷川も綺麗な声のソプラノ。ドゥルカマーラのアシスタントは森田紀子と星田裕治の2人が黙役で演じた。2人とも動きが良くて楽しい芝居だった。この2人はアンダースタディのメンバー。

18.09.02 ハーモニーホール


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