二銭銅貨

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こうもり/東京文化会館(二期会)2013

2013-03-04 | オペラ
こうもり/東京文化会館(二期会)2013

作曲:ヨハン・シュトラウス、演出:白井晃
指揮:大植英次、演奏:東京都交響楽団
出演:アイゼンシュタイン:萩原潤、ロザリンデ:腰越満美
   アデーレ:幸田浩子、ファルケ:大沼徹
   フランク:泉良平、オルロフスキー:林美智子
   アルフレード:樋口達哉、フロッシュ:櫻井章喜
   イダ:竹内そのか、ブリント:畠山茂

オーケストラピットが底上げされていて指揮者や楽団員が良く見える。舞台のセットも底上げされていて、舞台と楽団が同時に見えるようにしかけられていた。カーテンは左右に美しく装飾的に開けっ放しで、舞台とピットの間は半透明のスクリーンで遮蔽している。舞台は常にオープン。上演が終わると舞台の裏側も照明されて、舞台の天井や向こうの壁が良く見える、そちらにも合唱団に人が立って居た。カーテンコールでは合唱団が客席側に一時、移っていた。舞踏会の場面では指揮者が観客に手拍子を促す場面があって、それに答えて観客の手拍子が強く打ちならされた。全体に、オペラが舞台上の人達だけでなく、楽団、観客、スタッフ、劇場自体、全部が参加して構成されているという考えのようだった。全員参加のお祭りパーティ。カーテンコールでの拍手は、最後には強力な手拍子になって、多くの観客がこの大パーティを楽しんだようだった。

セットは、大きな長方形の枠を作って、その枠内でほとんどの劇が進行するようになっていた。この枠が映画やTVのフレームのようにも漫画のコマのようにも見える。衣裳や美術は太めの線を強調した、ややアールデコっぽい感じの漫画のようなデザインだった。楽しく明るいデザイン。枠の色や照明、美術の色合いは1幕目が黄色か茶系統で落ち着いた柔らかな色合い。ホームを表すものだろうか。2幕目は最初がチャールダーシュの赤。これが舞踏会への場面転換では枠ごと横にシフトしていって下手から表れる青枠の舞台に変わる。この舞踏会の枠は水色または青の世界。最後の色は刑務所の灰。

イカれたイタリア人の樋口は、ずーと歌いっぱなし。セリフもすべてイタリアの歌曲風。舞台への登場も客席側からで、序曲演奏後にブラボーを大声でわめきながらの出現。指揮者に大拍手を送って大騒ぎ。面白いキャラクターで、アドリブっぽい芝居もうまい。ロザリンデの腰越は美しく強力なチャールダーシュがその衣裳の真っ赤と舞台の赤に良くアンサンブルしていた。強く良く伸びて美しいソプラノ。アデーレの幸田は可愛らしく美しく甘いワルツの歌声で劇場を満たして、コロラトゥーラもコロコロと美しく響いた。アイゼンシュタインの萩原はここぞとばかりに右往左往の大活躍でコミカルな芝居を次々と繰り出す。ファルケの大沼は覚めた感じのとぼけた芝居で声は重い感じのバリトン。オルロフスキーの林は宝塚の男性役を思わせる芝居で、カイゼルひげに白い衣裳がよく似合う。ちょっとカッコ良くてちょっと楽しい。セリフの時の声は低め。歌の時は高いので、若干その落差に最初のうちは違和感があった。

序曲は強力で迫力があり、また優しく優雅でもあった。いい序曲で楽しく美しかった。指揮者の大植は大活躍。踊りまくり。

歌詞も日本語上演。歌詞の訳は中山禎一、セリフは白井晃。「雷鳴と電光」は無かったらしい。

13.02.23 東京文化会館

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