肉魔神

野球と本の備忘録

マネーボーラー モイヤー

2005年05月19日 19時25分03秒 | メジャー
毎日出社すると初めにやる仕事は、日本人メジャー選手の配球をチェックすることだ。今日はマリナーズVSヤンキースがあったので、かなり手間と時間が省けた。

松井は3安打したのだが、そのうち2安打はモイヤーから。42歳のベテラン左腕は防御率6.11ながらも今季6勝1敗と、マリナーズの全勝ち星(16勝)の3分の1以上を稼いでいる。135キロの直球に130キロのカットボール、125キロのスライダーを中心に、チェンジアップ、カーブが持ち球だ。

これだけ球が遅くても、勝ち星が稼げるのは投球術に長けているからだろう。投球術と一口に言っても、いろいろあるはずだ。その昔、友人たちと燃えた「ベストプレープロ野球」では、いまいち有効なパラメーターとは思えなかったが、先日書いた「マネーボール」を読んでからは非常に重要なことだと考えるようになった。

テンポ、狙い球を外す能力、フォームの変化(逆に一定性も)、点差・場面の勘案、相手ラインナップの研究、コントロール、配球、牽制、、クイック、フィールディング、雰囲気、信頼感、狙ってゴロ(あるいはフライ、三振)を打たせる能力などが、投球術には含まれると思う。

モイヤーは被盗塁が多く、防御率も悪いのだが、勝ち星が多い。しかも33歳でシアトルに移籍するまでは、年間5~10勝程度の大した投手ではなかった。しかし移籍した96年にボストンとシアトルの両チームで自己最高の合計13勝すると、翌年から17、15、14、13、20、13、21勝と一流投手へ変貌した。これは投球術を身に付けたとしか思えない。

松井の2安打も、ドン詰まりのレフトへのフライが2本。松井は日本の投手で慣れているのか、遅い球に強いのだが、135キロに詰まる。マネーボールでは「見てくれにとらわれるな」というビリー・ビーンの考え方が繰り返し登場するが、メジャーでは珍しい遅球派で42歳のモイヤーも、下手投げのブラッドフォードとともに当てはまるだろう。ただし、年俸800万ドルなのでアスレチックスが獲得に乗り出す可能性はゼロだが。

「見てくれ」という点では、抜群の出塁率を持ちながらも「太っている」という点でドラフト候補から外れそうになった選手(ジェレミー・ブラウン)を1位指名したビーン。西武で売り出し中の「おかわり」こと中村剛也をどう見るのだろう。FAの権利を取ったら、中村にはぜひメジャー挑戦してもらいたい。

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2 コメント

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サードコンバートもしました (南海)
2005-05-20 00:19:48
マネーボールを読んでいる最中の南海です。おかわり中村はビリービーンに「好きな言葉がおかわりだなんて、馬鹿なのか?もういい」と斬られやしないか心配です。むしろ、ビリーなら香川を指名したかが興味あります。南海が香川を指名したのは明らかに話題作りだったけど。
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投球術 (ジューシージャンボ)
2005-05-22 13:36:10
ベイの加藤や、阪神の久保田が、あんな球が速く変化球も切れるのに打たれるのに、山本昌や下柳が抑えてるのを見ると投球術は大事かなあと思います。リリーフの登板時、前のランナーは返すのに、その後しっかり抑える明夫は、一流の投球術を持っていたのかも。
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