日本刀鑑賞の基礎 by ZENZAI  初心者のために

日本刀の魅力を再確認・・・刀のここを楽しむ

脇差 相州住綱廣 Tsunahiro Wakizashi

2016-07-29 | 脇差
脇差 相州住綱廣


脇差 相州住綱廣

 一尺七寸三分強。元幅一寸五厘あり、先幅も広く、大鋒とされていることから、表記されている寸法からの印象以上に大きく感じる。豪刀だ。戦国時代末期の作だから、これも片手打ちの刀として用いられていたのであろう。わずかに磨り上げられていることから茎の形状はバランスを失っている。彫り物が、腰元の素剣、中に梵字を配し、その上は棒樋で、腰元の爪も含めて総体が格好いい。地鉄は綱広らしい激しい杢目交じりの板目肌で、地沸に地景が強く入っている。刃文は飛焼が激しい小互の目乱れ。地中に黒く深く澄んだ斑模様が飛焼だ。焼刃は沸が強く深く付いており、この中に小互の目丁子が密集している。ここまで沸が強いと、手に取って鑑賞すれば刃中の働きは良く分かるが、写真では分かり難いと思う。