日本刀鑑賞の基礎 by ZENZAI  初心者のために

日本刀の魅力を再確認・・・刀のここを楽しむ

刀 出羽大掾藤原國路 Kunimichi Katana

2012-05-25 | 
刀 國路


刀 出羽大掾藤原國路



 二尺四寸に近い大振りの、寛永頃の刀。身幅広く重ねもしっかりとしていて、手にして重量を感じる江戸初期の頑健な造り込み。柾目を帯びた板目鍛えの地鉄は、地沸が厚く叢付いて凄みがある。その肌を分けるように地景が強く入り、相州古作を狙ったものであることは明確。古い研磨であるため、ヒケが多く入って様子は汚く感じられるも、本質の強さと美しさが頗る高い作。激しく乱れた焼刃は鎬にまで達し、沸強く飛焼、湯走り、棟焼も強く、刃中には互の目や角ばった刃や尖りごころの刃も交じって複雑多彩な変化がある。古研ぎであるため写真では判りにくいが、刃中には匂と複合した沸が深く強く付き、金線を伴う砂流しが川の流れのように入る。帽子の焼きも深く掃き掛けて返り、ここも古作の如し。□



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脇差 出羽大掾藤原國路 Kunimichi  Wakizashi

2012-05-17 | 脇差



脇差 出羽大掾藤原國路



 浅い湾れを主調とする焼刃構成で、比較的温和な風合いが漂う脇差。一尺三寸ほどの短躯であり、江戸最初期の脇差の特徴が良く現われている。良く詰んだ小板目鍛えの地鉄にゆったりとした板目肌が交じり、厚く地沸が付き、処々叢沸が付き、湯走りが掛かる。特に地刃の境界から地に向かって霞み込むような湯走り、尖刃のような湯走り、刃縁に沿った湯走りなど、仔細に観察すると激しい景観も窺いとれる。刃中も特徴顕著で、砂流しを伴う沸筋が流れ、刃文構成以上に鑑賞のポイントは多い。帽子は先が尖って返る。鎬地に達する程に焼の深い作が國路の特徴の一つともされているが、古作を狙ったものには、本作のようにやや静かな例もある。鎌倉時代末期から南北朝時代の名刀を念頭においてのものであろう。

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短刀 出羽大掾藤原國路  Kunimichi Tanto

2012-05-08 | 短刀
短刀 出羽大掾國路


短刀 出羽大掾藤原國路

 
 銘の形から慶長末期から元和最初期とみられる一尺弱の寸延び短刀。先に紹介した短刀とは良く似た作風。地鉄は板目肌を交えた小板目肌が良く詰んで地沸が厚く付き、処々湯走り風に沸が叢付き、躍動感に満ち溢れる。刃文は浅い湾れに互の目交じり。処々焼きが深まり、刃中には沸筋砂流し活発に入る。地側にも焼刃が働き、肌目に湯走りが感応して激しい景観を生み出している。地鉄の鑑賞だけでは古刀に紛れるもの。江戸時代最初期の魅力に溢れている。

歴史人のブログサイトで銀座長州屋社長深海信彦氏のブロク《日本刀の真実》が公開されています
初心者向けではありますが、時には名品が紹介されますので覗いてみて下さい


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短刀 平安城住國路 Kunimichi Tanto

2012-05-07 | 短刀
短刀 平安城住國路


短刀 平安城住國路

 
 慶長十六年紀の短刀である。國路は國廣の門人であると同時に、三品派とも交流があり、帽子などにその特徴が窺いとれる。初期は國道と銘を切り、次いで國路の路を崩し字に切り、慶長十八年に出羽大掾受領、元和初期に路を楷書に変える。以降の銘は似た切り様だが、作刀年代が長いため変遷がある。ただし、年紀作が少ないため、正確な製作年代を決定するのは難しい。
 この短刀はかつて紹介したことがある。良く詰んだ地鉄が流れるように際立ち、浅い湾れに互の目を焼き施した志津写し。地刃が大変綺麗な作であり、沸の美観を追求したものの中でも沸筋の働きが特に活発で古風。
 寸法は一尺三分で、寸延び短刀。現代の分類では脇差と表記されるが、この刀の実用の時代にそのような分類はなく、江戸時代初期の特徴から寸延び短刀と考える。

銀座長州屋社長 深海信彦氏のブログを、歴史人のサイトで公開中です
初心者向けの内容ですが、時には名品を紹介しますのでご覧になって下さい
歴史人ブログサイト日本刀の真実
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刀 山城守藤原國清 Kunikiyo-Ⅱ Katana

2012-05-01 | 
刀 山城守藤原國清

 
刀 山城守藤原國清鍛南蛮鐵釼之



 二代國清の相州伝が顕著な刀。寸法伸びやかな二尺四寸強で反りをやや控えめとした、江戸初期の造り込み。地鉄は杢目交じりの板目肌が柾目状に流れ、地景が明瞭に入って肌目が顕著に現われ、地沸付いて覇気横溢。刃文は互の目乱だが刃形が顕著にならず、刃縁崩れるように複雑に乱れ、まさに相州古作を狙った様子が窺える。刃中には幾筋もの沸筋砂流し金線が刷毛目のように流れ、刃中には沸と匂が充満し、処々に足が入り、これによってようやく互の目の様子が窺いとれる。帽子も掃き掛けが顕著で、激しく沸付いて返る。
 山城守國清の代別は、これまで良く分からなかった。初、二、三代が渾然とした状況で語られ、代別判断の基準が明確でなかった。それ故に國清の代別判断は不可能とさえ言われていた。ところが2011年、小島つとむ氏の研究により、代別判断が明確にされた。詰まるところ、古文書など資料の検討により、各代の正確な生没年の判断、藩主に仕えた年代の正確な判断、これを背景として年紀作の検証が為されたのである。詳細は『刀剣美術』誌651号~653号を参照されたい。

銀座長州屋の社長 深海信彦氏のブログ『日本刀の真実』が歴史人のサイトで始められました。
初心者向けで平明な解説がされていることから、上級者の方々にはちょっと物足りないかもしれませんが、時には上級者向けに珍しい作例も紹介されるようです。一度覗いてみてください。
《歴史人ブログ 日本刀の真実》
 
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