日本刀鑑賞の基礎 by ZENZAI  初心者のために

日本刀の魅力を再確認・・・刀のここを楽しむ

脇差 隅谷正峯 Masamine Wakizashi

2018-03-31 | 脇差
脇差 隅谷正峯


脇差 隅谷正峯
 一尺三寸五分の平造小脇差。南北朝時代の青江の作品を手本としたもので、逆足が盛んに入る華やかな出来。平成十年の作品。身幅が広く、造り込みに迫力があるも、地鉄は小板目肌が良く詰んで潤い感に溢れて美しく、小沸と匂を交えた焼刃が鮮やか。もちろん鎬寄りには淡い映りが立っており、正峯が追い求めた古作への思いが詰め込まれた傑作のひとつと言えるであろう。刃中は、単なる刃文の出入りだけではなく、逆足に絡んで細かなほつれがあり、刃中には淡い沸筋が流れるなど焼刃の美観も最高。□


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太刀 隅谷正峯 Masamine Tachi

2018-03-30 | その他
太刀 隅谷正峯


太刀 隅谷正峯

 江戸時代以降の綺麗な刃文の作品を紹介している。これも隅谷正峯の作品。平成十年。二尺四寸強の反りの深い鎌倉中期の備前刀を手本としたものであろう、華やかな出来。先幅もたっぷりとして猪首に結んでいるところにも求めた時代観がある。地鉄は良く詰んだ小板目肌。刃文は互の目に丁子を交えて出入りに強弱変化があり、左右に広がるような匂足が長く入って鮮やか。これが帽子まで連続している。




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太刀 隅谷正峯 Masamine Tachi

2018-03-30 | 太刀
太刀 隅谷正峯


太刀 隅谷正峯

 平成六年の作品。正峯が追い求めた鎌倉時代の備前刀。正峯は、鎌倉時代へ到達するために古墳時代の鉄の研究をし、奈良時代、平安時代を経て鎌倉時代へと至った。この太刀は、そのような備前物を手本とした作風の中の一つ。刃文は互の目に小丁子交じり。互の目にやや尖り調子の部分が窺え、全体に揚があり、刀身中ほどではかなり焼が深く、物打は穏やかにという時代の作を良く再現している。地鉄の詰み澄んだところは、現代刀の宿命ではあるが、その中に淡い映りが立ち、古作への追求の様子が感じられる。





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太刀 隅谷正峯 Masamine Tachi

2018-03-29 | 太刀
太刀 隅谷正峯


太刀 隅谷正峯

 隅谷正峯の昭和四十九年の作品。二尺四寸強。腰反り強い鎌倉時代の備前刀を手本にした作。小板目鍛えの地鉄は緊密に詰んではいるが、備前刀の特質でもある板目や柾流れの肌を所々に交じえたものであろう、古作再現への思いが窺える。匂口柔らか味のある刃文は互の目に足の長く射す綺麗な出来。焼頭は一定にならずに高低変化し、明るく冴え冴えとしている。まだ人間国宝に指定される以前の作だが、作品にはおのずと風格が備わっている。




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短刀 月山貞一 Sadakazu Tanto

2018-03-28 | 短刀
短刀 月山貞一


短刀 月山貞一

 昭和六十一年の作品だから、年齢は七十九歳。凄い、迫力のある綾杉鍛えだ。それでいて、とても綺麗だ。室町時代以前の古月山とは全く異なる清浄感に癒される。もちろん古い時代の月山は、その古調な風合いが魅力である。そもそも製作の理念が異なるから比較すべきではなく、それぞれの作の魅力を捉えればいい。刃文は直刃の構成だが、鍛え肌と感応して綾杉状のほつれが掛かり、金線稲妻のような肌が連続している。帽子もほつれが肌目のまま髪の吹き上げられたように働いている。総てが綺麗だ。




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短刀 月山貞一 Sadakazu Tanto

2018-03-27 | 短刀
短刀 月山貞一


短刀 月山貞一

 貞一は人間国宝に指定された一人。その昭和五十八年の短刀。彫り物上手でも知られる月山貞一の、簡潔な旗鉾が綾杉鍛えの地鉄に刻み込まれている。身幅広めにたっぷりとした感のある造り込みに、密に詰んだ地鉄は古伝の綾杉鍛え。小沸出来の刃文は、刃境にほつれを生み出し、簡潔な焼刃に大きな変化を与えている。古作を現代に伝えた、奇麗な出来である。


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刀 宮入昭平 Akihira Katana

2018-03-22 | 
刀 宮入昭平


刀 宮入昭平

 昭和三十五年の作品。戦後数年を経てようやく作刀が許可され、刀匠はそれまでの軍刀の製作から脱して、新たな作刀文化を目的に活動を始めた。昭平は相州伝を突き詰めてゆく。地鉄は板目が強く意識され、地沸が付いて刃文も沸を強調した大乱になっている。この刀の刃文構成は、同郷信濃の先達清麿に倣い、互の目を揃えた構成としている。地鉄に板目が意識されていることから、刃中にも肌目が連続しており、これが刃中の細かな働きとなっている。


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刀 宮入昭平 Akihira Katana

2018-03-20 | 
刀 宮入昭平


刀 宮入昭平

 人間国宝に指定された宮入昭平の、皇紀二千六百二年、すなわち昭和十七年戦時中の作。昭平というと相州伝を思い浮かべるが、初期は備前伝を焼いていた。腰反り強く踏ん張りのある美しい太刀姿で、鎌倉時代の備前物を手本としたことが良く判る。地鉄は良く詰んだ小板目肌。逆足の盛んに入る互の目丁子の刃文が鮮やかに浮かび上がっている。良い鋼が入手し難かったと思われるが、とても綺麗な太刀に仕上がっている。




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短刀 龍泉貞次 Sadatsugu Tanto

2018-03-19 | 短刀
短刀 龍泉貞次


短刀 龍泉貞次

これも同じ高橋貞次の作。彫り物がないことから地鉄の様子が堪能できる。姿が良い。微塵に詰んだ地鉄が良い。直刃が穏やかでいい。でも子細に観察すると、直刃の中に細かなほつれがあり、決して単調な出来ではないことが理解できる。お守り刀として製作されたであろうことが判る。


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短刀 龍泉貞次 Sadatsugu Tanto

2018-03-17 | 短刀
短刀 龍泉貞次


短刀 龍泉貞次

 江戸時代以降の綺麗な刃文の作品を紹介しているが、現代刀工も優れている。人間国宝に指定された高橋貞次の、八寸五分強のお守り短刀。這龍の彫物が活きている。造り込みは鎌倉時代に製作された短刀を手本としており、地鉄も緻密に詰んだ小板目鍛えであることから、また刃文も綺麗に揃った直刃出来であることから、粟田口、来などの古作を手本にしたものと思われる。奇麗な出来である。


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刀 山城守國清 Kunikiyo Katana

2018-03-16 | 
刀 山城守國清


刀 山城守國清

 直刃を得意とした刀工の一人。磨り上げで二尺二寸八分強だから、元来は二尺五寸の長刀。柾目を交えた板目鍛えの地鉄は良く詰んでおり、刃中の繊細な働きにも影響を与えているようだ。刃文は直刃に浅い湾れを交えた出来。物打辺りが二重刃状にほつれ、喰い違い、砂流し金線が生じている。直刃に伴うほつれや金線などは全体に潜んでおり、所々、光の加減で金線が光る。働きがあり、しかも奇麗な直刃である。




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刀 林重秀 Shigehide Katana

2018-03-15 | 
刀 林重秀


刀 林重秀

 あまり聞かない刀工名だが、大慶直胤に学んだ大村藩の武士である。特別の意識があっての作だろう、柾目鍛えに飛焼湯走りの入る、乱れが強く焼の深い作。柾目鍛えは大和保昌に始まり、その流れを汲む仙台の國包、江戸後期の水戸刀工、清麿門人の清人などが得意とし、師の直胤にも総柾鍛えとした作がある。だが、このような刃文は少ない。肌目に絡んだ焼刃は形状が定まらず、次代の上がる小乱調子となり、所々互の目が深く入り、湯走り、飛焼、沸筋も活発な出来。帽子は強い掃き掛け。






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脇差 栗原信秀 Nobuhide Wakizashi

2018-03-14 | 脇差
脇差 栗原信秀


脇差 栗原信秀文久二年

 平造の一尺三寸。奇麗な出来であるが、凄みが感じられる。信秀は彫刻が得意で、美観に富んだ作品を専らとしている。本作は地鉄が特に綺麗で、粒立った小板目肌に地沸が付き、内部に存在する板目肌に沿って気の流れるような肌合いを呈す。刃文は互の目湾れで、帽子は浅く湾れ込んで先小丸に返る。焼刃の匂と小沸の調合は荒れることなく、刃中に沸と匂の広がりを生み出し、刃先に淡く溶け込んでゆく足となる。




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短刀 備州義隆 Yoshitaka Tanto

2018-03-13 | 短刀
短刀 備州義隆


短刀 備州義隆明治四年

 江戸時代の綺麗な刃文の作品を紹介している。逸見義隆は、同時代の月山貞一の陰に隠れるような存在だが、技術高かったものの、廃刀令を受けて潔く鎚を置いた一人で、数奇者垂涎の的。幕末から明治にかけて活躍した備前刀工。即ち最後の備前鍛冶の一人でもある。彫り物上手でも知られている。作風は備前伝ではなく、自らが学んだ大坂の師尾崎助隆伝の綺麗な互の目出来。小板目鍛えの地鉄に沸の粒子が揃って明るい焼刃が魅力。彫り物は草の倶利迦羅。□

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脇差 信濃守忠國 Tadakuni Wakizashi

2018-03-12 | 脇差
脇差 信濃守忠國


脇差 信濃守忠國

 忠國は國路の弟子。小板目鍛えの地鉄に、互の目乱刃を焼いた作。互の目が丸みを帯びずに、尖り調子、お玉じゃくしのように括れた刃、ちぎれた玉刃、茶の花の蕾のような刃、焼頭が割れて矢筈風となった刃など様々。綺麗に揃った互の目の刃文もあることから、この乱れ様は意図してのものであろう。


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