日本刀鑑賞の基礎 by ZENZAI  初心者のために

日本刀の魅力を再確認・・・刀のここを楽しむ

脇差 相州住綱廣 Tsunahiro Wakizashi

2016-07-28 | 脇差
脇差 相州住綱廣


脇差 相州住綱廣

 一尺一寸強で先反りが深く三分もある。身幅たっぷりとして重ねも極厚、戦国時代末期の相州綱広の特徴的造り込み。彫り物上手で知られる相州彫の特徴も顕著。地鉄は地景を伴う杢目交じりの板目肌が縮緬状に入り組んでおり、地沸が付いて地斑状に鉄色に変化があり、迫力と凄みがある。相州古作を手本とし、戦国時代後期の特質でもある異風を強調したような、時代に応じたものであろう、刃文も皆焼。もちろん彫物の辺りは深い焼きを避けているが、刀身中ほどから上は互の目が深く入り組んで網目のように飛焼が入り、棟焼が施されている。この乱れの中に矢筈刃、尖刃、丁子などが組み込まれている。焼刃は匂を主体に沸が厚く付き、刃中は沸が大きく乱れ、地刃を越えて金線が稲妻状に走る。写真では刃文や焼刃の様子が良く分からないと思う。これも綱廣に良くみられる特徴。扱いやすい寸法であり、鉄兜の上からガツンと叩き切るような、あるいは鉄鎧の隙間にねじ込んで切り裂くような使い方がされたものであろう。