日本刀鑑賞の基礎 by ZENZAI  初心者のために

日本刀の魅力を再確認・・・刀のここを楽しむ

刀 近江大掾藤原忠廣 Tadahiro Katana

2011-02-28 | 
刀 近江大掾藤原忠廣


刀 銘 肥前國住近江大掾藤原忠廣



 肥前忠吉、あるいは忠廣というと、直刃を思い浮かべるが、このような足が長く入る互の目を焼くこともあった。地鉄は小板目肌に小沸が付いた典型的な小糠肌で、わずかに杢目が混じり、細かな地景によって肌が起って見える。刃文は匂と複合した小沸出来である点は直刃と同じで、刃縁に小沸が叢付くのも特徴的。互の目の頭はほぼ高さが揃って足が長く入り、互の目の中に丸い葉が一つ焼かれて目玉のようになる態は肥前刀の互の目の特徴。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

刀 肥前國住藤原忠廣 Tadahiro Katana

2011-02-25 | 
刀 肥前國住藤原忠廣


刀 銘 肥前國住藤原忠廣寛永十五年



 二代忠廣は初代忠吉(武蔵大掾忠廣)の子。三代以降は忠吉銘を用いているのだが、初代が晩年に用いた忠廣銘を継ぎ、忠吉銘を切ることがなかった。技術は頗る優れ、作刀を産業とした鍋島家に仕えて作例多く、また贈答用の刀を藩主から求められて多くの名作を世に出した。寛永十八年に近江大掾を受領していることから、この刀はそれ以前の作だが、年紀を切っているように特別の注文作であり、寸法長く頑丈な造り込みで、この頃の代表作の一つとも言えよう。小板目鍛えの地鉄は良く詰んで潤い、綺麗に揃った小沸の帯が破綻なく焼かれており、初代が求めた古作山城来派のそれを江戸初期のものとして再現、肥前の作刀を世に知らしめた内容の濃さとなっている。忠廣の感性と高い技術が示された作である。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

短刀 武蔵大掾藤原忠廣 Tadahiro-Ⅰ Tanto

2011-02-23 | 短刀
短刀 武蔵大掾藤原忠廣

 
短刀 銘 武蔵大掾藤原忠廣二月吉日

 初代忠吉の晩年、武蔵大掾を受領して忠廣と銘した作。江戸時代も降ると短刀の製作は減少するため、作中では珍しい資料ともいえよう。身幅は広めで、古作を写したものながら江戸初期の時代相が窺える。この短刀も小板目肌が良く詰んで地沸が付き、小糠肌となって潤い感がある。直刃は忠吉の得意とするところで、綺麗に揃った小沸の帯が破綻なく下から切先まで焼かれている。

 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

刀 肥前國住人忠吉 Tadayoshi Katana

2011-02-21 | 
刀 肥前國住人忠吉


刀 銘 肥前國住人忠吉



 わずかに磨り上げられてはいるも、寸法たっぷりとし、肉厚く頑強な印象は減少していない。これも山城来派の太刀を手本としたもので、小板目肌が良く詰んで潤い感に満ちている。微細な地沸が肌目と働き合っており、後に小糠肌(こぬかはだ)と表現される肥前肌の特質が良く示されている。小沸に匂の複合になる直刃調の焼刃も忠吉の目指したところ。沸の帯が綺麗に流れるように刀身を走り、刃縁には小沸が叢付いて地に淡く流れ込み、刃中にはごく短い足となって働く。初代忠吉の住人銘時代の優れた作である。

 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

短刀 肥前國忠吉 Tadayoshi Tanto

2011-02-19 | 短刀
短刀 肥前國忠吉


短刀 銘 肥前國忠吉



 表に巌上火炎不動の地肉彫と梵字、裏には護摩箸と梵字を陰刻した、江戸初期らしい頑丈な印象のある短刀。寸法伸びて身幅広く、先反り付いて張りのある姿格好。小板目鍛えの地鉄は良く詰んで地沸が付き、その中に淡く現われた板目流れの鍛え肌に沿って地景が網状に浮かび上がって見える。浅く湾れごころの互の目乱の焼刃は、小沸の粒が綺麗に揃って冴え、沸の粒も刃境に明るく輝く。刃中に淡く広がる匂を切るように細い金線砂流しが掛かる。刀身彫刻の多くは、刀の所持者の守護を目的として彫られたもの。装飾的色合いの濃い彫刻は、江戸時代中ごろ以降にまで降り、戦国時代の余香の残るこの頃には、まだまだ死生観に通じる意識があった。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

刀 肥前國忠吉 Tadayoshi Katana

2011-02-17 | 
刀 肥前國忠吉


刀 銘 肥前國忠吉



 初代忠吉(ただよし)が追求した鎌倉時代の山城物の再現。殊に来派に倣った緻密に詰んで揃った小板目鍛えの地鉄と直刃基調の焼刃構成になる美しい刀身は、沸の帯が綺麗に流れる刃文構成で江戸時代に際立つ存在感を示した。
 本作がまさにその例。棟寄りに流れる肌を配して平地は均一に詰んだ小板目鍛えに地沸が付き、一部淡い湯走り状に沸が流れて沸映りの態を成す。沸の粒が揃う小沸出来の浅く湾れた直刃は、刃縁明るく冴えて清浄感に溢れる。所々に淡い小足が入り、物打辺りは軽やかに乱れ、帽子はそのまま浅く乱れこんで先掃き掛けごころの小丸に返る。
 この小板目鍛えに小沸出来の直刃という基本は、二代忠廣によってされに突き詰められ、小糠肌、肥前肌と呼ばれる完成された地鉄に至る。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

刀 河内守正廣 Masahiro Katana

2011-02-14 | 
刀 河内守正廣


刀 銘 肥前國河内守藤原正廣

 

 先に紹介した直刃出来の脇差とは趣が一転して激しく乱れた互の目出来の刀。二代の延寳頃の作であろう、中間反りが深く付いて姿に張りがある。地鉄は小板目鍛えに地沸が付いて明るく冴え、技量の高さが窺いとれる。このように、忠吉家だけではなく、肥前刀工の質の高さは、江戸時代においては他の地域に比較して一つ頭を抜くところがある。匂主調の互の目の焼刃は出入り複雑に乱れ、互の目の頭も丸くあるいは角状などに変化し、足が盛んに入り、葉が舞い、物打辺りは湯走りが強く鎬地にまで達する。帽子も沸強く焼深く返る。相州伝に独創を加味した作である。

 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

脇差 河内守正廣

2011-02-12 | 脇差
脇差 河内守正廣


脇差 銘 肥州河内守藤原正廣寛文九年



 二代正廣の、肥前刀らしい美しい地鉄と焼刃の作。身幅広く重ねしっかりとして、長さは一尺九寸。綺麗に揃った小板目鍛えの地鉄は、微細な地沸で覆われ、肥前はだ、小糠はだの呼称そのままに美しく冴える。小沸で紀の中直刃は、刃縁に小沸が叢付いて冴え、わずかに小足が入って帽子も端整な小丸に返る。直刃ながら華やかな趣がある。この寸法から、そしてこの出来から、富裕の商家の注文作であろうと推測される。

 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

脇差 河内大掾正廣 Masahiro Wakizashi

2011-02-10 | 脇差
脇差 河内大掾正廣


脇差 銘 肥前國河内大掾藤原正廣

 
 肥前國忠廣と共に肥前国佐賀藩の刀造りを支えた巨匠、初代正廣の、恐らく特別の注文であろう、表裏の焼刃構成を変えた変わり出来。地鉄は小板目鍛えに地沸の付く肥前肌で、綺麗に揃い、その完成度の高さが窺いとれる。綺麗に揃った小沸と匂からなる焼刃は、表が直刃にごくごく浅い互の目を交え、裏はこれに顕著な互の目を配している。刃縁は小沸でほつれ掛かり、細い金線入り、刃中には淡い沸筋が軽やかに流れる。

 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

脇差 銘 河内大掾正廣 Masahiro Wakizashi

2011-02-09 | 脇差
脇差 河内大掾正廣


脇差 銘 肥前國河内大掾藤原正廣

 大小揃いの内の脇差であったと推測される。バランスの良い造り込み。地鉄は小板目肌が良く詰んで細かな地沸が付き、肥前の梨子地肌の特徴が良く示されている。互の目と湾れを複合した刃文は、互の目が二つずつ連れたように構成されており、ここに肥前刀の特徴が窺える。龍子の揃った小沸の焼刃は沸深く明るく、刃中には淡く足が入り、互の目の一部に目玉のような沸の凝りが窺え、足を切るように沸筋が流れる。沸筋が盛んに入るのは忠廣と異なるところ。正保の頃の作。

 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

銀座長州屋からのお知らせ

2011-02-07 | その他
お知らせ

銀座長州屋のホームページをご覧いただいているお客様から、銀座長州屋のホームページにアクセスしたことにより、ウィルスに感染したとの報告がありました。また、Web検索によってウイルス感染の警告が表示されたこともあり、調査しましたが、ウイルスが検出されておりません。2月4日の午後にはWeb検索による警告の表示が出なくなりましたが、一部のパソコンでは未だに表示されているようです。各個のパソコンに搭載されているセキュリティーソフトの違いによる表示の有無も確認されたことから、銀座長州屋のホームページを構成している機能の特定のコードがウイルスと誤認された可能性があります。銀座長州屋のホームページは、現在安全な状態にありますので、安心してご利用下さい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

刀 肥前國正廣 Masahiro Katana

2011-02-07 | 
刀 肥前國正廣

 
刀 銘 肥前國佐賀住正廣

 

 初代正廣(まさひろ)の相州伝。初代忠吉の孫に当たり、忠吉最晩年には忠廣と共に肥前刀界を担った名匠。肥前肌の基礎である小板目鍛えの地鉄は良く詰んでいるが、忠廣とは異なって地刃の沸が強く湯走りも激しく流れて鎬筋を越えるほどに焼を強調した特殊な例。刃中は相州古作のように刃形が不定形に乱れ、仔細に観察すると、その中に大互の目が交じり、足を切るように太い沸筋や砂流しが流れ掛かっている様子が分かる。帽子も乱れ込んで沸強く返る。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

刀 正次(伊予掾宗次) Masatsugu Katana

2011-02-05 | 
刀 正次(伊予掾宗次)


刀 銘 源正次



二代伊予掾宗次同人。宗次には冑割の添銘を切った作があるように、この刀もがっしりとしており、堅物切りの造り込みの特徴が顕著。初代の作風を継承するも、より緻密な小板目肌鍛えの地鉄となり、微細な地沸が付いて沸映りが立ち、冴え冴えとするなど肥前刀の優秀性が窺える。湾れ調の焼刃は、所々に箱がかった互の目を焼いており、刃文構成には凄みが感じられる。匂に小沸の複合した焼刃の刃縁に小沸が叢付き、小足入り、刃縁から離れた島刃や葉が働く。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

お知らせ

2011-02-04 | その他
銀座長州屋からお知らせします。

数日前から、Web検索を通じて銀座長州屋のホームページにアクセスしようとすると、ウイルス感染の『警告』が表示されるようになりました。
銀座長州屋のホームページを管理しているサーバーはもちろん、銀座長州屋のパソコン及び周辺機器などについてはウイルス感染していないことが確認されており、ホームページをご覧いただいても全く問題はないのですが、一時公開を中止し、確認と対策を急いでおります。
申し訳ございませんが、解決次第ホームページを再開いたしますので、しばらくお待ち下さい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

脇差 伊予掾宗次

2011-02-03 | 脇差
脇差 伊予掾宗次

 
脇差 銘 肥前國源宗次

 寛永頃の伊予掾宗次(むねつぐ)の作。強みのある板目鍛えの地鉄に激しい沸出来になる脇差。棟寄りに鍛え疵が現われているも、未だ戦国時代の気風を残しており、実用を考えて截断能力に重きをおいたものであろう。互の目で木の刃中は、肌目に沿って渦巻き状に働き、強い焼は鎬筋を超えて湯走りに変化、粒の大きな沸と地景がくっきりと浮かび上がる。淡く匂の広がる刃中には、沸の足が入って出入り激しいが、さらにこれに網目のような沸筋が働く。迫力ある景色となっている。

 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする