日本刀鑑賞の基礎 by ZENZAI  初心者のために

日本刀の魅力を再確認・・・刀のここを楽しむ

刀 忠光 Tadamitsu Katana

2010-09-29 | 
刀 忠光

刀 銘 備州長舩忠光 文明十八年二月日

 

 板目に杢目を交えた備前地鉄の優質を鮮明にする作。良く詰んで地沸が付き、これを分けるように地景が入る。刃文は腰の開いた互の目で、焼頭に抑揚変化があり、一部は逆がかり、また一部は丸みをおびて地に突き入る。淡い足も逆がかって盛んに入る。刃縁に匂のほつれが掛かり、ちいさな金線稲妻が刃境を横切る。帽子は激しく乱れ込んで火炎状に先尖って返る。
 彦兵衛忠光(ただみつ)と鑑られる作で、元利は二尺強、後に区送りされて抜刀に適した二尺一寸強の寸法とされている。

 


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脇差 則光 Norimitsu Wakizashi

2010-09-20 | 脇差
脇差 則光

脇差 銘 備州長舩則光文明十八年

 

 備前物の脇差のスタイルが定まりつつあるように感じられる、安定感のある姿格好。身幅尋常に先幅落ちず、下半に反りが深く付いている。地鉄は杢目交じりに板目肌で、良く詰んで地景が現われ躍動感がある。全面に地沸が付き、映りは淡い直映りだが、鍛え肌と感応して魅力ある地相となっている。匂に小沸が絡んだ焼刃は、互の目が小丁子を交えて複雑に出入りし、一部尖りごころがあり、淡い足が盛んに入る。刃境に付いた沸を分けるように細い金線が入り、一部に杢目肌が刃肌にように地刃を越えて現われている。

 
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脇差 則光 Norimitsu Wakizashi

2010-09-18 | 脇差
脇差 則光

脇差 銘 備州長舩左衛門尉則光寛正四年



 寛正則光(かんしょうのりみつ)と尊称される名工則光の、鋒が菖蒲の葉のように造り込まれた、鋭利な姿格好の脇差。このスタイルは室町時代中頃に間々みられる。
 杢目交じりの板目肌は緊密に詰んで微細な地沸が付き、杢目肌に反って地景が入り、肌が綺麗に立って見える。時代が降るに従って地鉄に硬さが感じられるようになるのだが、この則光の時代、そして本作においては応永頃の備前ものに近い良質の地鉄であるが、映りの出方が乱れ映りから直状の映りとなっている。この映りも古風で、地鉄、地沸、地景などと働き合って、総体に一時代遡るような風合いがある。端正な直刃はごくわずかに湾れ、刃境に匂のほつれがかかり、繊細な金線が流れる。下半は刃先に迫る匂に砂流し金線顕著に走り、直刃の魅力が溢れている。


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太刀 経家 tsuneie katana

2010-09-16 | 
太刀 経家(長舩)

太刀 銘 経家

 

 南北朝末期から応永初期の、備前国長舩の名工経家(つねいえ)の太刀。磨り上げられて茎の下端部に銘が残されているが、寸法は二尺二寸六分。応永杢と呼ばれるこの頃の備前物にみられる優質なる地鉄で、杢目交じりの板目鍛えに地景が入り組み、肌目がくっきりと立って躍動感に満ちているにもかかわらず柔らか味があり、なんとも美しい。匂口の柔らかな互の目乱の焼刃は、康光や盛光とは風合いが異なって焼頭の小さめな小互の目の連続。刃縁はほつれ、刃中には匂の砂流しが掛かる態は応永備前他工と同様。

 
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脇差 家助(長舩) Iesuke Wakizashi

2010-09-14 | 脇差
脇差 家助(長舩)

脇差 銘 備州長舩家助應永廿六年二月日



 この脇差も、磨り上げで短くなっているので、元来は一尺七寸五分ほどの扱い易い寸法の刀。後の脇差という感覚とは異なる武器であった。
 やはり応永備前の優質が示された作で、地鉄の柔らか味と躍動感、刃中に広がる匂を切って走る砂流しや金線などの働きが楽しめる作。杢目を交えた板目鍛えの地鉄は良く詰んでしかも地景が鮮明に現われ、淡い映りがこれに働いて幽玄味がある。鍛え肌は刃境を越えて刃中に及び、腰開きごころの互の目の焼刃に感応して繊細なほつれとなり、屈曲した稲妻状の金線となって現われる。
 家助(いえすけ)はこの時代に盛光や康光に並ぶ名工。作風もこの時代の備前物の特徴を良く示している。

 
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脇差 盛重 Morishige Wakizashi

2010-09-10 | 脇差
脇差 盛重

脇差 銘 備州長舩盛重應永二十九年八月日

 

 一尺五寸強の小振りな脇差で、この時代においては太刀の副え差しとされたものであろう、元来は平造が多い腰刀から次第に鎬造へと変化してゆく過程にあった武器と考えられる。杢目交じりの板目肌が柔らか味をもって詰み、地沸が付いて潤い感があり、映りが淡く立って地景が強く現われる。この時代の質の良さが良く現われている作。焼刃も匂主調の腰開き互の目乱で、足は左右に開くように乱れて入り、焼頭は軽やかに高低変化する。刃縁は匂のほつれが掛かり、帽子は乱れ込んで先尖りごころに返る。

 
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脇差 盛重 Morishige Wakizasi

2010-09-07 | 脇差
脇差 盛重

脇差 銘 盛重



 元来は一尺八寸強の片手打ちの刀。片手打ち刀は、この時代に製作され始めた武器で、徒歩戦において腰に備えるに適し、抜刀に適し、片手で打ち振るに適したもの。戦国時代末期まで、二尺前後の刀が重宝されたようだ。
 盛重(もりしげ)は盛光の子あるいは門人とみられ、地鉄鍛えにはこの時代の特徴が良く示されている。大きめの板目に杢目が交じり、総体に微塵に詰んで柔らか味があり、肌目に沿って地景が入るため肌が起って見える。映りも淡く起ち、地沸の付く地鉄と働き合って幽玄味を感じさせる。焼刃は腰開きごころの小互の目乱刃。匂勝ちに小足が入り、焼頭の構成線は抑揚変化がある。応永備前、応永杢と呼ばれ、多くの愛刀家の憧れの一つともなっている地質の良さが示されている。□


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脇差 康光 Yasumitsu Wakizashi

2010-09-04 | 脇差
脇差 康光

脇差 銘 備州長舩康光

 



 この時代の、長舩康光(やすみつ)の特徴的な造り込みになる平造脇差。元先の身幅がバランスよく整い、物打辺り張って姿に覇気がある。板目鍛えの地鉄に揺れたような杢目が交じり、全面に微細な地沸が付いて映りも働き合い、しっとりとした肌合いとなる。肌目に沿って現われた地景により肌が強く感じられるも、総体に地相は柔らか味があり、応永杢と呼ばれるこの時代の優質さが良く現われている。互の目乱の刃文は腰開きごころの典型。刃文を構成している匂は明るく冴え、互の目の頭がわずかに揺れ、刃縁ほつれ掛かり、刃中は小足が入って変化に富む。


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太刀 康光 Yasumitsu Tachi

2010-09-02 | 太刀
太刀 康光

太刀 銘 康光





 杢目交じりの板目肌が地景を伴って強く起ち現われ、肌目に沿って地沸が付き、鎬寄りに現われた映りと働き合って生気に満ち満ちた地相を呈している。盛光と共に応永備前の二大巨匠と謳われる康光(やすみつ)の、この時代の特徴的な太刀である。身幅は控えめに重ね厚く、下半で反って先伸びやかな美しい姿格好。刃文は盛光に似た腰開きごころの互の目乱刃と、このような直刃出来がある。刃境に現われた鍛え目に匂が起ち、匂のほつれが淡く繊細に働き、刃中にも淡く匂が立ち込めて細い金線が走る。帽子はほとんど乱れずに直刃のまま切先へと向かい、わずかに尖って返る。□


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