日本刀鑑賞の基礎 by ZENZAI  初心者のために

日本刀の魅力を再確認・・・刀のここを楽しむ

山城大掾國重 Kunishige Wakizashi

2018-01-31 | 脇差
山城大掾國重


山城大掾國重

 大与五國重の門流の一人。江戸に出て活躍したことから江戸水田の呼称もある。やはり沸を強く意識している。互の目に湾れを加味した刃文構成で焼き深く、沸は荒々しく、刃境を越えて地刃双方に広がっている。大坂新刀のように粒子が揃って深々とした沸の様子も綺麗だが、真逆のこのような荒沸出来も綺麗だと思う。焼刃は沸だけではなく、匂を伴って明るく冴え冴えとしている。




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脇差 備中水田住国重 Kunishige Wakizashi

2018-01-26 | 脇差
脇差 備中水田住国重


脇差 備中水田住国重

 大与五と尊称されている江戸初期の備中国の刀工。沸の美観を極めた一人だが、この門流は同じ作風で沸を強調した作品を遺している。この脇差も、ゆったりとした湾れ調子の刃文で、大粒の沸が肌目に沿って流れるように現れている。沸は刃文を構成しているだけでなく、地にも広がって湯走りとなり、物打辺りの棟側にも焼が施されており、その部分も、鎬地の柾目肌に伴う砂流し状の景色を生み出している。江戸期相州伝の奇麗な作である。江戸時代の綺麗な刃文を紹介していたが、相州伝が結構多いのに気付いた。そもそも、変化に富んだ刃文構成というと、互の目の形状の多彩さが思いつく。即ち相州伝であり、江戸時代における創造性という大きな流れであったかと思う。




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刀 備中国為家 Tameie Katana

2018-01-25 | 
刀 備中国為家


刀 備中国為家

 水田國重などで知られる呰部の刀工。沸の強い水田風の相州伝を焼いた作。沸の美観が魅力だ。ゆったりとした湾れ刃が鎬筋にまで達し、互の目が加わり、刃中に島刃が焼かれ金線を伴う沸筋が流れる。時代は寛永頃だから、戦国時代に活躍した武将がまだ生きていた頃。相州伝の好みは、このような古作写しに独創を加味した作風でも極まったようだ。とにかく美しい。沸が揃い荒ぶることなく濃淡変化に富み、刃先にまで沸が立ち込めているところが凄い。


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脇差 宗有 Muneari Wakizashi

2018-01-24 | その他
脇差 宗有


脇差 宗有

 宗有は固山宗次の門人。このような作品を見ると、独創性を追求した刀工であると想像される。造り込みは普通の平造の小脇差だが、見ての通り刃文が変わっている。互の目というと、丸みのある互の目を思い浮かべるのだが、幕末の清麿の例でも知られるように、馬の歯を並べたような焼頭が平らで幅が揃った互の目となっている。ちょっと見には異風だが、研磨が進んでも身幅が半分ぐらいになっても充分に使えそうな、実用を追求した刃文構成かもしれない。そこのところは作者に聞いてみたいところである。焼刃は匂口が締まって明るく冴え冴えとし、刃境には所々に沸が叢付いて、綺麗で面白い景色になっている。


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短刀 舞鶴友英 MaizuruTomohide Tanto

2018-01-22 | 短刀
短刀 舞鶴友英


短刀 舞鶴友英

 これも友英の短刀。造込みにおいては、上身は尋常だが茎は独特の振袖形。写真では分かり難いが、重ねが厚い鎧通し。地鉄は小板目鍛えで、良く詰んでいる。刃文は、浅い直湾れ調で、沸が付いて湯走り掛かり、沸筋が流れて二重刃が顕著。これも綺麗な相州伝。
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短刀 舞鶴友英 Tomohide Tanto

2018-01-20 | 短刀
短刀 舞鶴友英


短刀 舞鶴友英

 以前にも紹介したことがある、ちょっと変わった造り込みの短刀。そもそも友英なる刀工は、いくつかの風変わりな作品を遺している。これも包丁正宗風の幅広い造り込みで、背景は相州伝。下半湾れ調の刃文で、物打から水晶玉を並べたように互の目が揃った刃文構成。独創を追求したものであろう、とても綺麗である。沸深い刃中には穏やかに金線砂流しが流れ掛かっている。


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脇差 河内守正廣 Masahiro Wakizashi

2018-01-17 | 脇差
脇差 河内守正廣


脇差 河内守正廣

 こうして眺めてみると、肥前刀は直刃が一段と綺麗だ。直刃が綺麗に感じられるのは、地鉄が均質であることが大きな要素と言えよう。忠廣でも同じだ。この作品を見ると、忠廣の作と言っても通じる、美しい直刃出来である。




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刀 河内守正廣 Masahiro Katana

2018-01-16 | 
刀 河内守正廣


刀 河内守正廣

 これも二代目正廣。こちらの方が刃文構成がわかり易い。先に紹介した脇差と似たような出来である。互の目に小互の目が交じり、互の目の中に葉が配されているところは肥前刀の互の目の特徴。刃中には葉が断続し、刃文の出入りと共に新趣で複雑な景色を展開している。姿、地鉄、刃文、どれをとっても綺麗な出来である。






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脇差 肥前國河内守正廣 Masahiro Wakizashi

2018-01-15 | 脇差
脇差 肥前國河内守正廣


脇差 肥前國河内守正廣

 二代目の正廣。初代の得意とした相州伝互の目出来を踏襲している。元禄頃であり、微塵に詰んだ地鉄がさらに綺麗になっている。研磨における刃採りはゆったりとした大互の目調だが、実際の刃文は互の目に小足の入る小互の目が加わって複雑に出入りする感じ。明るい小沸でとても綺麗な出来である。




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脇差 河内大掾正廣 Masahiro Wakizashi

2018-01-13 | 脇差
脇差 河内大掾正廣


脇差 河内大掾正廣

 南北朝期の相州物を手本としたものであろう、一尺一寸五分の平造小脇差。このような即座に仕える実用性の頗る高い造り込みは、江戸時代も降ってくると少なくなる。だから珍しい。大ぶりの彫刻が活き活きとしている。総体がとても綺麗だ。刃文は二つずつに連れる互の目に湾れを組み合わせた構成。明るく冴えた小沸主調の焼刃には、濃密な砂流しが掛かっている。




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刀 河内大掾正廣 Masahiro Katana

2018-01-12 | 
刀 河内大掾正廣


刀 河内大掾正廣

 これも綺麗な刃文構成の刀だ。地鉄も小板目肌が良く詰んでおり、とにかく地沸が強い。その中に地景によって流れ肌がうっすらと見える。互の目が連れるような刃文構成は正廣などの特徴。刃境の沸は、さほど荒くは感じられないのだが、刃中には小沸と匂が淡い砂流となって流れている。




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刀 肥前國佐賀住正廣 Masahiro Katana

2018-01-11 | 
刀 肥前國佐賀住正廣


刀 肥前國佐賀住正廣

 これも初代正廣の作。焼深いながらも焼頭が穏やかに連なる互の目の刃文に、霞が棚引くように刃中に沸の帯が広がっている。なんて美しいのだろうか。かなり沸の強い調子で、刃中のみならず地沸も激しい。互の目が所々地に突き入る部分もあり、相州古作を手本としたことは間違いがない。






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脇差 肥前國河内大掾正廣 Masahiro Wakizashi

2018-01-10 | 脇差
脇差 肥前國河内大掾正廣


脇差 肥前國河内大掾正廣

 表裏の刃文を違えた出来。古作手掻包永に「このてがしわ」と号のある表裏の刃文を違えた作がある。こうした古作に倣ったものであろう。表裏の焼きを違えるということは、単に焼刃土の塗り方を違えるという以上に、実は厄介で難しい問題点があることを忘れてはならない。刀身表裏で焼き入れによって生じた引き合う力が異なることから、刀身が片方に曲がりやすいというのだ。それを克服しての作ということだ。いくつも失敗を重ねた結果が、この一口であろう。全身写真の表裏が見つからないので、裏は部分拡大写真でご容赦願いたい。
 

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刀 河内大掾正廣 Masahiro Katana

2018-01-09 | 
刀 河内大掾正廣


刀 河内大掾正廣

 忠吉家と共に鍋島家に仕えたのが正廣家だ。江戸期の肥前を代表する名流の一つ。忠廣の直刃に対して相州伝の乱刃を得意としたのが正廣。この「正廣」の工銘も相州伝乱刃を製作したことから鍋島家より賜ったもの。奇麗でしかも沸の働いた激しい互の目を焼いている。この刀も元先の身幅が広く鋒が大きく伸びており、南北朝時代の相州物を手本としていることがわかる。地鉄は小板目肌に地沸が付いて、独特のちりちりとした感じの小糠肌。小沸出来の互の目が二つ三つと連れる態があり、刃中には砂流しが穏やかに、しかも濃密に流れる。特に刃中の匂と沸の調和が美しい。






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短刀 武蔵大掾忠廣 Tadahiro Tanto

2018-01-06 | 短刀
短刀 武蔵大掾忠廣


短刀 武蔵大掾忠廣

 初代忠廣。即ち初代忠吉の晩年作。江戸時代の美しい肥前刀はこの忠吉から始まった。なんて綺麗なんだろう。たっぷりとした量感のある姿から始まり、均質に詰んだ小板目鍛えの地鉄、端正な直刃。こうして忠廣の直刃を眺めると、その技量の高さに改めて感じ入る。ただ眺めてほしい。


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