日本刀鑑賞の基礎 by ZENZAI  初心者のために

日本刀の魅力を再確認・・・刀のここを楽しむ

短刀 相模守政常 Masatsune Tanto

2020-07-17 | 短刀
日本刀買取専門サイト 銀座長州屋


短刀 相模守政常


短刀 相模守政常

 江戸時代初期慶長頃の政常は、戦国時代に美濃で栄えた兼常の末流。技術力高く、尾張に移住して、やはり栄えている。地鉄は均質に詰んだ小板目肌。時代の上がる美濃物というと孫六兼元のように板目や柾流れの肌が強く、時に鍛え疵となって現れるものが多いのだが、和泉守兼定に例があるように、小板目鍛えが均質に詰んだ地鉄も製作されるようになっている。その影響は江戸時代に及んでいる。美濃刀が優れていると言われているのも、実はこのようなところにも理由がある。刃文は湾れ。わずかに逆がかる穏やかな互の目が連続して、次第に高まってゆくように感じられるところがある。この辺りは濤瀾乱の原型ではないかとさえ感じてしまう。




近頃再び刀剣関連の記事を特集する雑誌が増えています。
その協力依頼も増えており、このブログもしばらく、間遠くなりそうです。
ご容赦ください。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

繁慶 刀 Hankei Katana

2020-07-13 | 
日本刀買取専門サイト 銀座長州屋


繁慶 刀


繁慶 刀

 繁慶の刃文構成は、刃文の形状が分からないほどに沸が強く深く、刃中の働きが濃密である場合が多い。この刀についても、研師が刃文を分かりやすくするために刃採りをしているが、こんなに単純な湾れ互の目ではない。砂流し、沸筋が鍛え目と複雑に絡んで縦方向の働きを生み出している。元来、繁慶は鉄砲鍛冶であり、鉄砲の技術を刀に採り入れた職人である。折れにくい刀、即ち粘り強い鋼を研究した結果がこの地鉄であり、刃文構成はあまり眼中になかったのではなかろうか。




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

播磨守國隆 刀 Kunitaka Katana

2020-07-10 | 
播磨守國隆 刀


播磨守國隆 刀

 國隆は和泉守國貞の門人。師國貞及びその子である真改の協力鍛冶として知られている。そのため、あまり作品はないのだが、名工の一人である。この刀も、変化のある湾れにやはり変化のある互の目を交えた刃文構成。一つとして互の目が揃ったところがなく、刃中の足の様、砂流し、沸筋も作意なく自然に入っているように感じられる。先に紹介した久道も同様だが、実はこの時代、既に刃文構成は焼刃土の置き方でいかようにも自由にできる時代である。にもかかわらず、自然な乱れを求めて焼いているのである。




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

丹後守兼道 刀 Kanemichi Katana

2020-07-08 | 
丹後守兼道 刀


丹後守兼道 刀

 兼道も三品派の名工。二尺八寸を越える長寸刀。この寸法を、元から先まで緩みなく均質に鍛え、焼刃を施している。見事な出来である。地鉄はわずかに流れ肌を交えた小板目鍛えで、古調なところと江戸期の清らかなところが調和している。刃文は美しい湾れ刃。刃境には土置きによる構成を否定するかのように様々な小乱が交じり、刃境に鍛え目に伴う沸筋と砂流しが流れるように掛かり、地中にも湯走りが層状に流れ込んで景色を成し、それはそれは美しい。写真で地刃の複雑な景色を伝えられないのが悔しい。□


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

近江守久道 刀 Hisamichi Katana

2020-07-08 | 
近江守久道 刀


近江守久道 刀

 久道は三品鍛冶の一人。高い技術を備え、湾れ互の目を得意とした。三品系の焼刃構成は、志津を想わせるように古作に倣った刃文構成でパターン化しないところに面白みがある。沸が強く深く、互の目も湾れも抑揚変化に富み、刃中には沸の流れの働きが濃淡変化をしながら焼刃全面を装う。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

河内大掾正廣 刀 Masahiro Katana

2020-07-06 | 
河内大掾正廣 刀


河内大掾正廣 刀

 江戸時代前期の肥前正廣の湾れ刃。正廣家は忠吉家と並んで肥前に栄えた鍛冶集団。この正廣は四代目。正廣は相州伝を得意としており、互の目乱などを焼いている。地鉄は緻密に詰んだ肥前肌。この湾れ刃は、ゆったりとした構成であり、焼の深いところに小足や葉が入っている。互の目に葉が入って虻の目状となるのが肥前の互の目の特徴であるのだが、湾れ刃でも同様の働きがある。三所物の一つと言えよう。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

井上真改 刀

2020-07-04 | 

日本刀買取専門サイト 銀座長州屋

井上真改 刀


井上真改 刀

 真改は、助廣と並んで大坂の横綱と評され、正宗の再来と呼ばれるほどに美しい地鉄と沸深い焼刃を生み出した。特に沸深い焼刃は、刃文構成が判らないほどに変化に富み、地刃の境界が判らないほどに沸深く、時には刃先まで沸が広がる作もある。この刀の刃文は浅い湾れ。刃中は沸の広がりが刃先近くまで及び、物打辺りには沸筋が霞みの流れのようにたなびき、わずかに掃き掛ける帽子へと連続している。とにかく美しい。湾れ刃を美しく焼くという作意はあるのだろうが、自然な構成となり、作意を感じさせないところが魅力。□


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

水田國重 刀 Kunishige Katana

2020-07-03 | 
水田國重 刀


水田國重 刀

 戦国末期から江戸時代にかけての水田國重一門は、かなり強く相州伝を意識していた。沸強い湾れ刃に互の目を交えている刃文構成。この作では鍛え肌に沸の絡んだところが刃肌となって強調されている。やや尖り調子の互の目は不定形に乱れて出入り複雑に、湾れとの調和もとられている。刃文をくっきりとさせずに、肌目が刃中に自然に溶け込んでいるようにもみえる。このような刃肌は、微妙に質の異なる鋼を織り込むように鍛え合せているために生じるもので、刀身の強靭さを求めた結果である。好き嫌いは別にして、すごい景色となっている。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする