日本刀鑑賞の基礎 by ZENZAI  初心者のために

日本刀の魅力を再確認・・・刀のここを楽しむ

脇差 肥前國住藤原忠廣 Tadahiro Wakizashi

2012-07-03 | 脇差
脇差 肥前國住藤原忠廣

 
脇差 肥前國住藤原忠廣 寛永十四年二月吉日

 近江大掾忠廣というと直刃上手で知られている。そもそも小板目鍛えに直刃を焼く鎌倉時代の京の刀工を手本としたことからの特質であり、大きな魅力でもある。その若き頃、二十四歳の作がこれ。身幅が広く寸法は抑え気味に反り深く、江戸初期の姿格好。刃文は相州伝を基礎とした湾刃で、地鉄鍛えは緻密さを増しつつある小板目鍛えにわずかに板目を交える出来。肥前肌に間違いない。ゆったりと湾れた焼刃の刃境には小沸が帯状に連続しており、所々に沸筋が流れ、喰い違い、あるいは二重刃の様相を呈する。さらに、小沸の小足が小乱状に入り、ほつれから連続する砂流しが刃中を流れ、帽子も綺麗な小丸返りに小沸が絡んで掃き掛けごころの景観。古研ぎであるが故に見栄えは完璧とはいえないが、覇気溢れており、若き忠廣の意欲の窺える作となっている。

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