日本刀鑑賞の基礎 by ZENZAI  初心者のために

日本刀の魅力を再確認・・・刀のここを楽しむ

剣 家久 Iehisa Ken

2019-11-19 | その他
剣 家久


剣 家久

 室町時代後期天文頃の短剣。肌立つ板目に細直刃。これも、密教に通じた武士の持ち物であろう。剣は、武器というより法具ではなかったかと思うのだが、意外にも研磨が重ねられて身幅が狭まっている遺例が多い。特に戦国時代を遡る作では。江戸時代以降の剣を幾つか紹介してきたが、この戦国時代の剣と比較して見ると違いが良く判ると思う。戦場でも使われているのかもしれない。
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剣 文珠 Monju Ken

2019-11-18 | その他
剣 文珠


剣 文珠

江戸時代初期の大和文珠鍛冶の短剣。密教に通じた武士、あるいは僧の持ち物として鍛えられたものであろう。江戸時代らしい奇麗に詰んだ小板目肌鍛えに沸深い湾れ出来の刃文。姿格好が研ぎ減りなくしっかりとして健全体躯を保っている。
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剣 薩州住正良 Ken Masayoshi

2019-11-16 | その他
剣 薩州住正良


剣 薩州住正良

江戸後期の薩摩を代表する刀工。如何なる注文者があり、いかなる理由で製作されたものか不明だが、古典の意識下で鍛えられたのであろう。地鉄は、もちろん江戸後期の詰み澄んだ小板目肌鍛えに穏やかな板目が交じるもので、特に奇麗だ。刃文も、相州伝を基調とした薩摩ものに多くみられる沸の深い湾刃。だが、芋蔓と呼ばれる激しい沸筋がなく、物打辺りに沸筋金線が働き、総じて比較的穏やかな砂流しが働き、沸の美観が際立っている。


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剣 祐則 Sukenori Ken

2019-11-13 | その他
剣 祐則


剣 祐則

 月山貞一の剣を紹介したことがある。剣などはすでに遠い昔のモノといった印象があるのだが、復古意識によって製作され続けているようだ。明治二十七年に二荒山神社の前で鍛えたというのがこの剣である。二荒山神社は、宇都宮にある下野国の一宮と、日光二荒山神社が知られている。いずれの社前で鍛えられたものか不明だが、祐則は深い思いを込めて製作したに違いない。因みに、戊辰戦争で火災に遭った宇都宮の二荒山神社が、明治中頃から再建されており、この剣の作刀はちょうどその頃に当たる。剣の長さは一尺八寸。刃文は互の目が複雑に乱れる古風な出来。
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短刀 貞晴 Sadaharu Tanto

2019-11-12 | 短刀
短刀 貞晴

 
短刀 貞晴

 明治初期の貞晴は月山貞一の一門。この短刀も、六寸半ほどの小振りに仕立てられている。奇麗な銀地揃金具クジラ巻の短刀拵に収められており、武家の装いに応じた洒落た雰囲気があるも、抜き易さと堅牢性を求めた極めて実用的な作であることが判る。小板目鍛えの地鉄は良く詰んでおり、刃寄りに柾目肌が現れて流れるような景色が、焼刃によって現れている。刃文は直刃に浅い小互の目を交えた構成で、刃中砂流しが現れ、帽子も掃き掛けを伴っている。


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脇差 國包 Kunikane Wakizashi

2019-11-08 | 脇差
脇差 國包


脇差 國包

 保昌の末と伝える國包の、保昌写しながら、古作とは雰囲気が異なって緻密さが際立つ地鉄が大きな魅力の脇差。國包は江戸最初期の刀工。切れ味最上大業物に列せられているように、奇麗さだけではない武器としての実力を秘めている。地沸の付いた柾目鍛えが美しい。肌がわずかに揺れ、刃境でほつれや金線となり、刃中に流れ込んで砂流しに変じる。明るい匂と小沸の調和。新刀期における柾目鍛え出来の最高位にある刀工に間違いがない。

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短刀 保昌 Hosho Tanto

2019-11-06 | 短刀
短刀 保昌


短刀 保昌

 無銘、しかも室町初期まで時代の下がる保昌。だが、保昌の特徴は良く表れている。純粋な柾目鍛え。柾目の合間を埋める部分も細かな柾目で、下から上までわずかに揺れながら連続している。先端部が鋒に収束しているように感じられる。古作は棟側に流れるようになるところが異なる。


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短刀 正勝 Masakatsu Tanto

2019-11-05 | 短刀
短刀 正勝


短刀 正勝

 度々紹介している、幕末から明治初期の冠落造の短刀。江戸時代が終わってもいい刀が作られているぞ、という気分で作品を紹介している。刃長は七寸五分ほど。小振りに引き締まっていながらも頑強な印象がある。正勝の年紀作は明治三年頃までで、以降は年紀のないものがある。この短刀は大きく慶応頃とみている。正勝は徳勝の弟子で、師譲りの柾目鍛えを得意とした。柾目鍛えというと、同時代では清人が名品を遺しており、江戸初期には仙台國包があり、その祖先と伝える保昌が始まりとも云われている。この短刀は、緻密に詰んだ柾目。焼刃に沿って沸が働くために肌目が顕著になるが、地中では小板目風に良く詰んで肌目が判らない。再び棟焼きによって柾の肌目が際立つ。総体に密な柾目肌である。刃文は穏やかな湾れを伴う直刃。

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刀 左行秀 Yukihide Katana

2019-11-01 | 
刀 左行秀


刀 左行秀

 兼虎の特質の一つでもある沸深い出来に関連して、例に出した左行秀を改めて眺めてみる。沸が強くて深いという左行秀の凄さは、この作例で判るのではなかろうか。左行秀が生きた同時代、これほどに沸が深く強い刀を製作した刀工はいない。他には、少し時代が上がって井上真改がいる。刃縁の沸の帯から刃先に向かって沸が柔らかく広がり、明るく細密な沸が刃先にまで達しているのが判ると思う。地中にも地沸があり、本作においては、いずれも叢がなく均質である。もちろん湯走りや刃中に金線沸筋砂流しを働かせた作もあるが、ここに見るような均質な地刃を生み出した左行秀の凄さは、他にこのような作を遺した刀工がいないという点で理解すべきだ。同時代の相州伝刀工では、肌目を強く出して沸出来の刃文を焼いた大慶直胤がいる。直胤も清麿と同様に鍛え肌を強く意識した作風で有名だが、左行秀の相州伝とは異質、まったく別の分野と言っていい。左行秀もまた相州伝の刀工。この差を鑑賞して楽しんでほしい。
コメント (2)
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