日本刀鑑賞の基礎 by ZENZAI  初心者のために

日本刀の魅力を再確認・・・刀のここを楽しむ

脇差 伊勢守國輝 Wakizashi

2011-07-20 | 脇差
脇差 伊勢守國輝


脇差 銘 小林伊勢守國輝 延宝五年八月日



 刀を紹介する際に最高傑作と表現したが、この脇差も最高傑作と言って良いだろう。最高傑作が幾つもあるの?と言われそうだが、まさに健全度が高く、地鉄は刀に比してより均一に綺麗に詰み、大坂新刀らしい出来となっている。刀が古作写しであれば、脇差は同時代の大坂新刀の先輩を追い抜こうと試みたもの。綺麗に焼かれた大互の目の刃文は破綻がなく、しかも特徴的な焼頭に小互の目を配することも忘れていない。それが故に刃境に働きが生まれている。寸法が一尺八寸五分と極端に長い。身幅も広く重ねが厚いこのような江戸時代の作は、大坂の豪商が費用を気にせずに造らせたもの。しかもその後は大切に扱われて製作されたままの状態を保っている。□

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刀 小林伊勢守國輝 Katana

2011-07-16 | 
刀 小林伊勢守國輝


刀 銘 小林伊勢守國輝 延宝三年八月日



 恐らく國輝の作中最高傑作。刃長二尺三寸六分で扱い易い寸法ながら、肉厚く身幅広く、手にしてどっしりと重く、扱いが容易ならざることを再認識する。小板目鍛えの地鉄は意図的に時代の上がるよう地景を交えたものであろうか、地鉄は良く詰みながらも、大坂新刀らしからぬ強みのある肌目となっている。刃文構成は焼の高い大互の目で、互の目の頭に小互の目が施されて刃形は不定形に乱れ、太いあしが刃中に流れる。焼刃は、やはり大坂新刀。沸深く強く冴え、所々強くはないが沸筋砂流し掛かる。相州古作を狙ったものであろう、國輝に常にない作となっている。□



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刀 坂倉言之進照包 Terukane Katana

2011-07-12 | 
刀 坂倉言之進照包 


刀 銘 坂倉言之進照包



 照包の濤瀾乱がより鮮明となり、しかも助廣のそれとは自ずと異なるように、照包の独創が顕現している作。沸深く明るく、足も長短綺麗に入り、これを切るようにわずかに沸の帯が流れる。
 刃長は二尺一寸ほどで、刀としては短め。如何なる理由か不明ながら、実はこれぐらいの寸法の刀は、大名家伝来の大小揃いとされた刀に間々みられる。江戸時代の大小揃いの刀が二尺三寸を基本とするのは確かだが、それは決まり事としての寸法。それが総てではなく、すこし短めの作に名品が多いことも認識しておくべきであろう。自らを守る刀は自らに適合した寸法、自らが最も扱い易い寸法こそ利器となるのである。いつも言うようだが、二尺三寸が定寸ではないのである。
 照包は二代越後守包貞同人。包貞銘を本家に返して自ら改銘したのである。

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刀 越後守包貞 Katana Kanesada-Echigonokami

2011-07-10 | 
刀 越後守包貞

 
刀 銘 越後守包貞

 互の目の頭を連続させ、しかも大きさを変えることによって寄せ来る波を想わせる造形とした、濤瀾乱刃の様相が窺える作。製作時期は、照包改銘直前。造り込みはわずかに反りが付いて姿格好に張りがある。さすがに洗練味高く、沸の粒子が綺麗に揃って深々と付き、所々に特徴的な沸の帯が流れる。助廣、真改に代表されるような、過ぎることのない刃中の働きこそ大坂新刀相州伝の最大の魅力と言えよう。

 
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刀 越後守包貞 Kanesada-Echigonomami

2011-07-06 | 
刀 越後守包貞

 
刀 銘 越後守包貞

 この刀工が得意とした、助廣伝の大互の目乱刃。互の目が複式に連続して角張る態となるところにこの工の特徴が窺える。沸深く明るいところは絶品。大坂新刀の魅力が最高に現われているところである。
 越後守包貞は初代の弟子で、初代の子が幼かったことから二代目を襲ったが、初代の子の成長を見て後にその工銘を返上、自らは照包と改銘した。本作はその改銘の少し前と推測される、技量頗る高い頃の作。造り込みは寛文頃の特徴を残して反りを控えた直線的な姿格好。突くと切るのいずれにも効果ならしめるもの。小板目鍛えの地鉄は、棟寄りの肌が起って柾気が表れるも良く詰んで潤い感がある。互の目の頭はほぼ一定に焼き高く、刃縁の沸匂は見事に調和して明るく冴え冴えとしている。刃中には沸が帯状に断続し、砂流しかかり、互の目の中に沸の凝りを交えて変化に富む。

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