goo blog サービス終了のお知らせ 

崖っぷちロー

チラ裏的ブログ。ここは「崖っぷち」シリーズ・あん○ーそん様とは関係ありません。レイアウト変更でいろいろ崩れ中

ロス疑惑の一議論

2008-08-20 00:09:23 | 法律関係問題
>裁判は、同じ事件で再び罪に問われない一事不再理の適否が最大の争点。

>検察は逮捕容疑の一つの共謀罪について、「日本で裁かれていない」と主張している。
>ウエスト教授は「カリフォルニア州刑法の共謀罪は謀議のあった事実だけで成立するが、
>日本の共謀共同正犯は実行行為の着手が構成要件上必要だ」と証言した。

>弁護側は、反対尋問で同教授が同州刑法に精通しておらず、証人として不適格と指摘した上で、
>「共謀罪と日本の共謀共同正犯は同じ概念であり、既に審理済みであることは明らかだ」と反論した。 

共謀罪解釈で証人尋問=三浦元社長も回線使い「初出廷」-疑惑銃撃事件・ロス地裁

これもテレビでみましたw
まず、検察側証人が言う、日本に共謀罪が無いという点は正しいと思います。

これに対し、テレビで見た映像では、
弁護側が「日本の判決文には『共謀』という言葉が使われている」旨主張していました。
検察側証人は、これについて「知らない」というような態度を示していたように記憶しています。

確かに、弁護側が言うとおり、「共謀」という言葉は判決文でも(起訴状でも)使われています。
しかし、それはいわゆる共謀罪を指している訳ではありません。
ましてや、共謀罪と共謀共同正犯は同じ概念ではありません。
同じ概念なら、あんなに必死に改正刑法でねじ込もうとはしませんw

ということで、検察側に分があるように思えます。

もっとも、
>弁護側は、反対尋問で同教授が同州刑法に精通しておらず、証人として不適格と指摘した
という部分が、
カリフォルニア刑法の共謀罪が実は共謀者の一人の実行行為が必要であるとかいう
ことを指しているのであれば別ですが…

***
ただ、
>検察は逮捕容疑の一つの共謀罪について、「日本で裁かれていない」
との主張には疑問があります。以下はただの迷走ですw

日本では、一事不再理効の及ぶ客観的範囲(対象)は、
実際に争われたその犯罪の事実(訴因)に限定されず、
それと「公訴事実の同一性」がある範囲の犯罪事実にも及びます。

そして、「公訴事実の同一性」があると言うには、
①基本的事実が共通又は重なり合っており、
②両者が非両立の関係にあること
が必要となります。

共謀罪と共謀共同正犯(で無罪になったんですよね?確か)では、
①は問題ないでしょう。
そして、②については、よく分かりませんが、法条競合で非両立になるのではないかと思います。
(ただ、具体的事実に即さないで公訴事実の同一性を論じるのは、本来は適切ではありません。)

そうすると、共謀罪と共謀共同正犯が同一でなくとも、
一事不再理効により禁じられるのではないかな…と。

それとも、そもそも犯罪類型としてなければ、それについて有罪になる危険性は無いという事でしょうか?
そうだとしても、手続の負担という側面ではやはり危険があり、
一事不再理効が及ぶべきなんでしょうか?(二重の危険説から見ると)

よくわかりませんw
そもそも、アメリカの二重の危険の法理がどうなっているのか分かりませんし…

大野病院医療事故1

2008-08-19 23:19:05 | 法律関係問題
大野病院医療事故:産科医処置あす判決 過失致死の刑事責任問えるか /福島

明日らしいです。
なら、判決がでてから書けよという話ですが。

そもそもこの事件自体、今日、テレビでニュースを見て知りました。
(正確には、以前から知覚していたはずですが、それを意味のあるものとして認識しました)
今現在、私は全くの前提知識無しです。
実際の法廷での両者の主張などは知りません。
医療・産科医の在り方とかのでっかい議論をしているようです。
マスコミによるとですがw

ただ、全くの第三者・知識のない人間からすると、
業務上過失致死における(通常の過失致死で課されるよりも)「重い注意義務」の
認定の問題にすぎないのでは?なんて思います。

許された危険の法理まで踏み込むとしても、
結局はその前提として必要な行動規範の認定の問題になり、
それは「重い注意義務」と実質的には変わらないのではないかという気がします。

ですので、
>本来的に結果の完全な予測が不可能な営みである医療行為に対して、
>「結果が予見出来たにもかかわらずそれを回避しなかったこと」を罪とする
>業務上過失致死罪の適用はナンセンスであり、これがまかり通るならば
>リスクを伴う医療行為を引き受ける者は存在しなくなるとの批判がある
『ウィキペディア(Wikipedia)』

なんて大層な問題にはならないのではないかと思われます。

というか、結果予見義務の前提となる結果予見可能性について、
「結果の完全な予測」というものはそもそも必要ではないですが…

その点を捨象するとしても、およそ医療行為には過失犯の適用がないとすることは
妥当ではありません。
普通の医者であればしないようなミスでさえも過失犯にならなくなってしまいますから。

また、これが許された危険の法理のことを言っているのだと善意解釈すれば、
その前提として必要な「行動基準」が結局問題になりますよという話です。

ウィキペディアに乗せられたにすぎず、しかも抜粋された部分だけを
みても仕方ないですが。


まぁ、前日に騒いでも仕方ありませんね。
法律構成が全く違うなんて可能性もありますし、
地裁なら力作をもってくる可能性も十分ありますしw

判決言い渡し後、速やかに全文がアップされることを期待します。

※犯罪の大まかな構造(諸説あります)
 構成要件該当性→違法性阻却事由→責任阻却事由=犯罪

※過失犯の大まかな構造(もちろん諸説あります)
 結果予見可能性→結果予見義務→結果回避可能性→結果回避義務=客観的注意義務
 客観的注意義務に違反した一定の作為・不作為=過失行為→構成要件的過失

※許された危険の法理(も(ry)
 生命身体への危険があるが、社会的に有用であるという行為については、
 その行為が一定の行動基準に従って行われる限り、適法なものとして許容するという法理。
 そのため、このような行為が現実に法益侵害を惹起しても、
 行為者が一定の行動基準を遵守している限り、
 当該行為者に結果回避義務を課すことは出来ないとする。
 (書研・講義案より)

毎日新聞2

2008-07-05 00:00:58 | 法律関係問題
毎日新聞に対して、某掲示板の人が訴訟を提起したようです

>通常訴訟で提起です。
>神戸簡易裁判所 平成20年(ハ)第11444号慰謝料請求事件
>ソースは神戸簡裁民事第1係 (電話番号は省略) 長田書記官にお問い合わせ下さい。
>第1回口頭弁論期日は本年8月7日10:30 神戸簡裁第226号法廷です。
>傍聴お待ちしています!

>第1 請求の趣旨
> 1 被告は、原告に対し、10万円およびこれに対する本訴状送達の翌日から
    支払い済みまで年5%の割合による金員を支払え。
> 2 訴訟費用は被告の負担とする。
> 3 以上に付き仮執行宣言

>第2 請求の原因
> 被告は、平成11年から現在に至るまで、毎日新聞英語版において、
>日本人全員を侮辱する、何ら根拠に基づかない記事を故意に配信した(甲1)。
> 仮に故意でなくとも、被告は監督責任者として、かかる根拠に基づかない報道を
>行なわないよう、監視・指導すべき注意義務を著しく懈怠した。
> 被告のかかる故意・重過失に基づく行為は、社会の公器たる新聞社の行為として
>到底許されるべきものではなく、違法性は極めて高いといわざるを得ない。
> 原告は平成20年6月末に至り、これらを知るに至った。
> かかる記事は日本人全員を侮辱するものであって、原告も日本人の一員として、
>被告に対し強い憤りを感じ、被告の行為によって強い精神的苦痛を受けた。
>その相当因果関係は明らかであり、被告の予見可能性も充分ある。
> その精神的苦痛は少なくとも金10万円を下回ることはない。
> したがって、原告は、民法709条及び715条に基づき、
>請求の趣旨の通りの判決を求め、本訴を提起した次第である。

今回の訴訟の目的って、民事訴訟の目的論との関係でどう評価するべきか?とか、
訴訟形態の選択の問題とか、
損賠請求の法律構成とか、
そして、請求が認容されるかどうかなど、
いろいろおもしろいのですが…検討する時間ないよなぁw

毎日新聞側のリアクション次第では、更に論点が広がっていくんですが…

某掲示板ではもいろんな段階の問題点について意見が錯綜していますが、
意外と細かい手続に関する意見交換が行われているようです。

秋葉原大量殺傷事件

2008-06-11 22:43:36 | 法律関係問題
(1)あの秋葉原の大量殺傷事件ですが、
 法学部生・院生として考えなければならないことは多々あるということを
 検察出身の先生が雑談の中で仰っていました。

 例えば、
 準現行犯なのか現行犯なのか。
 どの客体に対する殺人未遂で逮捕されたのか。
 今後既遂になるとして、再逮捕などの問題はあるのか。
 実況見分か検証か。
 責任能力はどうか。
 罪数はどうなるか?

 などなどです。

 取り立てて法的に難しい論点というわけではありませんが、
 実務家になれば当然の様に処理しなければならない、手続的な問題などです。

 正直、私は実体的な問題しか考えていませんでしたw
 こういう違いが実務家とそれ未満では大きいのでしょうか

(2)世間では、犯人の背景にある社会的な問題と、(おそらく)責任能力・量刑に
 話題が集中するような気がします。
 前者について、
 社会学や経済学を勉強したわけではなく、また、犯罪心理学なども勉強していませんので、
 私が特に言えることはないです。

 ただ、社会国家・福祉国家の理念、資本主義をいわば修正した歴史、
 秩序や治安の維持、国力・文化を育てる礎などといった観点から考えますと、
 貧富の差が広がりすぎるのはまずいのかなという気はします。
 もちろん、格差が全くない社会というのはありえませんが…

 その意味で、「格差社会」否定論ではなく、「過度の格差社会」否定論ということになるでしょうか。
 もちろん、何を以て「過度」とするか極めて曖昧・不明確であり、
 適切な絞りとして機能しないのではないかと批判されるでしょう。

※追記
 他の人達のブログを見ていますと、むしろ派遣業法関係に関する意見が多いようです。
 立法論・政策論になってしまうため立ち入りませんが、
 労働法を勉強していた当時も、これでいいのか?という疑問はありました。

(3)ちなみに、
 先ほど放送してた刑事ドラマでは、人を傷害した犯人を警察犬?らしき
 犬が現場から追っかけていました。

 人が追いかけたのであれば、
 準現行犯(212条2項1号)の「犯人として追呼されているとき」にあたるのでしょうが、
 犬だったらどうでしょうね??

 まぁ、現実にはなかなか起こらないとおもいますがw

婚外子国籍訴訟判決

2008-06-04 23:38:42 | 法律関係問題
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20080605k0000m040120000c.html
婚外子国籍訴訟について、最高裁の法令違憲という判断がでました。

判決文はこれです
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080604174246.pdf

正直、あんまりこういう系統の問題には興味がないんですが、
数年後の司法試験には出てくる可能性が十分にあるので、
押さえないわけにはいきません。

ですが、まぁ今日は法廷意見だけ流し読み。
さすがに最近の判決文は構造も掴みやすく、読みやすいですね。

適当にメモ
(1)14条1項→不合理な差別を禁止
 憲法10条→立法府の裁量判断。
       もっとも、合理的理由のない差別的取扱いの時は14条①違反の問題あり。
       ↓
       目的の合理性、手段と目的の合理的関連性がなければ、合理的理由のない差別

(2)日本国籍→重要な法的地位、子にとっては自分でかえられない父母の身分行為にかかる事柄
     →慎重に検討

(3)国籍法3条①の趣旨→我が国社会との結びつき
 立法目的→合理的な根拠がある
 また、制定当時→目的との間に合理的関連性あり。

(4)しかし、社会通念・社会的状況の変化+国際的交流増大による親子関係の複雑多様化
 →子と我が国との結びつきの強弱を両親の法律婚の有無で直ちにははかれない
 →法律婚で初めて国籍を与えるにたる結びつきアリとするのは実態に適合しない。
 また、諸外国の状況の変化
 差別的取扱いによって被る不利益は看過し難い
  ↓
 立法目的との間に合理的関連性を見出し難い。

(5)簡易帰化ではだめ。
  仮想認知のおそれがあるとしても、結論を覆す理由にはならない。

(6)結論:憲法14条違反

民主党円より子議員

2008-05-22 01:31:55 | 法律関係問題
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/seigan/current/2525.htm

美少女アダルトアニメ雑誌及び美少女アダルトアニメシミュレーションゲームの
製造・販売を規制する法律の制定に関する請願らしいです。

あくまでも「要旨」らしいので、本体ではちゃんとしたものになっているのかもしれませんが…
この請願要旨を見た人たちから相当突っ込まれているようですw
多く突っ込まれているポイントとしては↓みたいな感じでしょうか?

>小学生の少女をイメージしているものが多く、
 →そうなの?統計は?

>心を破壊され、人間性を失っており
 →酷い言いようだな。そうなるという証明・疎明はできるの?

>既に幼い少女が連れ去られ殺害される事件が起きている。
 →これがどう関係あるの?

>幼い少女たちを危険に晒(さら)す社会をつくり出していることは明らかで
 →(社会的な)因果関係は?他の要因は?
  「明らか」とかするが本当に明らかなの?

>表現の自由以前の問題である。
 →国会議員が恣意的に表現の自由の範囲を制限することの「怖さ」
  参照 青山学院大学某准教授4

>社会倫理を持ち合わせていない企業利潤追求のみのために
 →根拠もあいまいなまま断定?

>幼い少女を危険に晒している商品
 →本当に危険にさらしていますか?
 
>罰則を伴った法律の制定を急ぐ必要がある。
 →立法目的達成のための手段として憲法的に許容されるか考えたことありますか?

などなど。
こういう類の雑誌・ゲームなんて「気持ち悪い」という感情が大爆発した感じですね。
私も好きではないですが…

社会学的・心理学的・犯罪学的・憲法的説得力に乏しいあたり、さすが「国会議員」ですね。

国会は立法府ですが。
国会議員なんて、
法制局や官僚・立法担当の学者さん達が国民から見え無いところで頑張っているのを尻目に、
パフォーマンスになる法案についてパワーゲームをするくらいで、
実際に法律案を作成・理解・審議する能力は酷いですからねw
法曹や官僚出身でない純粋な議員は特に…

※追記
 以上のように、この請願の内容については反対ですが、
 だからといって、議員辞職をしろなどというつもりはありません。
 本人が弁解・謝罪なり、あるいは反論なりをすればそれでよいと思います。
 あくまでも言論の対決であるべきでしょう。

ネット上の名誉毀損の新基準

2008-05-18 22:31:37 | 法律関係問題
ということで、法学セミナー641号にラーメンFC中傷事件の地裁判決についての記事がありました。
(以下、ほぼ引用です)

ここで重要なのは、従来の真実相当性の基準について、改めて検討を要するとされたことです。
 ※名誉毀損罪の構造
  公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず罰せられる(230条)
  ↓しかし
  ①公共の利害に関する事実、②目的の公益性、③真実の証明があれば、罰せられない(230条の2)。
  ↓
  そして判例では、真実の証明がなくても、真実であると誤信したことについて、
  確実な資料、根拠に照らして相当の理由があるときは、犯罪の故意がないとされます。
  つまり、罰せられません。

従来は、
「確実な資料、根拠に基づいて事実が真実だと誤信して発信したと認められなければ直ちに罪に問う」
というものでした。

しかし、この様な基準であれば、
「自己検閲によって表現行為が萎縮する」
「情報や思想の自由な流通が確保されなくなる」
という懸念があります。

そこで、罪に問えるのは
「真実でないと知りながら発信したり、ネットの個人利用者に対して要求される水準を満たさず
 真実か確かめずに発信した時」
であるとされました。

そして、「個人利用者に対して要求される水準」に関して、
「個人利用者がネット上で発信した情報の信頼性は一般的に低いものと受け止められている」とネットの実情を指摘されました。

まだ地裁レベルの裁判例なのでなんとも言えませんが、
最高裁までもつれ込んでこの分野に対する真正面からの判決がでるのであれば、
かなりインパクトのある判例になるのではないかと思われます。

グリーンピース、捕鯨船乗組員を告発3

2008-05-18 00:18:49 | 法律関係問題
調査捕鯨の鯨肉を持ち出し?乗組員らをNGOが告発へ(朝日新聞) - goo ニュース
>鯨肉を配送した西濃運輸(岐阜県大垣市)が16日、
>宅配中の段ボール1箱が盗まれたとして、青森県警に被害届を出した。

あ、ついに被害届出したんですね。
ただ、法律的には全体の占有は運送会社に、中身の占有は送り主にあったと思います。
ですので、乗組員の方も被害届をだせばいいんじゃないですかね?w

>(グリーンピースの)顧問弁護士は「形式的には窃盗かもしれないが、
>横領行為の証拠として提出するためで、違法性はない」としていた。
やはり、違法性阻却ですか。
そんな理由だけで違法性阻却できるんですかね?
できるとして、具体的にどういう法律構成なんでしょうか?
もっと詳しく教えて欲しいところですw

あと、自然的関連性のことですが。
自然的関連性というのは、
「証拠は、主要事実のいずれかの要素の存否を立証するに意味のある情報を提供する 最小限度の証明力を要する」ということです。

私としては、そもそも自然的関連性は証明力のところで考えれば足りると思うのですが(前田)、
一般には証拠能力の問題とされています。
※この意味では、証明力と証拠能力が密接に関係することになります。

ただ、自然的関連性の有無は、裁判所が個々の証拠ごとに個別具体的に判断するものです。
そして一般には、ポリグラフ検査や犬の臭気選別、疫学的証明などが問題となります。

今回のように、主義・主張的に敵対する者に一旦わたった証拠物について、
最低限の証明力もない(=自然的関連性がない)とされることはないのではないでしょうか?

もちろん、私人による違法収集証拠が一般に自然的関連性なしとされることはありません。

結論としては、極めて例外的な場合でない限り、自然的関連性は認められるように思います。 


グリーンピース、捕鯨船乗組員を告発2

2008-05-17 11:42:57 | 法律関係問題
>グリーンピースの証拠収集の手法は、専門家から見てどうなのか。
>刑法に詳しい日大大学院法務研究科の板倉宏教授は、
>「鯨肉を持ち出したのは、窃盗に当たると思います」と話す。
>グリーンピースが犯罪の証拠品になると主張していることについては、
>「証拠能力はあります。ただ、証拠を得るために窃盗までするのは、
>正当性がなく認められるものではありません」と指摘している。
 http://www.j-cast.com/2008/05/16020256.html

らしいです。
板倉先生w いや、私は日大ろーじゃないですが。
前にもなんかの取材に答えていらっしゃったような…

ただ、刑法の先生に聞くなら、同時に刑訴の先生にも聞いた方がいいとは思います。

証拠能力について、板倉先生は肯定されていますね。
他の先生方はどう考えられるんでしょうね…?

いろんな人の意見を見ていて思ったこと。
①犯罪が成立するかどうかを考える際に、TBやRwをちゃんと考えている人は少ない。
②そのため、TB段階の問題とRw段階の問題を混同していることが多い。
③行為が違法かという問題と、その行為によって得た物の証拠能力の問題を混同している人が多い。
④証拠能力と証明力を混同している人が多い。
※自然的関連性が切れるのではないかという意見を戴きました。
  後で考えてみます。
⑤私人の場合と捜査機関の場合を混同している。あるいは、単純に捜査機関>私人と考えている人が多い。

③の混同が一番大きいんじゃないかと思います。

グリーンピース、捕鯨船乗組員を告発

2008-05-15 21:46:44 | 法律関係問題
http://www3.nhk.or.jp/news/k10014598971000.html
>今回の告発にあたってグリーンピース・ジャパンは、
>乗組員が送ったとみられる宅配便の荷物の1つを本人に連絡しないまま
>運送会社の配送所から持ち出し、中を開けたということです。
>この行為についてグリーンピース・ジャパンの弁護士は
>「証拠品であるうえ、不当な利益を得る意思もなく、違法性を免れることができると考えている」
と話しました。

どうなんでしょうか?
1 まず、乗組員の行為は業務上横領か?
  →会社内で認められた正当な行為であるという意見もありますが、
   ここでは犯罪を構成すると仮定します。

2 グリーンピースの行為は適法か?
  (1)まず、窃盗罪と住居侵入罪の客観的構成要件に該当すると思われます。
   ここで、主観的構成要件要素としての「不法領得の意思」が問題となります。
   不法領得の意思とは、「権利者を排除して、他人の物を自己の所有物として、
   その経済的用法に従い、利用処分する意思」です。
   
   単に証拠とするためなら、物の経済的用法という点が難しいかもしれませんが、
   今回は窃取した鯨肉を食べているので、不法領得の意思は認められるでしょう。
   したがって、構成要件に該当します。

  (2)次に、違法性阻却事由が無いか問題となりますが、
    正当行為といえないでしょう。自力救済でもないですし。
    「証拠品であるうえ」というのは、具体的にどのような法律構成で
    違法性を阻却するのか不明です。
  
  (3)よって、窃盗罪と住居侵入罪は成立し、両者は牽連犯となるでしょう。
    ※追記 証拠隠滅と窃盗の観念的競合もあり得るかもしれません

3 では、違法な行為による証拠を使って良いか?
 (1)まず前提として、捜査機関が違法に証拠を収集した場合の判例の理解です。
 「証拠物の押収等の手続に憲法三五条及びこれを受けた刑訴法二一八条一項等の所期する
  令状主義の精神を没却するような重大な違法があり、これを証拠として許容することが、
  将来における違法な捜査の抑制の見地からして相当でないと認められる場合においては、
  その証拠能力は否定される」
 
  →違法収集証拠であれば全て排除されるというのではなく、
   2つの要件を満たした場合にのみ排除されるということに注意ですね。
  
 (2)では、私人が違法に証拠を収集した場合の処理はどうでしょう?(田宮)
  排除法則の根拠として捜査機関による違法の抑止効を問題とするならば、
  排除の必要はないということになるが、
  ①捜査の一環と評価できる場合や
   (例えば、捜査機関の依頼による場合や私人の側で積極的に協力の意図があった場合)
  ②違法の程度が著大で公正さを容認できない例外的な場合は、
   裁量的な排除の対象となる。

  ということです。
  もっとも、私人と捜査機関とで、排除する根拠が違って良いという論理もありうるかもしれません。
  (田宮先生の見解でも、その例外を基礎付ける根拠は明確でないので)

(3)今回の行為は、①の私人の側で積極的に協力の意図があった場合にあたるから、
  排除されるんじゃないかと個人的には思います。
  (それに違法の程度も重大だと思う)

4 もっとも、仮に証拠能力があるとしても、
  証明力(この証拠が信用できるかなど)の問題や
  検察が証拠採用するかという問題があると思います。
  なお、捜査の端緒になるというのはまた別の問題です。