缶を開けると、ムクムクとアイスシャーベットが出てくるものがあった。僕が小学校低学年の頃の事だ。棒が二本突き刺さったアイスキャンデーも、「お得感」があって、好きだった。まだ、コカコーラの自動販売機がお金を入れるとドアが開き、ロックが外れ、ビンを引っ張り出す形式のものだったし、パーコレーターでジュースを循環させ、紙コップで飲む形式の自販機も存在していた。鉄道の切符も、「最短区間」だけしか買えない機械があったり、印刷の文字のインクが手に付くという厄介なものもあった。バスに車掌がいる場合もあったりして、時代は「人間」と「機械」の過渡期だったのかもしれない。列車の行き先表示も、丸や四角の看板を終着駅でかけかえていた。路面電車などは、終点に着くと、車掌が「電線から電気を取るポール」の方向をひっくり返していた。大阪の市街地には、まだ、ロータリーバスが走っていた。ロータリーバスと言っても、今の人には分からないだろう。「バス」と「電車」の中間的存在なのだ。つまり、「走る経路の上の電線から電気を取って、走るバス」なのである。従って、電線の無いところは走れなかった。電線から電気を取る以外は、普通のバスだった。なんで、ロータリーバスという存在があったのだろう。今でいう「省エネ」かなぁ。父の持っていた「定期券」が、羨ましかった。大人が持つものだと思っていた。フジテレビの「夜のヒットスタジオ」が始まると、親は「子供の時間じゃないから、寝なさい」と必ず言った。そんな時代だった。







