秀策発!! 囲碁新時代

 「囲碁は日本の文化である」と胸を張って言えるよう、囲碁普及などへの提言をします。

囲碁観戦記の鑑賞術≪8≫〜先攻めか後攻めか〜

2015年12月07日 | 囲碁の話題
 現代のプロの碁は激しくなり、アマチュアがよく知る定石のある棋譜は少なくなりました。1つには、戦闘重視の韓国や中国の若手世代の台頭。また1つには、コミというハンデの変更。諸々の事情により、日本的なゆっくりとした打ち方は本流ではなくなっています。最近のプロの碁は、戦い重視でわかりづらい碁が増えたと、オールドファンの嘆きも耳にします。

 『人間講座』と言うNHKの番組が昔あり、作詞家の阿久悠さんが出演された事がありました。
「阿久さんの歌は詞先ですか、曲先ですか。そんな事を聞かれ驚いた事があります」
「詞先とは作詞が先、曲先とは作曲が先。音楽関係者の用語を何故一般の人が知っているのだろう……」
 西條八十や古賀政夫の時代は当然の如く詞先。ビートルズが流行り出してからは曲先。時代によってやり方や物事の主流は大きく変わる。興味深く見ていた事を憶えています。
 もしかしたら、囲碁もそうなのでしょう。攻めを優先させるか、守りを優先させるか。時代毎にトレンドが違って当然。そういえば、日本の囲碁史を振り替えれば、秀和や秀栄は堅実性重視。一方、秀甫や秀哉は攻撃性重視。戦後も、堅実性と攻撃性の正反対の棋風が交互に台頭し、日本の囲碁界を発展させてきました。これを考えれば、攻めの碁は筋が悪いと批判したり、守りの碁は弱々しいと軽蔑する。囲碁の一面だけを見て、日本の碁はこうだと決めつける事こそが、日本の碁界を衰退させてしまった主犯なのではないか。石の形を重視していた佐々木修先生でさえ、秀哉名人や幻庵因碩等、力戦派の棋譜を高く評価されていました。

 置碁には、下手側には幾つもの打ち方が存在します。私が初級者への置碁指導をする際の心得として、数種類の打ち方を体験して貰う。先に攻めるか先に守るか。置碁を通じてその2種類を知るだけでも、将来スランプに陥る要素を減らす事が出来ると考えるから。
 置碁の多様性、調べてみれば結構面白いですよ。≪続≫

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