秀策発!! 囲碁新時代

 「囲碁は日本の文化である」と胸を張って言えるよう、囲碁普及などへの提言をします。

セカンドオピニオンの必要性

2015年02月16日 | 囲碁界への提言

  若手プロが自分の打った碁で分からない事があった時、3人の実力者に聞く。実力者とは、タイトルホルダーやタイトル経験者等。

「三人寄れば文殊の知恵」
「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」

  とは言いますが、複数の第一人者の意見を聞く事で、自分の実力を高めたり、視野をより広くする事が出来ます。これはプロ同士の間では日常行為だそうです。この様に第三者の意見を取り入れる。これを私は、
≪セカンドオピニオン≫
  と読んでいます。セカンドオピニオンとは医療に関する言葉で、複数の医師の診断を参考に治療方針を決めると言う意味。誤診や医療事故を防いだり、別の治療方法の可能性を探る為。ガンなどの大病や、処方薬の効果があまり見られない時等に有効と言われています。

  碁会所や囲碁サロンにて、上手が下手に対し教えている風景を見る事があります。それはそれでよいのですが、教わっている下手の方の表情が芳しく無く、頭を抱えていたり、放心状態の様になったり、ため息をしたりしている事がよくあります。気になり私が見てみた所、その人の問題の原因の大方は、指摘内容とは別にある様に思います。

 アマチュアの碁に見られる典型的な失敗は、私見では3種類かあります。

  ≪取れない石を取りにいく≫

  ≪攻めるべき石を攻めない≫

  ≪守るべき石を守らない≫

  石を取りにいく癖のある人にもっと沢山石を取れと指摘したり、攻め一辺倒になってしまう人にもっと攻めろと指摘したりする。この様に相手の特性をよく鑑ないでは、上達の妨げになる原因になる事は目に見えています。
  相手の特性を見誤る事は誰にもあります。
「俺の言う事にも間違いがありかもしれないから、自分でしっかり考えろ」
  と、藤沢秀行名誉棋聖がおっしゃっていましたが、常識や思い込みに囚われず、出来る限り正確な判断をする事は困難。それを実現する方法として、セカンドオピニオンが必要になるのだと思います。

埋もれた名局の集め方

2015年02月02日 | 囲碁界への提言




 高川格、梶原武雄、坂田栄男、藤沢秀行。昭和中期の囲碁界を代表する4人のプロ棋士。私が囲碁を学び始めた頃、高川名誉本因坊は既に亡く、他の御三方は現役を引退されていました。ある時思い立ち、棋譜並べをしてみようと高川先生や坂田先生の棋譜を探してみましたが見付からない。
  その一方、江戸時代の高手である本因坊道策や本因坊秀策の打碁集は廉価本として販売されている。これは一体化どういう事なのか、囲碁を始めたばかりの頃でしたから、兎に角困りました。

  私と同じか年下のプロ棋士であっても、呉清源先生や坂田先生の打碁全集は必ずと言って良い程に勉強しているようです。2000年代初頭のNHKの囲碁雑誌を見ますと、打碁集を左手に持って棋譜並べをしている写真が掲載されています。それらは、今では在庫切れとなっており、古本屋かネットオークションで取引されている物ばかり。以前ある古本屋に問い合わせてみた所、坂田全集が4万円、高川全集が3万円との事でした。またアマゾンのネットオークションに出品されていた秀哉名人全集は、たしか20万円を超えていた記憶があります。中には、中国や韓国で出版された、江戸時代の打碁集が出品されている事があります。
 若手プロが勉強している打碁全集は、例えば囲碁教室や修行先の本棚にある物であったり、院生やプロになった記念としてプレゼントされた物の様です。ちなみに、関西棋院所属の高津さんも、院生入門の際の餞別として打碁集を貰ったとの事です。

 しかし、万単位の打碁集を買って勉強するというのは大変。それでも今はネット碁という物があり、会員サービスの1つとして、プロの打碁の閲覧やプリントが出来る物があります。
 または、大手の図書館には打碁集がある所かも知れません。もし無くとも、申請すれば他の図書館の物を取り寄せて貰う事が出来ます。あるいは過去の新聞の連載棋譜をコピーし、スクラップ保管するのもお薦めです。