秀策発!! 囲碁新時代

 「囲碁は日本の文化である」と胸を張って言えるよう、囲碁普及などへの提言をします。

東日本大震災  原発からの大転換

2011年04月29日 | 囲碁と、日本の未来。

 1990年代、私が中学や高校に通っていたころの社会科の参考資料には、未来の発電システムとして太陽光発電や風力発電が紹介されていました。また、小学館刊行の学習雑誌には、ソーラーカーや充電式の電気自動車などの特集があったと記憶しています。ソーラーカーはまだ実用には至っていませんが、家庭用のソーラーパネルはだいぶ普及しているようですし、電気式自動車やハイブリット車は都心ではよく見かけるようになりました。以前、ハイブリット車のタクシーに乗った事がありました。ニュースなどで見てきたとおり、ガソリン車のようなエンジン音が全くなくて静か。本当に車が動いているのか、一瞬疑ったものでした。

 そういった新しい発電システムが主流になると思ってはいたのですが、ある時期から原子力発電へ回帰する流れになっていました。ドイツでも確か太陽光発電や風力発電に力を入れていたはずですが、
 「大量の電力を安く、安定的に発電できる」
 「CO2の排出量が少なく、環境にもいい」
 という理由で、やはり原発政策に再転換したとか。
 日本でもまた、プルトニウムを再利用した発電・プルサーマルについての議論が盛んにあったのですが、進展はあったのでしょうか。

 個人的な見解ですが、原発回帰という傾向をニュースなどで知って以来、それが本当にいいものなのかと疑問でした。

  A;他の発電方法に比べて、トラブルの際のコントロールが難しい。

  B;ごくわずかな放射能漏れであっても、作業員の健康に悪影響をもたらす可能性がある。
    作業員に対してはもちろん、その家族にとっても多大な問題がある。

  C;プルサーマルでの使用済み燃料はコンクリートで固めて地中深くに埋めるという。
    しかし、そんな事をいつまで続けるのか。
    たとえば 東京都の廃棄物埋立地※、もう土地が無い。
     ※『ブラタモリ』 NHK総合にて放送
        

 今回の原発事故は、私が案じていた想像を超えるもので、その周囲30キロ(半径)に影響があり、また福島県はおろか茨城県や千葉県などの産物にまで影響を出しています。直接被害のあった原発立地にはいつ戻れるのか、全ての住民の方々が悩んでいます。
 ちなみにチェルノブイリの場合、25年たった今でも、まだ解決はしていないそうです。

 「原発はクリーン」というフレーズがあったようですが、それは 重大な危険要因を背負ってのもの だという事が証明されてしまいました。


 いずれ原発事故は終息すると思いますが、もしその際には、東京電力はもちろん、全ての日本の電力会社に考え、実行していただきたい事があります。原子力発電の規模を徐々に縮小し、循環可能の自然エネルギーの発電に力を入れて頂きたい。
 以下が、私の考えです。

【1】バイオマスエネルギーによる発電
 ⇒自然界に存在する生物を利用して取り出した可燃性ガスなどを燃料として発電する方法。

 建築廃材や間伐材、あるいは食糧にできない(あるいは、できなかった)農・畜・水産物を利用。
 間伐材や竹を利用することで、森林の再生を進める。また家屋のリフォーム等で取り壊された建築材を買い取る。

 原発事故により拡散した放射性物質を回収するため、ヒマワリの植樹を事業として進める。
 ヒマワリの種から油を取り、その残りを加工させて燃料を作り、さらに残ったクズ(これにのみ放射性物質を含む)をコンクリートで固めて処分する。

 かつてバイオマス燃料について問題になったのは、食糧にすべき穀物を利用した事。
 食物は利用せず、 食物にできないものを 利用する。
 また燃料とする植物を作る場合、今回の震災で津波の被害を受けた海岸沿いの田畑を利用する。
 これによって食物の生産量が減ると思われるが、その分は全国各地に広がっている休耕田を再生させて利用する。

【2】小型の水力発電の普及
 これまでの水力発電は川をせき止めてダムをつくる、大型の公共事業であった。
 これからは取り外し可能な小型のタービンを量産し、全国の全ての河川等に、数メートルおきに設置する。
 河川が枯れない限りは発電でき、洪水などで破損の恐れがある場合にはそこからはずす。
 
【3】発展途上国にての大規模の発電
 日本の気候では限界のある太陽光発電や地熱発電を、中東やアフリカなどで行う。
 これらの土地で発電した電力を周辺諸国に売電する。また、途上国の開発の為に利用する。

 「化石燃料が枯渇する恐れがある」として、中東諸国では日本との技術提供を望んでいるという。
  ※『クローズアップ現代』での特集だったと記憶する。

 途上国の貧困層を従業員として雇い、給与を払い、食事なども提供する。
 従業員の子供には初等教育なども行い、優秀な者は日本の高校や大学への留学を支援する。
 教育には、公文式、ベネッセコーポレーション、増進会などにも協力を呼び掛ける。

【4】新しい発電システムの開発
 旧来のシステムに代わるものを、様々な大学や企業やNGOなどが開発している。
 これらの組織と、これまで以上に積極的に協力し合う。
 新型の方法の一例としては、≪振動≫を利用したものがある。


 原発に頼らない発電法は、まだまだあるはずです。もしも日本の電力会社や国や自治体が本腰を入れたら、これまでの常識がまるっきり変わってしまうかもしれません。
 旧常識を変え、根っこの先からから日本を立て直す。
 これに成功すれば、今後の世界が進むべき道を提示できるかもしれないのです。

東日本大震災 「どうか、声をあげて!!」

2011年04月20日 | 囲碁と、日本の未来。


 岩手県や宮城県での災害映像や福島県の原発問題が大きく取り上げられています。

 3月11日に発生した東北関東域の大地震におくれ、長野県や静岡県でも大地震が発生しました。
 最大震度は、どちらでも6強。ところがこちらは、全国ネットのニュースなどではあまり放送されていません。
 震災直後の速報以外では、私が知る限りでは4月19日放送の報道ステーションで取り上げられただけです。
 また、九州の新燃岳はどうなっているのでしょう。
 

 「東北の人たちに比べるといい方だから」

 と考えている方が多いそうです。しかし、そんなこと思わず、どうか声を上げてください。

 ご自宅はどうでしたか。

 会社はどうでしたか。

 公共施設はどうでしたか。

 道路はどうでしたか。

 畑や田んぼはどうでしたか。


 被害を全国に訴える事は、皆さんがご自身の生活を守るためです。

 もし被害を放置してしまっては、首都圏の経済活動が混乱してしまう恐れがあるのです。
 田畑に被害が出たけれど、支援を受けられなかった。その為に作付けができなかった。
 もしこんな事があっては、東京などに住む人たちに食糧が提供できなくなる。そんな事態にもなりかねません。

 災害は、被災地だけの問題ではありません。

 長野県の方、静岡県の方、九州の方、どうか声を上げてください。

 メディアの方、もっと取り上げて下さい。

 これらは、全ての日本人の為なのですから。


東日本大震災  小粒の犯罪を摘み取るために

2011年04月20日 | 囲碁と、日本の未来。

 今回の大震災について外国メディアに高く評価された事は、
「震災直後の混乱期であるにもかかわらず、暴動や略奪を行う日本人は誰一人としていなかった」
 海外の、特に治安が悪いといわれている地域では、警察官が機関銃を打ち威嚇するしなければいけない、そんな所もあるようです。何かの特集でその映像を見た記憶がありますが、詳細は不明。
 このような行動をなぜ日本人はとれたのか、これについての議論が2011年04月09日放送のNHK特番にて行われ、アメリカや中国の学生からもいろいろな意見がありました。

 そういった評価は大変にありがたい。しかし、それに甘んじてはいけません。あちこちの被災地で、窃盗などが多発しているという事実をご存知でしょうか。


 まずは、飲食物の窃盗。パン、カップ麺、飲料物など。場所はコンビニ、スーパー、食糧を管理していた倉庫などから。
 これらの品物が汚れたり、容器などが壊れているとはいえ、無断で持ち帰る事はいけません。たとえ食事に困っているとはいえ、せめてそこの管理・責任者と交渉し、許可を頂くことが第一条件。同じ被災者であっても、多くの方が謝礼としての代金を払っています。

 次に燃料。
 今回、石油コンビナートの被災や交通網の破壊等があり、被災地にガソリンや灯油などが届かないという事がありました。そんな中、他人の車からガソリンを抜き取り、自分の車に入れるという事も何軒かあったそうです。中には窃盗を楽しんでいるという「快楽犯」もいたとか。

 三つ目に、金銭関係の窃盗。平常時の空き巣の如く、現金や通帳や印鑑、貴金属など。
 また福島県の相馬市では、野間追いの騎馬を育てている旧家では、古銭を盗まれたという事があったそうです。


 この様な事が多発しては、被災された方の後々の生活を苦しめてしまいます。どうにかして、防がなければなりません。
 また、避難した方々が生活に苦しみ、食糧を盗んでしまうという事例があるでしょう。
 貧困に耐えかねてパンを盗み徒刑場に送られる、フランス文学の代表作『ああ無情』のジャン・ヴァルジャンの話ではありませんが、順法精神に富んだ善良が市民が犯罪に手を染めずに済むよう、国や地方自治体はもちろん、同じ街に住む人たちも協力し合う必要があると考えます。

 その為には何をすべきか。私の考えは三つ。

  ①警官、消防隊員、消防団員、相談員(弁護士など)の配備。

  ②飲食物・燃料・医薬品のすみやかな提供。

  ③夜間の街灯照明のすみやかな復旧。


①災害の後は犯罪やトラブルを生む温床となりやすい。人々が避難所に行けば、空き家が狙われる。また避難所での生活が続けば、避難所を利用する人どうしのトラブルが発生しやすい。その為に、市中には警察官等を配置し治安を確保する。

②今回の被災地で多かった犯罪は、食料品や飲料品の窃盗らしい。原発に関する風評被害に見舞われた地域(福島県浜通り地区)では、食糧が届くまでに1週間かかった。そのため、食糧支援や救助活動に関して、市民と行政の間でトラブルが発生した地域もある。それを防ぐためには、すみやかな食料提供、それも、災害発生から3日以内が大切。
 (スーパーやコンビニなどでも対応してくれる所が多いが、それでも地元の店で提供できるのは、もし配送がとまっている場合、1~2日が限界のようである。お一人様いくつまで、の条件をつけてもである。)

③防犯に関することわざに、「街灯一本 警官一人」というものがあるそうだ。街灯を増やすことで、犯罪が減ったというデータもあるらしい。
 また、避難している人に呼び掛け、一人一人に懐中電灯を持ってもらい、交代で夜中の見回りをお願いする。チームも、ある程度大人数がいいらしい。定期的に歩く習慣があれば、エコノミークラス症候群を防ぐ効果もあるだろう。

 こういった事は、検討しても良いと思われます。



 ※これらのデータは、「警察白書」や研究者の論文などで発表されているようです。
  また、佐々淳行さんの著書やホームページなどを参考にさせていただきました。


 

東日本大震災  保存食のススメ

2011年04月17日 | 囲碁と、日本の未来。
 先日の震災の数日後、食材が不足するという噂か報道があったようで、それが引き金となり、東京では買いだめする人が一時的に増えたようです。
 事実、木下かおりさんのブログを拝見しますと、スーパーやコンビニからお米やカップラーメンがなくなり、お菓子ばかりがたくさん残っているという。これまでにも、ここ数年の東京では、野菜の品不足や急な値上がりがありました。
 「野菜が値上がりすると、『碁席秀策』の予算ではなかなか買えなくなってしまいます」
 「そのたびにメニューを変更したり中止にしたりしなければなりません」
 という事を、碁席秀策の席亭の奥様から伺っています。埼玉県や千葉県などでも良質の野菜がつくられていますが、それだけでは足りないのか、東京の市場には全国からの食材が集められます。それでも、時には野菜不足は起きます。

 その際の対策の一つとして、福島県などで食べられている 保存食 をつくりストックされてはいかがでしょうか。

 COOK PADホームページ にアクセスして、下に書きましたキーワードで検索してください。

 我が家での作り方とは違うのはまずご了承ください。家庭によって、レシピも違います。

 冷凍や冷蔵などで保存がききますので、一度お試しください。野菜の値上がりや品不足があった際、シノギの手段としてはよいと思われます。



 A;ずんだ

 B;大根 紅生姜 甘酢 『くるくる大根と紅生姜の甘酢漬け』

 C;いか人参


 ≪参考≫
 B;我が家では氷砂糖を使い、瓶で漬け込みます。コンブ巻きにはしません。

 C;いかは味がしみ込みにくい事もあるので、大根やカブなどの根菜類を使っても良いと思います。
   その際は、コンブやニボシなどでダシをとってみてはいかがでしょうか。



 追 加  

 『秘密のケンミンショー』(2011/04/14)で紹介されました大分県の郷土料理「きらすまめし」もまた、江戸の天保時代に起きた大飢饉の際、飢えをしのぐために作られたものだそうです。

 郷土料理というものを、今一度見直してもいいのかもしれません。
 

東日本大震災 『後の先』で挑むべし

2011年04月13日 | 囲碁と、日本の未来。
  今年三月、グラントプリンス赤坂が営業を終了するというニュースがありました。1955年の開業以来、日本を代表するホテルとしてのあゆみを続けてきたこのホテル。建物の取り壊しが決まっていたそうですが、このたびの東日本大震災にさいし、被災者を受け入れて下さるとい聞きました。宿泊料金や食事代も、とにかく格安。
 ホテル従業員のみなさん、本当にありがとうございます。
 このホテルに関して言えば、歌手の堀江美津子さんがブログにこんな事を書かれていました。

 「17歳の時、初めてホテルのショーに出させて頂いた」
 「結婚披露宴もここの新館」
    堀江美都子公式ブログ 3/31の記事より

 その堀江さんとは、知る人ぞ知るアニメソング歌手。赤プリで人生初のショ-の数年後に、あの歴史的名作、
 『キャンディ キャンディ』
 の主題歌を歌った方です。


 4月10日放送の『真相報道 バンキシャ』で、赤プリの事が取り上げられました。赤プリをはじめ、全国各地のホテルや旅館で、被災者を受けようという動きが活発になっているそうです。この様な事は利益にはならないのですが、地方の旅館では年々利用者が少なくなっているうえ、今回の震災で予約客のキャンセルが相次ぐ。それならば空き部屋を利用していただこうと、この様な取り組みを始めたそうです。そして何より、

 「困っている時はお互い様ですから」

 これに関し、国や自治体も資金面で受け入れる旅館やホテルを援助しようという体制をとったそうなのですが、これを利用しようとする被災者がなぜだか少ない。その理由としては、
 「仕事があるので、遠くの町に避難する事が出来ない」
 「もし一人(一家族)だけで利用したら、たとえば仮設住宅入居者募集の案内など、ちゃんと届けてもらえるのか」
 という不安があるそうです。それに何より、
 「ホテルや旅館が被災者を泊めてくれる、そんなことやっていたんですか」
 というように、肝心な情報が全く届いていない。なぜこんな事態になっているのか。

 「自治体に情報も送っているし、ポスターも作った。利用者の募集をかけるのは地元の役所の仕事」
 (国の役所の言い分)
 「利用者の受付をしようにも、人手も時間も足りない。
  第一、宿泊施設周辺の情報(病院など)の情報が全然ないから、国からの情報は使い勝手が悪すぎる」
 (被災地の役所の言い分)

 まったく、お粗末な話ですね。被災者の為にと多くの方々の善意が、国も自治体もそれぞれの御都合でほったらかしの状態になっている。バンキシャの御意見番として出演されていた河上和雄さんは怒って(あきれて?)いらっしゃいました。
 
 考えてみれば、こういった事は日常茶飯事だったでしょう。役所の仕事とは大抵が書類審査。国は地方の実情を、また地方は国政の状況を、あまり把握していない。それが普段から続いていたのでは、非常事態の時に連携が取れないというのは当然なのかもしれません。
 この様な有事に際しては、国や総理大臣の強力なリーダーシップが必要だと、メディアに出演する有識者が指摘します。特に米国大統領やイギリスの首相などの行動を見れば、頼もしく感じます。
 しかし、本当にリーダーシップが必要なのでしょうか。この狭い島国の日本であっても、それぞれの地域には様々な歴史や文化があり、事情も全くちがう。それを国のリーダーの一存で決めてしまっては、復興どころか人々の不満が爆発し、要らぬ混乱を招く恐れがあります。

 福島県内で高濃度の放射能が測定された町は、大抵が農産業を基幹産業にしています。稲作、畑、牛や鶏などの家畜、家畜の餌にする牧草、もちろん漁業もそうです。
 政府や国の役所が安全を考慮して避難指示を出したとしても、田畑や家畜をほったらかしにして町を出るわけにはいかないのです。田畑は耕さなければ荒れ、再び使えるようになるには数年かかるといわれます。
 彼らは長年をかけて農業を育て、ブランド化してきた方々です。
 彼らの仕事によって、地元福島はもちろん、首都圏の食卓を支えられてきたのです。

 幾ら緊急の政策とはいえ、一方的に通知してそれで事を済ませようとするのは、幾らなんでも無責任。


 そこで提案。行政に関わる人たち、またそれ関わる人たち。『後手の先手』という体制で復興に携わってはいかがでしょうか。
 『後手の先手』。囲碁や将棋、相撲などで使われる言葉。

 相手の出方をしっかりと見極め、その場その場にふさわしい対策をとる。
 これで評価を受けたのが、囲碁界で言えば関山利一先生。相撲界では大横綱・双葉山。
 現在の政権与党の民主党にも、元厚生大臣の渡部さんや玄葉光一郎さんなど、福島県選出の議員の方がいらっしゃいます。しかし、北海道、岩手県に次ぐ日本で三番目に広い福島県の現状を、出身地とはいえ全てを把握することは困難でしょう。


 地元の不満、とくに原発立地区域から避難してきた方達、また高濃度の放射能が測定された町に住む方の不満は限界に達してています。

 今こそ、県知事や地元自治体とこまめに連絡を取り合い、住民や被災者の声を聞き取り、
そして必要な措置を必要な時に素早く取れる、
そんな体制を一刻も早く築いて頂きたい。

 今からでも遅くはありませんのですから。

東日本大震災 日本の食に不足なし

2011年04月10日 | 囲碁と、日本の未来。

 「パンが無ければ御菓子を食べればいいじゃない」
 1789年に起きたフランス革命を象徴する言葉です。これをフランス王妃マリー・アントワネットが発言したとされ、それに激怒した市民がクーデターを起こしたと、もろもろの作品で書かれてました。

 これをアントワネットが発言したというのは間違い。別のエピソード、ルソーの著書に書かれた言葉が独り歩きしたというのが事実のようです。

 また、かつての池田勇人大蔵大臣(のちの総理大臣)が、
 「貧乏人は麦を食え」
 という暴言。これもよくよく調べてみれば、
 「どんなに貧しくても、食に困る事はない。すべての国民に対し、食を提供する事が出来る」
 という。国会での池田氏の発言を野党が厳しくつつき、それを新聞が大げさな見出しで書いた。本来、問題になるような発言ではなかったのです。むしろ、食糧難にあった日本国民を守ろうとする発言だったはずです。

 
 今回の東日本大震災ののち、被災地に食糧が届かないという事が報道されました。また、福島県の原子力発電所の運転がストップし、首都圏に電気を送れないという事態になりました。その二つに東京の人などは動揺し、水や食料を買いだめに走るという現象が起きたそうです。スーパーやコンビニのお米やミネラルウォーターは買いつくされ、お菓子の在庫が沢山あるという。
 それに関しての意見を、 囲碁インストラクターの木下かおりさん がご自身ブログ ≪ナチュラル・メッセージ≫ で取り上げられました。


  「お米は大切ですけれど、皆さん、そんなに毎日お米を食べていたのでしょうか?」

   (2011/3/16)の記事より
 
 またこの日の記事で、お米が足りなければ、小麦を買ってすいとんやうどんを作ってみてはどうでしょうかという提言をされています。
 まさしくその通り。野菜ソムリエの資格を持ち、料理教室をされている木下さんらしい、すばらしい提言。

 お米が無くてお菓子が売れ残っている。これもまた不思議な現象ですね。おそらく他の国でもそうでしょうが、日本の食品メーカーは、お菓子を単なる嗜好品としてではなく、良き栄養価を持った食べ物として開発・販売しています。

 カルビー株式会社の社名の由来は、カルシウムの「カル」と、ビタミンの「ビー」から。
 チョコレートやココアには、良質な栄養を持つカカオから作られている。
 市販されているせんべいは、その多くの工場が新潟県にあり、地元のお米を原料にしている。
 そういえばタレントのグッチ裕三さんは、肉の下味付けにコーラを使い、それを使って料理をされたりしていました。  

 特に最近問題にされているのは、フードロスの問題。手付かずの食品や食べ残した料理を捨ててしまう。飢餓や食料不足に悩まされている国々が数多くある中、味の良しあしや賞味期限を理由にして捨ててしまうのは大変な問題であると、料理研究家の服部幸應先生等が苦言を呈しています。
 震災地の人々の為に節制を心がける、それは大変にありがたいことではあります。その一方で、食べ残しをなくそう、ガソリンの消費をひかえて自転車を使おう、そういった工夫をすれば、食糧問題はもちろん、現在の東京が抱える都市問題を解決する糸口がつかめるかもしれません。

 なぜなら、日本という島国、地震に津波に台風に火山の噴火に干ばつに冷害に豪雪にと、ありとあらゆる自然災害にあってきました。
 そしてそのたびに先人たちが知恵を出し合い、政治家は国家的政策を持って、商人たちは積み上げてきた金銭やノウハウを見って、人々の生命を守ってきたのです。どんな困難に見舞われても、日本人はけっして暴動を起こさず、冷静な行動をとる。外国からはそんなありがたいを頂きます。それは、たとえ普段は政治や経済に不満を持っていても、もしもの時は自分たちを必ず守ってくれるという信頼関係があるからだと思います。
 自然災害とは、人間が一方的に苦しめられるものではない。この困難を潜り抜けるために知恵を出し合い、元の街並みをよみがえらせ、以前よりもよい社会を作り上げ、そして次の世代へとバトンをわたす。そんな社会的要素を含んでいるのではないでしょうか。

 そして最後に、東京の人たちへ。
 国を信じてください。
 企業を信じて下さい。
 人を信じて下さい。
 被災者救済を名分に、あなた方を犠牲にする事は絶対にありません。
 
 

東日本大震災 Dr.ノグチのふるさと

2011年04月09日 | 囲碁と、日本の未来。

  私自身はあまり旅行などはしませんが、それでも日本各地からいらっしゃった人とお会いする機会があります。たいていの場合そうなのですが、その人たちとお話しすると、
 「福島はどちらにあるのですか?」
 と聞かれます。東京から遠いのか近いのか、それもご存じない方もずいぶんいらっしゃる。
 それもそうでしょう。高速バスや自家用車を使えば片道3~4時間。新幹線では一時間以上。平安時代以前は京の都に対抗した勢力の拠点であった辺境の国であったようです。
 それが今や、全世界に福島の名前が広がってしまいました。原発事故、放射能漏れ、かつてのチェルノブイリやスリーマイル島に並ぶ、そんな土地になってしまったのです。

 どこかの国の新聞でありましたか、原発事故の処理を務める作業員を取り上げた時、
 「フクシマ・50(フィフティー)」
 という見出しを書いたそうです。人類を救うべく戦っている英雄とみなしたようです。

 そういえばこんな英雄とも言える人物が、明治時代の福島県に生まれました。

 野口英世博士です。
 福島というところはあまり知られていなくても、野口博士の御母堂が書かれた手紙に感銘を受けた方は大勢いらっしゃるようです。私が以前日本棋院を利用しました時、ある女性が野口博士のお母様の話をされました。とくに戦中戦後の激動期を生きた女性にとって、大変な存在なのでしょう。

 アメリカのロックフェラー研究所での研究の功績などを認められた野口博士。黄熱病の原因の病原体を突き止めるためアフリカに渡るも、研究中途で自身が黄熱病に感染し、死亡する。

 黄熱病研究について、研究所の仲間にはもちろん、妻のメリー・ダージス反対されたそうです。しかしそれを振り切ってアフリカに渡ったのです。結果、メリー夫人と会う事も、ましてや日本に帰国する事もかなわなかった。

 そんな野口博士が今の日本を御覧になったら、どう思われるか。
 放射能に被曝する危険を覚悟で、原発処理にあたる作業員がする。また、その周辺地域にとどまらざるを得ない住民の為に働く自衛隊員や有志団がいる。
 その一方で、放射能汚染を恐れるあまり、福島と関わろうとしない人もいる。

①支援物資を届けたくない
 南相馬市長の訴えなどで、全国各地から支援の申し出があった。

安全が確認された 農産物の買い取り拒否
 西田敏行さんや安藤和津さんが、農産品の風評被害の撲滅を引き受けて下さる。

③工業品や金属スクラップ
 福島のものは買い取るなとの風評被害。中には、「会社や街に近づくな」とまで言われた人までいるという。

④被災者の宿泊問題
 一泊しようにもホテルなどの利用を断られ、罹災証明がないからとマンションやアパートの契約を断られ、また食事をしようにもレストランにすら入店拒否される。


⑤医者・警察・消防
 放射能を恐れ、福島県への出庫を断るという一例。

 福島県の地元新聞や週刊誌の特集で取り上げられた事例を抜粋しましたが、一体何なんでしょう。ニュース番組などで専門家が解説されています通り、放射能とは、正しく対処すれば恐れる必要はない。それを知ってか知らずか、国民の治安・生命・財産を守るべき公務員までが過敏なまでに恐れおののいている。
 もし仮に被爆し甲状腺がんが発症したとしても、早期発見・早期治療をすれば治せるとも聞いています。

 もう一度書きます。
 正しく対応すれば被ばくの恐れが無い放射線におびえる、平成の日本人。
 原因も治療法もまだ発見されていなかった黄熱病研究の為にアフリカに渡った、明治生まれの野口博士。

 「志を得ざれば再び此の地を踏まず」
 と生家の柱に誓いを刻み、東京へと旅立った野口博士。そして、
 「人類の為に生き、人類の為に死す」
 と墓碑に刻まれた生涯。
 その偉大な歴史、崇高な人物のあゆみを、日本人は忘れてしまったのでしょうか。


  
※「野口先生がアフリカに来て下さらなかったら、私は生まれてこなかったかも知れません」
 ある講演会で、オスマン・サンコンさんがおっしゃっていました。
※「日本の人たち、地震で困っているんでしょ。だったら、これを持って行って」
 日本が食糧援助をしているある国の少年が、その土地で取れたわずかな豆を、日本人の援助隊員に渡そうとしたといいます。
 (たしか、『ミヤネ屋』で放送されたもの)。
 これまでの多くの日本人の崇高たる行いと、また少年の純粋な心。この話を聞いて、日本人として生まれてよかったと思いました。
 

東日本大震災 東京電力の使命

2011年04月08日 | 囲碁と、日本の未来。
 今回の原発事故の処理の最中、東京電力は原発の増設計画を発表したと聞きました。しかし時期が時期だけに反論があり、撤回したそうです。
 それはそうでしょう。今回の事故の原因は地震や津波の被害対策に甘さがあった事。また運転開始40年ということから、老朽化の問題があった事。これらが事故の悪化を招いたことが要因。もし細心の原発設備であったのなら、事故もまたもっと小さなものであったかもしれません。しかし災害前でさえ大きかった原発反対の意見、東電の原発増設計画は認められたでしょうか。

 福島県の原発がとまっただけで首都圏域で計画停電をせざるをえません。今もし日本全国の原発をストップさせたとしたら、現代日本の生活水準はどこまで下げなければいけないのか。宮城や福島から遠く離れた関西や九州の人たちの生活にも影響が出て切るでしょうし、肝心の食品メーカーですら生産を止めざるを得なくなる。そうなれば、日本の食糧問題がどれだけ悪化してしまうのか。
 軽々しく、原発反対とは言えないのです。
 それでも私は、原発反対の立場をとっています。事故が発生した福島県内の原子力発電所はこれを機に全面廃炉。また他の原子力発電所も50~80年先を目安に運転をやめ、次世代の発電システムに移行。その目的とは、良き日本社会を再構築し、子孫たちに残す為。

 損害賠償の問題。発電所の爆発や放射能漏れというただならぬ事故の為に、放射能汚染を恐れる人たちが福島連の食材を嫌悪するという事態に至っている。低濃度の放射能物質を含む水を(一時的に?)海に排出すると発表した時に、
「漁協を馬鹿にしているのか」
「俺たちに死ねというのか」
 という怒りを、漁師の方が東電常務の方にぶつけました。これまででさえ、魚を採るためには船の修理や燃料に金がかかる一方、魚を売っても決して高い値段では買い取ってもらえず、漁村の過疎化や後継者不足の問題などが山積みになっていました。
 かといって、それをどうにかするための賠償金を、東電はすぐに用意できるのか。賠償金を払うためだけに会社の資産を売り払い、従業員を解雇し、挙句の果てに倒産するというシナリオになってしまう事はないのか。
 その賠償金の額は、 3兆円 という試算もあるといいます。
 悪夢のシナリオが、次々と浮かんでしまうのです。

 これは農家の方や漁業者が手を組み力を合わせただけでどうにかなるという問題ではありません。政府、関係官庁、県、そして東京電力がタックを組み、短期的視野、長期的視野、あらゆる方策を持って取り組み、対応しなければならない問題でしょう。




 東電は、今回の損害賠償のお金をどうやって捻出(ねんしゅつ)すればいいのか。
 私の素人考えを、書きます。



①『賠償』ではなく、『事業』として取り組め

 今回の損害賠償に必要なお金は、東電とはいえ簡単に捻出できる金額ではないはず。
 それならば、社債や株式などを発行し、それを持って被災地の金融機関へ売る。それで集めたお金で二つの事業を始める。
 一つは、原発を廃炉にするための事業。日本国内、全世界hと最高技術をもって構成し、二度と事故が起こる事のないように封じ込める。またこの事業は、日本政府ではなIAEA(国際原子力機関)の指揮のもとに行い、すべての情報を完全公開する。
 もう一つは、原発の風評被害にあった人達を救済するための事業。
 この二つの事業を立ち上げ、今後数十年にわたり、人々の生活の支えとする。雇用から消費まで、すべての利益を被災者のものとする。決して、東電の内部保留金などにしてはいけない。


②東北・北関東の農産物や観光資源のPR

 東京から青森までがとうとう新幹線でつながり、また年明けには九州新幹線が全面開業しました。これを機に、福島県では観光客を誘致するため、県・観光地・旅行代理店が一つになってのプロジェクトが立ち上がったばかりでした。そのプロジェクトは2~3年後を目標にしていましたが、始まってそうそう頓挫するような事態になってしまった。
 今回の原発事故が沈静化したら、東電もまたこのプロジェクトを支援し、福島県だけではなく、東北や北関東をPRし、日本国内はもちろん、海外からの客を誘致する。



 今回の事態がまだ収束の見通しが立たない中、東電が厳しい立場におる事もわかります。しかし、東電はこの国を代表する企業。これまでに積み上げてきた業績や経験をもってすれば、解決できない問題手ではないはず。
 今はただ、解決を願うばかりです。

東日本大震災 風評被害という苦境

2011年04月06日 | 囲碁と、日本の未来。
 「東北地方や茨城県産の野菜が売っていないんですよ。原発問題のせいでしょうか、安全なはずなんですけれどねぇ」
 ある要件で碁席秀策にお電話した時、席亭の奥様から聞きました。原発事故の後に起きた水蒸気爆発、そして放射能漏れ。これにより原発の近隣の町に退避勧告や屋内退避の指示が出された時、まず第一の風評被害が発生しました。屋内退避の指示が出た南相馬市や、福島県の入り口にあたるいわき市に、支援物資が届かないという事態が起きたのです。

「福島県、太平洋側? ダメダメ、放射能を浴びたら危ないから」
 そんな恐れが運送会社の経営者やドライバーにあったようです。それどころか、
「(県中央の)郡山市や茨城県までとりに来てくれるんだったら、支援物資をお渡ししますよ」
 これではまるで脅迫ではないか。地震や津波で街がつぶされ、道路や車が使えない。人も流され、役所で働いていた人も犠牲になり、支援物資をとりに行くこともできない。何とか引き取りに行こうとしても、ガソリンもない。
 たしか『情報ライブ ミヤネ屋』に送られたファックスだったと記憶していますが、
「飢えや喉の渇きをしのぐために、(おそらく学校の)プールの水を飲んで命をしのいだ」
 という事すらあったようです。救助や支援の出来ない役所に対して、住民はもはや怒ることしかできない。南相馬市の市長がおっしゃった通り、籠城攻めそのものです。

 この事態が何とか解決の兆しが見え始めたのが、震災一週間後の金曜日。いわき市の港に、自衛隊によって食糧が運ばれたころです。またそれまでに、被災地の市長が窮状を訴え、またそれを全国放送のテレビ局が取り上げてくださったがために、これを見て下さった方々が有志として救援を申し出てくださり、また芸能タレント方やスポーツ選手が食糧支援をした下さり、また麻生太郎元総理はじめ政治家の方々も慰問に見えて下さりました。

 食料の問題がどうにかなれば、三月中には復興活動が始まるのではないか。しかしその期待すらかなわず、太平洋側の住民たちは遠方の町へ避難し、いつになったら帰れるかすらわからない。

 この問題は、ほぼ福島県全域に広がっています。放射能が検出されていない会津地方(県西部)の野菜ですら、「福島県産」というだけで買い手がつかない。地震発生する前、年の暮れに仕込み瓶詰めした日本酒も、放射能汚染されているのではないかという疑いがかけられている。さらには県内でつくられた伝統工芸品や工業製品にでさえ、
 「放射能汚染されていないという証明書が無いと通関できない」
 という事まで言われているとか。
 もちろん、関係者だって呆然としているわけではありません。県をあげて放射能測定をして安全かどうかの検査をしています。また工業製品についても、県のハイテクプラザで検査して証明書を発行しているようです。

 温泉旅館の廃業という報道もありました。岳温泉の老舗、『庭園の宿 松渓苑』です。
 まずは地震で建物の一部が壊れ、宿泊をお断りするしかない。修繕するにも膨大な出費が必要。さらには放射能の問題の為、予約のキャンセルが相次ぐ。これを取材したのはNHK福島、若女将の佐藤亮子さんが声を詰まらせ、涙をこらえながらインタビューに答えていらっしゃいました。地元の人に対し、ご先祖に対して申し訳ない。テレビで見ているだけでも、本当に心苦しいかった。
 若女将になって一年半、五月の大型連休に向けて旅館や岳温泉をPRし、お客様を呼び、二本松や福島を盛り上げていこう。そんな矢先の、災害でした。
 ※『庭園の宿 松渓苑』のホームページ、「廃業のご案内」をもとに書きました。

 新聞で紹介されたのは、『天地明察』の作家、冲方丁さんの声でした。福島にはあるが、東京にはないよさを見つけて下さり、
福島市内に住まいを構え、ご家族で生活されています。
 そんな時に起きた災害。家族や子供を守りながらも、ご自身が放射能におびえる生活。


 原子力発電所による職場に大勢の住民を雇用してくださり、福島県の経済や人々の生活を支えて下さった。そんな恩を、東京電力に対して持っております。しかし、「人命を犠牲にしてまで」という事ではない。
 「原発事故は起きない。起こさない。そして万が一の時には、住民や労働者の命を必ずや守ってくれるだろう」
 そんな信頼の下に、原発というものを一応認めていたのです。


 この事故に対し、「地元自治体に賠償金をはらった」という報道がありました。
 しかし、お金を払ってそれで終わり、という事にはしないでいただきたい。東京電力には、日本を代表する企業として、あらゆる責任があるはずなのです。
 県内外へ工業製品や農産物を送り出し、日本の生活を支えてきた方々への責任。
 観光・レジャー・温泉、福島を訪れて下さった方やそれを考えていた方々への責任。
 福島のよさを認め、永住することを決めて下さった方々への責任。
 そして、日本経済を支えるという、この国の人々に対する責任。 

 現代の日本を支える企業として、今回の災害や事故にいかに向かい合い、どのように取り組んでいくのでしょうか。
 福島県民、日本人、そして世界中の人々が、東京電力と日本国を監視しているのです。

東日本大震災 原発立地県民の声

2011年04月04日 | 囲碁と、日本の未来。


「絶対安全のはずの原発が……」
 福島県の原発事故以来、報道番組に出演しているコメンテイターがこの様に発言されています。おそらくこれが、大多数の日本人の感想でしょう。技術立国・日本、品質や安全を追求してきたわが日本、なぜにこんなことが起きてしまったのか。水上機爆破や放射能もれ、信じがたい事が毎日のように発生する。

 この「絶対安全のはず」、原子力発電に関して言えば、私は考えた事すらありません。原発のある街に住む人も、そんなことは考えてはいないとも聞きます。むしろ、いつかは事故が起こるのではないのか、そんな不安を抱え、長年暮らしてきたというのが実際のようです。
 特に、2001年9月11日に発生した、『アメリカ同時多発テロ』の時などは、
 「いずれ、福島県にある原子力発電所が狙われるのではないか」
 と気が気ではありませんでした。そう思ったのは、私だけではないはずです。

 4月3日放送のETB特集で、ある避難民の方がおっしゃっていました。
「原発に反対しているのは、年寄り、若い女の外、若い男。
 年寄りは、原子力や放射能と聞けば、広島や長崎を思い出す。若い人たちは、自分の子供の健康を案じている。
 でも、大多数の人間は原発関係の仕事をしているから、絶対反対とは言えないんだ」

 住民の方だけではありません。福島県知事をはじめ、県庁職員、浜通りの自治体の首長や議会議員や役所の職員なども、発電所が安全に運転し電力を供給できるよう、常に働いていらっしゃいました。

 ご記憶されていらっしゃるでしょうか。
 数年前、東電の原子力発電所で、トラブル隠しという不祥事が明るみに出ました。その事に福島県民は当然激怒。当時の県知事・佐藤栄佐久氏も、今までに見られなかったような厳しい対応で、国や東電に対して向かい合いました。
 また、ここ数年は、発電所のそもそもの安全性についても問題となっていました。運転開始40年を迎え、老朽化が進んでいるのではないか。何かの問題があった時、本当に原子力を制御できるのか。
 当然、東京電力の職員の方々も無関心ではありませんでした。
「トラブルの時には、この様に対応します。その為の訓練もしています」
 といったテレビ広告を流すなど地元住民の信頼を築こうと、あらゆる努力をされていました。
 しかし、お金や世論の問題などがあり、解決できない問題があった事実もあります。
 今回の災害は、そんな矢先に起こったのです。
 そんな過去の事実、おそらく県外の方々はご存じでないはずです。
  
 先日、石原都知事が、「震災は天罰」と記者会見で発言され、問題になったそうです。
 確かに被災地に気配りのない発言に聞こえますが、おそらく真意は違うでしょう。
 石原都知事が福島県を訪問し、佐藤雄平県知事と会談をされました。その直後、石原都知事は何とおっしゃったか。
 「何でもおっしゃってください。福島県には、今まで東京の電力を作ってくださった 恩顧 があります。今こそ、(東京は)その恩返しをすべき時
 これを聴いて、正直安心しました。首都・東京のあらゆる活動を支えるため、福島の人たちが働き、原子力の危険性を背負ってきた。この事実を、都知事はよくご理解されていらっしゃる。事実、福島から避難された方たちを受け入れてくださった。
   
 これまでは、福島がどこにあるのかすらわからない方が大勢いらっしゃった。しかし今では、すべてのニュースや報道番組で福島が取れあげられている。
 今回の被災地に住まうという苦境、被災地から離れた街に住む方には、想像できないでしょう。
 想像できなくてもいいのです。せめて1日に一度はニュースをご覧いただき、事実を事実として認識していただきたいのです。

 今回の問題、原発事故や放射能漏れ、風評被害は、簡単に解決する問題とは思っておりません。
 岩手や宮城など、地震や津波で町を破壊された方々の生活も同じです。
 全国の皆様、もし被災地から避難された方がいらっしゃったら、温かい気持ちで接してください。
「自分たちは、国から見捨てられているのではないか」

 と不安になっているのです。

 そして、風評被害に惑わされず、被災地の食品を買ってください。
 福島県及び隣県では、毎日放射能の測定をしています。このデータは、地元新聞や役所のホームページなどに掲載されています。
 また福島県では、田んぼや畑の土の調査が始まりました。土が放射能に汚染されているのかいないのか、その結果が4月6日に発表される予定です。

 今回の災害や事故と、被災地では全力で向かい合い、問題解決の為に大勢の人間が働いて言います。

 どうか全国の皆様、これからもご協力・ご支援をお願いいたします。


東日本大震災 ご報告

2011年04月02日 | 囲碁と、日本の未来。
 

 私の住む街、幸いにも被害は大きくはありませんでした。親族や知人にもけがにか一人なく、何とまあ幸運であったろう、そう思います。

 緊急地震速報が発表された直後、家が揺れ、電気がすべてストップ。揺れは何分かおきに止みながらも、40分以上は続いたと記憶しています。大きな余震は数日間続き、その後も小さな揺れは一日に二~三回はあります。
 電化がストップしてしまったために、テレビは見られません。そこで、ポケットサイズの携帯ラジオで情報を聴きます。こたつやファンヒーターも使えないので、昔使っていたダルマストーブ等で暖をとりました。
 次の日の新聞には、地震の為に倒壊したある高校の写真が大きく掲載。
 夕方7時ころに電気が復旧。岩手県や宮具県の沿岸沿いの街、津波で家屋や車が流される映像が映り、漁船が建築物の上に乗せられてしまう、信じがたい悲惨な映像も拝見しました。

 震災直後の数日間、大きな被災のあったところ、またそこに住んでいらっしゃく方々のご苦労・ご心痛は並みならぬものであったでしょう。
 わたくし自身、出来る事はけして大きくはありません。せめてこのブログにて、福島の報道機関が取り上げたものをご紹介し、その実情をお知らせしたいと思います。
 もしこれを読んでくださった皆様には、ぜひご一考いただきたいと思います。


   追  伸
 
 もしよろしければ、ユーチューブをご覧ください。
 南相馬市の櫻井市長が、世界に向けてSOSを出されています。
 地震、津波、原発事故と大変な被害にあっている福島県南相馬市の実情を見て頂きたいのです。