秀策発!! 囲碁新時代

 「囲碁は日本の文化である」と胸を張って言えるよう、囲碁普及などへの提言をします。

第29期 ・ 女流本因坊戦、挑戦者決定

2010年08月29日 | 囲碁の話題
 今期の女流本因坊戦 、の挑戦者が、向井千瑛(ちあき)四段に決定しました。
 ※平成22(2010)年8月26日(木)


 まず先に、惜しくも挑戦者の権利を獲り損なった梅沢由香里さんについて。
 今回の結果は、梅沢さんの評価を下げるものではありません。かつて、梅沢さんの師匠である加藤正夫・名誉王座が語ったといわれるのは、
 「由佳里ちゃんは、僕より厳しい手を打つ」
 そんな言葉を伝え聞いたことがあります。以前は師匠を超える攻撃重視の棋風で高い評価を受けていたそうですが、プロの棋戦での経験を積むことにより攻防のバランスがとれた棋風に変わり、これが女流棋聖戦三連覇の実績につながったようです。
 ※ちなみにこれは個人的な選り好みの話ですが、梅沢由香里さん、石井茜さん、万波奈穂さん、このお三方の打碁がお勧めです。打ち方が大変丁寧なものが多く、普通のアマチュアの勉強にはうってつけのものが多い感じがあります。

 梅沢さんの女流本因坊の挑戦手合は来期以降を待たなくてはいけません。

 しかし、普及活動における大変な実績がある。日本囲碁界のトップセーラーとして、大変な活躍をされ、我々には想像だにできない重責を負っていらっしゃるか。梅沢さんにはタイトル獲得の期待を無理強いするつもりはなく、むしろ日本囲碁界発展のため、将来のビジョンを描き、それを実現していただきたいなと思っています。。

 平成20年には女流棋聖戦の挑戦者に、平成22年には女流棋聖戦の挑戦者になるなど、実力・実績ともにすでに一流。さらに戦闘力に関しては、おそらくは男性のタイトルホルダーの上を行っているかもしれません。それでも、これまでに二度タイトルを採り損なったのは、一つは経験不足のためであり、もう一つは運が向かなかったためでしょう。
 これまでの、梅沢さんとの女流棋聖戦や、謝さんとの女流名人戦での対局を、新世代の台頭を楽しみながら見ていました。しかしこれからは、期待や楽しみではなく、現代日本あるいは世界で活躍できる超一流の実力を習得出来たのか、向井四段の神髄を試される五番勝負になるでしょう。プロアマ問わず、今回の番碁はそれを見届けなければなりません。
 女性囲碁界の新旧交代の波は激しい。たとえ向井さんの実力をもってしても、もしかしたら今回が最後の挑戦手合になってしまうかもしれない。もう2~3年もすれば、向井さんより年下の兆乾さんや藤沢里菜さんが挑戦手合を打っているかもしれませんし、あるいはもっと年下の後輩に負かされる事だってあり得ます。だからこそ今回の五番勝負は、
『人生最後の挑戦手合』
 と覚悟を決め、全力を振り絞って戦って頂きたいと願っています。

 謝さんが女流本因坊を4連覇できるか、向井さんが師・本田幸子七段がかつて獲得したタイトルを奪取できるか。
 女流囲碁界、乱世の秋が約一カ月のちにやってくるのです。