秀策発!! 囲碁新時代

 「囲碁は日本の文化である」と胸を張って言えるよう、囲碁普及などへの提言をします。

泉美流、いまだ完成せず

2008年02月15日 | 囲碁界への提言
☆勝手ご無礼!! どうぞご容赦☆


  現在の日本囲碁界の第一人者、張栩・氏と 結婚され、ご息女に
『心澄(こすみ)』と命名されたのは、小林泉美さん。『心澄』とは珍しい名前
だが、命名の由来を聞いて、 なるほどと納得した。
  泉美さんがファンにサインするときによく使われる言葉が、
『慧眼(けいがん)』と『心澄』の2つ。
 『慧眼』とは、大切なものや真実を見抜く心の目の事。『心澄』とは、
「雑念が消えて、澄んだ心になる」
 という意味で、『山家集』という昔の歌集に出で来る言葉だそうだ。
 今の囲碁界で、『心澄』の2文字を愛用するプロは幾人かいるが、かつては
泉美さんの母である小林礼子先生が、さらに遡れば母方の祖父・木谷實先生が
使われていた。
 この事からもわかる分かるように、母と祖父の歩んできた「棋道」の歴史を
背負い、歩まれている。


 さて、泉美さんが過去から受け継いでいるものはほかにもある。父である
小林光一・九段からは「小林流布石」または「新・小林流布石」を。ご亭主
である張栩・氏からは「張栩流布石」を。ただし、泉美さんに限っては、
「敬意を以っての模倣」というべきか。
  得意な布石をさがし、採用する基準としては、その布石の勝率と、序盤
における優位性を、統計からはじき出す。
  ただ、泉美さんに限っては、 結婚以前は父親愛用の布石を、 結婚後
はご主人の布石を使われる。勝率は、基準にされていないらしい。そうい
えば父君も、
  「親父の真似しないから勝てないんだ」
 とコメントされていたことがある。それは皮肉か。いや違う。
 そういえば泉美さんが20代前半のころ、女流囲碁界の覇者であった知念
かおりさんを下しタイトルを獲得して言ったのは、父の背中を追い続けての
ことであった。小さなころから父が打つ石の音を目覚まし代わりにし、父親
と対局したい一心で勉強し続けてきた。そして得たものは、地所に辛くもバ
ランスが取れた棋風と、どんな乱戦になっても間違えない正確な判断力。
そしてそれらをさらに磨いてこそ、多くの女流タイトルを獲得できた。


進化する泉美流の姿とは?

 しかし私個人の希望としては、今後泉美さんは、
「『ヨセ』を意識した布石」
 の研究に力を入れられたらいかがかと。泉美さんの正確・冷静たる資質
は『ヨセ』でこそ遺憾なく発揮できるものと思う。これを少し意識される
だけで、力戦一辺倒になりつつある現代碁の将来に、全く新しい展望が
開かれるであろう。そういえば、 かつて木谷實先生は、
 「力戦、新布石、地取碁と、生涯三度棋風がかわった」
 といわれた。泉美さんも、いずれは変わることがあるのだろうか。


 それほどの実力者でありながら、26期の女流本因坊戦の挑戦者決定
戦では、「台湾の台風」と評される謝依旻に敗れてしまった。しかし、これ
は実力不足が原因であるはずない。出産、育児のためにしばらく対局を離
れていたため、勝負勘が戻っていないというに過ぎないのだ。間はゆっくり
とり戻せばいい。それよりもこの間に、現代碁をじっくり観察し、充電してほ
しい。娘さんが小学校に上がる年のころまでに力を取り戻し、

  『世界最強』

 といわれるまでになってほしい。「日本女流の第一人者」という評価だけ
で満足されたら、再興しかけた日本囲碁界が待た地盤沈下しかねないだ
ろう。