「結城聡さんにはベテランという意識はないでしょうし、
私も年寄りと思われるのは抵抗があります」
NHK囲碁講座5月号(2007年)より
という超チクン先生のコメントがあります。失礼を承知で、
これを私の言葉に置き換えるなら、
「結城さんは年齢が若いのはもちろん人間もしっかりしている」
「私はベテランとはいえ、子供っぽい、わがままなところがある」
「だけど、たとえ歳を重ねても、強くなりたいから修行は続ける」
となるでしょうか。
相撲の世界では30歳前後で引退する人が多い。
フィギュアスケートにいたっては20歳を過ぎればベテラン。
では、囲碁界では銅なのでしょうか。
数年前、林海峰先生は名誉天元、大竹英雄先生は名誉碁聖の称号を
得られました。タイトル戦で5連覇などすると、60才過ぎてから
『名誉~』を名乗ることができるそうです。確か、主催者側から
年金が出される、という話も聞きました。あくまでも、聞いた話。
しかし、60歳とは『還暦』。「暦が還る」と書くとおり、
人生の再出発です。それまではベテランであっても、還暦を迎えると
新人に逆戻りするわけです。
そういえば、桂米朝師匠の言葉に、こんな話もありました。
「芸事で大事なのは、60歳を過ぎてから」
その言葉の真意、残念ながら私にはわかりませんが、この言葉から
考えると、
「超チクンの修行はまだまだ続く。だから、ベテランのつもりに
なってはいけない」
というのでしょうか。
趙先生は、肉体的にもつらい年齢になったのかもしれません。しかし、
『囲碁』で生きてきたからには、妥協するおつもりはない。
偉大なる記録を作られてきた方。趙先生のことを、これからも応援する
つもりです。