秀策発!! 囲碁新時代

 「囲碁は日本の文化である」と胸を張って言えるよう、囲碁普及などへの提言をします。

☆星合志保さんがプロテストに合格☆

2013年02月23日 | 当店からのお知らせ


 星合志保さんがプロテストに合格。2/10、水曜会に数多く参加していただいた星合志保さんがプロテストに合格されました!
 今後とも応援宜しくお願いします。
  (日本棋院、女流特別採用試験本戦1位)


※福島県出身の著名料理人方が創作されたレシピが紹介されています。
 よろしければ、下記のサイトにアクセスしてみてください。
  
会津伝統美食HP

女流本因坊戦..振り返り;1

2013年02月20日 | 囲碁の話題




 1年遅れとなってしまいましたが、一昨年は謝さんが女流本因坊5連覇を達成、去年は6連覇を決めました。日本国内の女流棋戦では前人未到の快挙。その快挙を達成した打碁の着手に、謝さんの変化らしきモノが感じられるのです。

..まずは第30期女流本因坊戦の振り返りから。



  第30期..女流本因坊戦
  五番勝負 第1局目
 


..黒;向井千瑛
..白;謝依旻


 「白30は打ち過ぎ。打つなら白53に……」(王銘エン)
※白30のすぐ近くには、白が手抜きし黒が強くなったツケヒキ定石(黒03〜黒13)がある。この形には、白が寄り付く隙がない。これは私見。

 この碁は、NHK教育の囲碁将棋フォーカスで紹介され、黄孟正・九段が解説されました。序盤戦や中盤戦に関しての鋭い黄先生の解説は何度か聞いていますが、そんな黄先生が向井さんの打ち回しをべた褒めされていました。
 この碁については、謝さんの過ぎた剛打を正確に受け止め、その後は向井さんが返し技を的確に決めました。剛打の謝さんに剛打で打ち勝った向井さん、並外れた潜在能力が見事に発揮された1局でした。
 向井さんについての意見を当ブログで書いた事がありましたが、それは撤回致します。


 そしてもう1つ。黄先生や銘エン先生が疑問視した白24。実はこの下がりが、今の謝さんの棋風を表しています。これを前提に、第31期の五番勝負をみてみます。


女流本因坊戦..振り返り;2

2013年02月20日 | 囲碁の話題





第31期..女流本因坊戦
   五番勝負 第2局目


..黒;謝依旻
..白;奥田あや

..謝さん、向井千瑛さんとは同期であり、また大変優れた才能の持ち主である奥田あやさんが31期の挑戦者。ちなみにこの同期の三人は、女流黄金世代と呼ばれています。解説はマイケル・レドモンド九段。

..2局目、黒53手。このアテコミをレドモンド先生は絶賛。原因は封鎖されてしまった白石には眼形が無く、形も崩れている。更に遡る事白12のノゾキは問題ありと、呉清源先生が数年前にある本で批判されています。


....≪次のステップへ≫

..謝さんが打った、この碁の黒19。何故攻めの手では無く、地取りの手を打ったか。

..ここからは私の推測です。

..まだ謝さんが挑戦手合いに出場する前の事、

「謝さんのヨミや戦闘力は凄いけれど、一方で布石は苦手」

..そんな黄孟正・九段のお話しを何度か聞いていました。では、謝さんの弱みは布石なのか。あるいは、苦手な布石が今後の活躍の足かせになる恐れはあるのか。
..そんな疑問を佐々木修先生(謝さんが院生時代に指導を受けていた)に訊ねてみると、答えはノーでした。

「布石の勉強は30才を過ぎてからでも間に合います。プロのタイトルを取るには、何よりヨミのチカラこそが大事。その点、謝さんは別格ですよ」
..そんな謝さんのヨミや戦闘力にかなうプロはごく僅か。謝さん以上の素質を持っていた院生は、今の石田章・九段だけ。

..戦闘力は高いが、布石が苦手。そんな謝さんはどんな碁打ちになるのか。いずれは布石は地に辛く、秀栄名人の様な棋風になるのだろう。秀栄名人自身、ヨミのチカラは強かったが、布石は苦手であった。苦手克服の模索をしている内、自分からは仕掛けず、相手のチカラを利用する布石、アマシ打ちの名手と呼ばれるまでになったのです。

..私の推測が当たっているのかどうかは兎も角、最近の謝さんの碁は地に辛く、ほんの少し穏やかになった様に思えます。

..謝さんがタイトルを何連覇するか。謝さんの実力だけを単純に考えれば、10連覇15連覇してもおかしくはない。しかしその一方で、女性棋士のレベルは確実に上がっています。私が31期女流本因坊戦の棋譜を調べた限りでは、田村千明さんや種村小百合さんの戦闘力は格段に向上しています。以前とは別人かと疑いたくなる程に……
..女流は弱い。普及だけやってればいい。そんな悪評を以前聞いた事がありますが、それはもはやデマにもならないかもしれない。確実に強くなっている日本の女性棋士。予選譜でさえ、今後は大いに楽しめそうです。

見守られている安心感

2013年02月18日 | 囲碁と、日本の未来。
  勉強する事は常に孤独と不安との戦いで、特に高校を卒業するまでの12年間は、勉強の成果は定期的な試験でしか評価出来ないという欠点を持っています。その12年間は子供が一人で勉強するには余りにも長すぎる。
  まだ年端もいかない趙治勲が韓国から日本に留学してきた時、林海峰を越える大才と期待されていました。しかし、遊び耽っていた時期が長かった為にプロ入りが遅れ、「やる気がないなら韓国へ帰れ」と兄から叱られたという。
 実はこれはホームシックが原因で、小川誠子さんがおんぶして散歩につれていったそうです。さらには木谷道場の大所帯でも最年少だった事から、先輩達からいじめにあっていたと、武宮正樹九段があるイベントで証言されています。
 これは趙治勲ばかりではなく、遠方から上京し門を叩いた少年少女にとっての課題は、才能の有無ではなくホームシックであったようです。

 卓球やフィギュアスケート等、特に個人技の要素が強い競技でオリンピックや世界選手権に出場する選手には、家族特に母親との関係がよくメディアにて取り上げられます。福原愛選手の様にスパルタで鍛えられた人もいれば、浅田真央選手の様に仲良しレッスンの人もいる。但し気を付けなければいけないのは、我が子を有名選手の様にしようと、親が一方的に指導してしまう例。その場合は子供が興味関心を無くしてしまっている事が多い。

 これは仲邑囲碁道場のブログにて紹介された記事。仲邑信也・幸夫妻の教室で囲碁を始めたあるお子さん。家に帰って習った事を喋るうち、囲碁を知らない父親が興味を持つ様になったという。昔であれば、父親が子供に教えたものでした。
 勉強には大人の見守りが必要と書きましたが、それ以外の習い事でも同じ。誰かに見守られている安心感は成長の糧。特に習い事の場合、子供の成長ははっきりとわかるもので、早い遅いに関わらず、大人の我々に楽しみを感じさせてくれるものです

教え方を学ぼう

2013年02月04日 | 囲碁界への提言




 好きな事をやるのは楽しいが、それを仕事にすると大変。人に教えようとしても、なかなか理解してもらえない。囲碁をやる人のジレンマで、どうして教えた通りに出来ないんだと、悩んでいる指導者や上手は大勢います。そんな現実を、私はこれまで目にして来ました。

 それらへの課題には、木下かおりさんが以前雑誌連載されていた、
『公開します 私の教え方ノート』
 が良いヒントになるかと思います。私も愛読者の1人で、非常に面白く楽しみにしていました。このブログの記事の大半は、実はこの連載に対する返答のつもりであり、囲碁の教え方伝え方を私なりに考え、文章として掲載しています。
 分かりにくい、固い記事ばかりで申し訳なく思いますが、宜しくお付き合いください。

 囲碁は教えるのが難しい。その原因は何かと言えば、まずは囲碁の指導法のマニュアルやガイドラインが存在せず、教える人の知識や経験に一任されている事にあります。つまり、いい先生に出会えるかどうかは運次第、という事になりかねません。だからこそ、今後は囲碁指導の為のガイドラインの編纂や、指導者のコーチング能力の向上が急務なのです。

 では、教える実力を高めるにはどうすればいいか。まずは自分がどの様に教えているのかを振り返ってみては如何でしょう。教えている風景をビデオで録画する、あるいは他の実力者の意見を聞く、等々あります。
「あんな風に教えて良かったのかな」
 と振り返る事を習慣にする事で、自分を客観的に見る様になり、教え方や指導内容の良し悪しに気が付けます。

 次に、指導技術や方法論に関する知識の学び方について。その為には、多くの情報を集める事。プロアマ問わず、教え上手と呼ばれる人は大勢います。指導の上手いプロとしては山部俊郎先生や細川千仭先生等。お二人は故人ではありますが、図書館や古本屋にある著書を探す。例え昔のものであっても、何かしらの良きヒントが見つかるはずです。



親子で学ぶ意義

2013年02月04日 | 囲碁と、日本の未来。
  毎年三月頃になると、東京大学の合格者発表の様子がワイドショーで放送されます。合格者はすぐに胴上げされ、サークルの勧誘がある。中には母子家庭や父子家庭で奨学金を受けている人や、浪人して合格した人も多いはずなのですが、お祭り騒ぎしている所ばかりが放送されるせいか、おめでとうと言う気にはなれません。

 合格発表の後、カメラが向かうのは大概現役で合格した女の子の家。東大に現役合格した子はどんな勉強しているのか、気になるのは世の常なのでしょうか。
 そこで共通している事。親子の仲がとにかく良く、親の居るすぐ近くで勉強している。仲が悪ければ勉強などはかどら無いのは当たり前でしょうが、勉強部屋に一人込もってやるのが定石じゃなかろうか。

  大人は忙しいのだから一人で静かに勉強して欲しい。これか親の本音なのでしょうが、それは無茶な要望らしい。
「子供は一人では勉強出来ない」
  という現実は、家庭教育に関する本ではよく取り上げられている事らしい。特に大学受験の場合は高校や予備校での授業だけではなく、健康やメンタルなどのサポートを担う家族の役目が非常に大きいのだそうです。小学生の時期は、添削や宿題のヒント出しも子供によっては必要で、それを親が担う必要があるそうです。もちろん家庭それぞれにも都合があり、両親が共働きで面倒が見られないという事もありましょう。その場合には学習塾や学童保育を活用するものですが、それ以外の方法としては、祖父母や叔父叔母、あるいは友達の親の協力を仰ぐのも良いでしょう。そんな事をしては迷惑をかけると心配される方も居るでしょうが、その場合には月に一度菓子折りを持ってお礼にいけばいい。
  例えば親が家にいないいわゆる鍵っ子、それ自体は悪い事では無い。その子が人付き合いが苦手な大人にならないよう、早い時期から家庭以外の様々な人達と接する。それが、現代のグローバル時代を生き抜く強い心を鍛える一歩の様です。