秀策発!! 囲碁新時代

 「囲碁は日本の文化である」と胸を張って言えるよう、囲碁普及などへの提言をします。

囲碁観戦記の鑑賞術≪6≫〜読み物としての楽しみ〜

2015年11月02日 | 囲碁界への提言
 それまで囲碁と縁がなかったが、定年退職されたご主人に誘われ碁会に始めて参加した。それがきっかけで新しい交遊関係が出来た。そんな女性の囲碁ファンも大勢いらっしゃいます。
「囲碁始めたばかりで全然強くない」
 と言う人にも、それぞれにあった楽しみ方がある。囲碁の番組や本を見る、囲碁の仲間と食事に行く、それもまた良いでしょう。今回、囲碁の観戦記について取り上げた理由も、実は囲碁が強くなくとも楽しめる、それを是非とも知って頂きたかったから。

「打碁集や観戦記を読んで勉強する際は、解説や参考図を読まず、棋譜並べだけに集中する事」
 これが棋譜並べの際の心得とされています。しかし、昭和40年以降はそうとは限らない。棋譜解説は分かりやすく、観戦記は読んで面白く。観戦記者はこれを意識して執筆し、解説担当のプロもそうする様に注意しているそうです。ですから、仮に解説が難しくわからないとしても、観戦記に書かれたエピソードを読み、より囲碁に親しむのもいい。はじめから勉強第一と意識する必要はありません。
 プロの碁はよくわからない。しかし、囲碁界の話題や対局者についての興味が少しでもあれば、観戦記は結構面白く読めます。打碁の進行内容や観戦記者のアングルにもよりますが、雑誌や新聞で取り上げられなかったエピソードが紹介される事も多々あります。普及活動、国際試合、研究会の様子…… そして観戦記は作品。新聞連載のエッセイや小説と同じ立場。そう思えば、仲間との会話のネタが見つかり、囲碁談義が盛り上がります。対局以外にも楽しみは沢山あるのです。

 昭和中期までは囲碁記者が少なかった事もあるのでしょうが、観戦記の人気が新聞の売上に直結する事もあり、著名作家が担当する事も多かった様です。中でも、戦中に川端康成が担当した本因坊秀哉名人引退碁の観戦記は、特に評判が高い。これは川端の全集にも収録されていますので、一度はご覧頂きたい作品です。≪続≫

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