秀策発!! 囲碁新時代

 「囲碁は日本の文化である」と胸を張って言えるよう、囲碁普及などへの提言をします。

囲碁観戦記の鑑賞術≪11≫〜セカンドオピニオン〜

2016年01月18日 | 囲碁の話題
「プロの碁打ちでクセが無い碁を打てるのは、高川秀格さんと杉内寿子さんくらい」
  そんな話を佐々木修先生から聞いた事があります。杉内先生は喜多文子先生の門下。その喜多先生、明治〜大正の囲碁界を牽引する第一人者。当時は一流棋士でさえ暮らしに困る状況、並みの修行では将来は無いと、少女らしい楽しみは全て慎んで修行をされたそうです。修行、修行、また修行。女性の碁打ちはアイドルにあらず、時代の中核を担える実力者でなければならなかった……
  いつの時代も、ベテランのプロの多くは若手に負け越してしまう。とは言え、そんな喜多先生の元で修行された杉内先生、未だにチカラは特段衰えておらす、プロの間での評価は相変わらず高いそうです。

  そんな杉内寿子先生と、藤沢里菜さんが対局された観戦記が私の手元にあります。それの解説をされたのが、杉内先生の御主人、杉内雅男先生。最年長と最年少の対局の結果は、最年少の藤沢里菜さんの勝ち。この碁に勝ったとは言え、プロとしての経験はまだ浅い里菜さん、両先生から学んだ事は大きいと思います。
  囲碁の打ち方について、プロは他人からは滅多に教わりません。大抵の事は、考えたり調べたりすればすぐに答えが出せるチカラがあるから。しかし、考えても調べても結論が出せない時があります。そんな時、信頼あるプロに質問をします。その相手はタイトル経験者の他、杉内雅男先生や石田章先生等の第一人者。あまり知られていないプロの世界のこの文化、私はこれを、
「囲碁の『セカンドオピニオン」
  と読んでいます。
  新聞連載の観戦記は意外に読みやすく分かりやすい。しかし、中には分からない打ち方や解説もあるでしょう。そんな場合には、プロに訪ねればいい。日本全県、数ヵ月に1回はプロの指導碁が打たれています。聞けば丁寧に教えて貰えます。アマチュアが強くなりたいと思う気持ちは尊い事。それを応援するのは、プロやアマ高段者の大切な役目なのです。≪続≫

囲碁観戦記の鑑賞術≪10≫〜ネットサービスを活用しよう〜

2016年01月04日 | 囲碁の話題
 インターネットの普及は囲碁界にも革命をもたらし、特にネット対局のサービス利用者は急増しています。これによって、特に老舗の碁会所等は利用者が激減したと言われますが、それはどうでしょうか。私の実感では、若年層の囲碁ファンにとって碁会所は身近な存在では無く、行こうにもどこにどんな店があるのかが見つけられない。仕方無しに、ネット碁を選んでいると言う方が多い。囲碁関係者と新しい囲碁ファンとの意識のずれがあまりにも大きすぎる様に思うのです。

 しかしそれでも物は使い様で、囲碁入門希望者とプロとの距離が近くなっている、そんな面が一方ではあるともいえます。ブログ、ツイッター、フェイスブック等を利用し、近況を報告しているプロも増えました。特に全国各地で指導しているプロも多いので、そんな人はどこにどんな碁会所があるのかを承知しています。
「碁会所を探しているけど見つからない」
 もしそんな事がある人は、コメント欄に書き込んでみては。親切に教えて貰えるかと思います。更に、ご自宅や職場(学校)はどの辺にあるのか、囲碁の経験はあるのか無いのか、その2つが書いてあれば尚良しでしょう。当然、ネットを利用している碁会所や囲碁教室も増えてきましたので、以前よりは探しやすい筈です。

 これは観戦記を読む際にも役に立ちます。例えば、近況報告として、公式対局や研究会の事を紹介しているプロもいます。中には、ご自身が打った碁や新手紹介をしている方もいます。そこから情報を得て観戦記を読む。これもまた面白い。
 例えば石井茜さんは、洪清泉氏主宰の研究会で使われた詰碁をブログで掲載される事があります。最近、関西女流が本戦トーナメントで活躍しているのはこの研究会の影響が大きいといわれています。
 例え無名でも資質の高い人や急成長している人。そんな人をいち早く発見出来るのも、観戦記の魅力の1つ。ネットや観戦記を活用し、囲碁ライフを楽しんで下さい。≪続≫