こんばんは。
長いことアップするのを躊躇っていました。
どうそ。
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今回は、河口湖のお話しをします。
音楽関係で、いつも合宿を組んでいた頃がありました。
もう8年も昔(1996年から8年前)のことです。
河口湖に合宿に行ったのは、3月の終わりの頃でした。その合宿所は、色々有名な人が使うところで知られていました。が、ちっともきれいではありません。有名な歌手の写真やサインがありましたが、どうやっても、ベニヤがはがれていたり、タイルがはがれていたり、ぼろくてあまり気持ちのいい合宿所ではありませんでした。
女の子に割り当てられた部屋は3部屋ありました。が、一つは部屋の畳がみんな裏返しにされていたので、使えませんでした。しょうがなく、3部屋分の女の子を2部屋に分けました。
しかし、私が入った部屋は、濡れてじとじとしていました。「これだから、隣の部屋は畳が裏返してあるんよ。」と誰かが言いました。畳が水っぽく、布団をしいてもなんとも言えない感じがして、ゆっくり休むこともできません。しょうがなく、女の子はなんとか無事なもう一つの部屋を全員で使うことにしました。練習、レコーディングを夜遅くまでやって、明け方眠るような形になりました。
ある晩、みんな早く寝た時のことでした。一人だけ起きて毛布を抱えている子がいるのです。
「何してるの?」「まっぁまぁ。」
その子は、何か耳をそばだてています。
「ねぇねぇ、どうしたの?」
と私が近づくと、その子は、私を押さえていいました。
「なんか、スタジオの方がうるさいでしょ?」「そう?」
と言って、ドアに近づくとなんか音がします。
「なんか、うるさいねぇ。でも、これ、スタジオの音じゃないよ。」と私は言いました。「だって、これって、話し声だもの。」
怒鳴っているようにも思えました。
「きっと誰かなんかヘマやったんじゃないの?」
と私は、その子うっちゃんとこっそり覗きに行くことにしました。
「どこだ。どこだ。」と探しているとうっちゃんが言いました。「この部屋だよ。」それは、畳が裏返っていて使えない部屋でした。「まさか。ここは、女の子が使うって、男の子はわかっているはずだよ。」というと、うっちゃんはしいっと指を口に当てました。
・・・・・・・すると、声の主は男の子と女の子のようです。「女の子と男の子がけんかしているよ。こりゃ、やっぱ喧嘩だったね。」私は、そのうるさい怒鳴り声で、この部屋なら誰もこないと思って、誰かどっかでくっついたにわかカップルが、痴話げんかしているんだろうと思ってしまったのでした。
「覗こう。のぞいたれ。へへへ。」
と、うっちゃんがとめるのも聞かずに、私はドアを開けてしまいました。
・・・・・・・・・・・・・すると誰もそこにいません。
「???」と思った私は、ますます、押入れの中だろうなどといい気になって、ずかずか部屋に入ると押入れを覗きました。
誰もいないんです。
じゃ、さっきのうるさいのはどうしたんだ、といえば、うるさくもなくなっているのです。うっちゃんは青くなって私の袖をひっぱりました。
「いこう。いこう。空耳だよ。隣のホテルじゃない?」
私は納得できなかっったので、その部屋の隅々見てまわることにしました。そのとき、裏返して立てかけてある畳がばたーんと音を立てて倒れました。
・・・・・・・・・「ひぇー。なんだぁこれはぁ。」倒れたその畳は真っ赤だったのです。即座に私はうっちゃんの手を引っ張ってその部屋を出ました。
翌日、オーナーから、2~3日前にその部屋で逆上した男の子が女の子を刺して、自分も自殺した、殺傷事件があったことを聞きました。
水をかけて洗ったので、隣の部屋まで水浸しになっていたということだったそうです。
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すでに合宿所、つぶれてます。20年くらい前の話ですし。
この話はこの辺でよろしくお願いします。
tomo
長いことアップするのを躊躇っていました。
どうそ。
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今回は、河口湖のお話しをします。
音楽関係で、いつも合宿を組んでいた頃がありました。
もう8年も昔(1996年から8年前)のことです。
河口湖に合宿に行ったのは、3月の終わりの頃でした。その合宿所は、色々有名な人が使うところで知られていました。が、ちっともきれいではありません。有名な歌手の写真やサインがありましたが、どうやっても、ベニヤがはがれていたり、タイルがはがれていたり、ぼろくてあまり気持ちのいい合宿所ではありませんでした。
女の子に割り当てられた部屋は3部屋ありました。が、一つは部屋の畳がみんな裏返しにされていたので、使えませんでした。しょうがなく、3部屋分の女の子を2部屋に分けました。
しかし、私が入った部屋は、濡れてじとじとしていました。「これだから、隣の部屋は畳が裏返してあるんよ。」と誰かが言いました。畳が水っぽく、布団をしいてもなんとも言えない感じがして、ゆっくり休むこともできません。しょうがなく、女の子はなんとか無事なもう一つの部屋を全員で使うことにしました。練習、レコーディングを夜遅くまでやって、明け方眠るような形になりました。
ある晩、みんな早く寝た時のことでした。一人だけ起きて毛布を抱えている子がいるのです。
「何してるの?」「まっぁまぁ。」
その子は、何か耳をそばだてています。
「ねぇねぇ、どうしたの?」
と私が近づくと、その子は、私を押さえていいました。
「なんか、スタジオの方がうるさいでしょ?」「そう?」
と言って、ドアに近づくとなんか音がします。
「なんか、うるさいねぇ。でも、これ、スタジオの音じゃないよ。」と私は言いました。「だって、これって、話し声だもの。」
怒鳴っているようにも思えました。
「きっと誰かなんかヘマやったんじゃないの?」
と私は、その子うっちゃんとこっそり覗きに行くことにしました。
「どこだ。どこだ。」と探しているとうっちゃんが言いました。「この部屋だよ。」それは、畳が裏返っていて使えない部屋でした。「まさか。ここは、女の子が使うって、男の子はわかっているはずだよ。」というと、うっちゃんはしいっと指を口に当てました。
・・・・・・・すると、声の主は男の子と女の子のようです。「女の子と男の子がけんかしているよ。こりゃ、やっぱ喧嘩だったね。」私は、そのうるさい怒鳴り声で、この部屋なら誰もこないと思って、誰かどっかでくっついたにわかカップルが、痴話げんかしているんだろうと思ってしまったのでした。
「覗こう。のぞいたれ。へへへ。」
と、うっちゃんがとめるのも聞かずに、私はドアを開けてしまいました。
・・・・・・・・・・・・・すると誰もそこにいません。
「???」と思った私は、ますます、押入れの中だろうなどといい気になって、ずかずか部屋に入ると押入れを覗きました。
誰もいないんです。
じゃ、さっきのうるさいのはどうしたんだ、といえば、うるさくもなくなっているのです。うっちゃんは青くなって私の袖をひっぱりました。
「いこう。いこう。空耳だよ。隣のホテルじゃない?」
私は納得できなかっったので、その部屋の隅々見てまわることにしました。そのとき、裏返して立てかけてある畳がばたーんと音を立てて倒れました。
・・・・・・・・・「ひぇー。なんだぁこれはぁ。」倒れたその畳は真っ赤だったのです。即座に私はうっちゃんの手を引っ張ってその部屋を出ました。
翌日、オーナーから、2~3日前にその部屋で逆上した男の子が女の子を刺して、自分も自殺した、殺傷事件があったことを聞きました。
水をかけて洗ったので、隣の部屋まで水浸しになっていたということだったそうです。
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すでに合宿所、つぶれてます。20年くらい前の話ですし。
この話はこの辺でよろしくお願いします。
tomo
