こんばんは。
tomoです。しつこいですが、このモードの時は霊能者ではなく、単なる霊感体質のおばさんとでも思ってください。
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子供が生まれる前にスキーに行きました。
主人と喧嘩の仲直りに組んだスキー旅行で、主人はあまり体を動かすことを好きな人ではなく、静かに本でも読んでいるタイプです。ですから、テニスに誘ってもあまり、私と対等にテニスはできませんし、どういうわけか、二人コンビを組んだときは、彼を後方にするのではなくいつも、前方に置いておくと、走らなくて済む分、彼氏は結構、高いところにあがってきたボールでも、ジャンプして、ジャンピングスマッシュを強烈にかまします。
後方の私ですが、球は、一ゲーム中、3回位くれば御の字です。彼氏が捕りきれないボールだけです。
で、これが、軟式だったか硬式だったかで、前方、後方が入れ替わると、とんでもないことになります。主人は後方になると、走ってボールに追いつくのが関の山で、相手のコートに返すだけの力はありません。私は、ジャンピングスマッシュと言えど、主人とは身長が17センチは違いますから、飛ぶ高さが違います。
勿論、これは、彼氏が、卓球だと凄いやつだと言うのもうなづけるでしょう。ですが、卓球ですと、私はものすごく速い球をスライスして送るのと、亡父譲りの、小手先の技術が得意なので、あまり一緒にやっても何も続きません。
まぁ、そんな事は置いておきましょう。
ひとつだけ言えば、主人と私は、同じときに苗場のスキースクールで初めて習ったのですが、主人は基本を覚えるのがうまく基本に忠実ですから、すぐ基本形を覚えてしまい、上達します。しかし、どういうわけか、同じ先生の話を聞いているにもかかわらず、私はやりながら覚える派なので、聞いても分からないのです。んなもんで、実は、私こそあまりうまくありません。
そんな私たち、何度か日本で出かけ、アメリカはユタ州のソルトレイク近辺の山にまで行きました。しかし、一緒に出発しても、必ず彼氏のほうが早いのです。スピードも速いですし、きちり、ターンが決まりますし、彼には転ぶというロスはありません。ですので、いつも私は、彼氏の持つ鈴の音を聞きながらどの辺で待っているか考えながら行きます。
しかし、いつもいつも不思議だったんですよ。友達と行っても、主人の弟たちと行っても、どういうわけか、私、いつもコースを走っているつもりなんですけれどね、時折どこか違うところにまぎれてしまうんです。そんなもんで、最後のときも主人は鈴を持ちました。
その時は、吹雪でしたね。
その中を本当に主人の鈴音を聞いて、大体の距離感を図って進んでいきます。ですが、その途中、どこからか、
「おーい」「おーい」
という声が聞こえたんです。
主人だと思いました。しかし、「なーに?」「なんなの」と聞いても主人から返事はありません。でも、鈴の音は聞こえないんですが、
「おーい」「おーい」
とは聞こえるんです。
まさか、主人が転んだのかしら。でも、自分の先に走った主人の滑走の跡はどんどん消えていきます。そして聞こえる
「おーい」「おーい」。
私は、主人がひねったんだと思いました。だから、鈴じゃないんだと思いました。
思い切り方角を変えました。そこでターンの予定を変えて、もう少し森林のほうに向かったのです。
「おーい」「おーい」
という声はどんどん大きくなります。私も、「大丈夫?」と言いながら、つたなく滑ります。
その時、「がこっ」といって、私が瞬時に普通に滑っている中で転びました。私のスキー板は片方外れ、どんどん先に滑って行きます。「まずい。あれ、履きに取りに帰るの大変だわ。」と思いながら、転んだ拍子に、ストックも手からひとつ離れてしまいました。
私はそれを見ながら、転びながらずるずる下がっていきます。止まらないのです。ずるずると下がって下がって、そのとき、私の前に見えたのは崖でした。
「まずい。」とにかく自分を止めなくちゃ。スキー板やストックより、自分が落ちる。
しかし、ずるずると下がっていきます。
「ちょっと、たすけてぇぇぇぇぇ。」
けれど相変わらず声は、
「おーい、ここだ。おーいここだ。」
と言う声。
主人もこのまんま落ちちゃったのかしら・・・どうしよう。私も落ちたら、誰が麓に知らせるのよ、止まってよ私。頼むから止まって、何なのこの新雪は、エッジも引っかかりもしないじゃないのよぉぉぉ。なんなのよぉ。ふざけんじゃないわよって、頼むからとまってよぉぉ。
その時、私、どう思ったんでしょうかね。いきなり凄く大きな声で、
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっぁあ。」と叫んだのです。
「止めてぇ、止まらないの、誰か助けて、止めてぇぇぇ。」
「この先に誰かいるみたいなんです。だれかぁぁぁぁぁ。」
それでも、ずるずる崖に落ち込むその時、後ろから、シュッツと言う音がして、突然私は、ガツンと、どこからか着た人のエッジで、頭を打ちました。頭をエッジで殴って止めてもらって、やっと、崖の下に落ちるのが寸前で止まったのです。
「やっばいなぁ。あんた。さっきから見てたけれど、何であっちに行ったんだよ。こっち、だめだって書いてあんじゃん。危ないよ」
私、ちょっとそのエッジで殴られたので、軽い脳震盪気味で、しばらくしゃべれなかったんですが、その人が、自分のスキー板を脱いで立てて、私を座らせてくれて、私のスキー板を探してきてくれました。
その人は主人ではなく、その人は監視員でした。
どうも、実は聞いてみると、私のスキーの滑走があまりにおかしかったのでずっと付けてきたそうです。しかし、「おーい」というのは彼の声ではなかったんだそうです。「おーい」と言う声は私にだけ聞こえていた声で、実はその後連れて行ってもらった主人に会った時、主人の手には鈴がありませんでした。
そう、主人は、最初から鈴を部屋に忘れていたんだそうです。私はそうではなくて、主人が鳴らしているとばかり思い込んでいたのです。
じゃぁ、あの鈴の音は・・・・私を誘導していたあの鈴の音は?
監視員さんが言いました。
「あのさーあなた、途中で見てあぶねぇと思って見てたんだけれど、ドンドンコースアウトしていくんだよ。それもさ、何度か止まって耳を澄ませているのも俺知ってたんだ。だから、知り合いが先にいるんだとおもって、ゆっくり滑っていたわけよ。」
「でも、あなた、どんどん、禁止区域に入っていってさ、それでまた立ち止まって何か聞いていたんだよ。それで、何か大きな声で言うじゃない?俺、友人がまずいことになったのかと思ったんだよね、で行こうと思ったとき、あなたいきなり転んで、そのまま崖に転がって落ちていくんだよ。しかも、止めようとあなたわめいても止まらなかったでしょ。
猛烈に俺、とにかくあぶねぇと思って、最終手段で、エッジで先回りしてあんたの頭をエッジで止めたんだよ。痛かったでしょ。ごめんなさいね。」
「主人が鈴を持っていてその音を聞いて、進んでいったんです。今日ちょっと見難い視界でしたしね。それに、おーいって聞こえるからてっきり私、主人が怪我したんだと思って・・・・・」
「僕は鈴を置いてきちゃったんだよ。って、君にゴンドラで言ったじゃない?忘れたの?」
「じゃぁ、私は何を聞いて、どこに行こうとしていたのかしら。とにかく、ありがとうございます。たんこぶ位で済んでよかったです。」
「・・・・・まじに気をつけて。あそこね、いつもはテープ張ってあるんだよ。禁止だって。それが今日はなかったんだよね。昨日の風で飛んだのかもしれないけれど、見回りに来ているからテープ無くなったら、俺、見落とすことないんだけれどさ。」
「ただ・・・・・」
「ただ?」
「あんたの向かってた方向ね。あの崖に下に落ちて死んだ人がいるんだよ。だから危険でね、いつもテープを張ってあったんだよ。俺には、おーいって声は聞えなかったけれど、あんたマジであそこの崖から落ちてたら死んでたよ。本当にあんた、呼ばれるように、耳を澄ませながらあっちに行くのが本当に怖かった。」
「すみません。」
「呼ばれやすいと思うんだよね。」
「??」
「スキー。もうやめなよ。俺、監視員としてスキー一級持ってるんだけれどさ、あんた、呼ばれる人だから。もう、ゴンドラに乗るような所行ったら、真面目に何あっても知らないよ。」
「いるんだよ。よく呼ばれていく人がね。どうしてかわからないけれど、みんな鈴がとか、おーいって声がって言うよ。監視員を辞めるわけには俺、行かないんだ。だけど、毎回付き合って滑るわけに行かない。もうスキーはやめてください。」
「はい。」
そうして、私は二度とスキーをやらないことにしました。
本当にその脳震盪レベルのエッジで蹴られなかったら、私は今頃崖の下の死体の2番目になっていたんでしょうね。あのあるはずない鈴の音と声に惑わされて・・・・・・・。
tomo
tomoです。しつこいですが、このモードの時は霊能者ではなく、単なる霊感体質のおばさんとでも思ってください。
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子供が生まれる前にスキーに行きました。
主人と喧嘩の仲直りに組んだスキー旅行で、主人はあまり体を動かすことを好きな人ではなく、静かに本でも読んでいるタイプです。ですから、テニスに誘ってもあまり、私と対等にテニスはできませんし、どういうわけか、二人コンビを組んだときは、彼を後方にするのではなくいつも、前方に置いておくと、走らなくて済む分、彼氏は結構、高いところにあがってきたボールでも、ジャンプして、ジャンピングスマッシュを強烈にかまします。
後方の私ですが、球は、一ゲーム中、3回位くれば御の字です。彼氏が捕りきれないボールだけです。
で、これが、軟式だったか硬式だったかで、前方、後方が入れ替わると、とんでもないことになります。主人は後方になると、走ってボールに追いつくのが関の山で、相手のコートに返すだけの力はありません。私は、ジャンピングスマッシュと言えど、主人とは身長が17センチは違いますから、飛ぶ高さが違います。
勿論、これは、彼氏が、卓球だと凄いやつだと言うのもうなづけるでしょう。ですが、卓球ですと、私はものすごく速い球をスライスして送るのと、亡父譲りの、小手先の技術が得意なので、あまり一緒にやっても何も続きません。
まぁ、そんな事は置いておきましょう。
ひとつだけ言えば、主人と私は、同じときに苗場のスキースクールで初めて習ったのですが、主人は基本を覚えるのがうまく基本に忠実ですから、すぐ基本形を覚えてしまい、上達します。しかし、どういうわけか、同じ先生の話を聞いているにもかかわらず、私はやりながら覚える派なので、聞いても分からないのです。んなもんで、実は、私こそあまりうまくありません。
そんな私たち、何度か日本で出かけ、アメリカはユタ州のソルトレイク近辺の山にまで行きました。しかし、一緒に出発しても、必ず彼氏のほうが早いのです。スピードも速いですし、きちり、ターンが決まりますし、彼には転ぶというロスはありません。ですので、いつも私は、彼氏の持つ鈴の音を聞きながらどの辺で待っているか考えながら行きます。
しかし、いつもいつも不思議だったんですよ。友達と行っても、主人の弟たちと行っても、どういうわけか、私、いつもコースを走っているつもりなんですけれどね、時折どこか違うところにまぎれてしまうんです。そんなもんで、最後のときも主人は鈴を持ちました。
その時は、吹雪でしたね。
その中を本当に主人の鈴音を聞いて、大体の距離感を図って進んでいきます。ですが、その途中、どこからか、
「おーい」「おーい」
という声が聞こえたんです。
主人だと思いました。しかし、「なーに?」「なんなの」と聞いても主人から返事はありません。でも、鈴の音は聞こえないんですが、
「おーい」「おーい」
とは聞こえるんです。
まさか、主人が転んだのかしら。でも、自分の先に走った主人の滑走の跡はどんどん消えていきます。そして聞こえる
「おーい」「おーい」。
私は、主人がひねったんだと思いました。だから、鈴じゃないんだと思いました。
思い切り方角を変えました。そこでターンの予定を変えて、もう少し森林のほうに向かったのです。
「おーい」「おーい」
という声はどんどん大きくなります。私も、「大丈夫?」と言いながら、つたなく滑ります。
その時、「がこっ」といって、私が瞬時に普通に滑っている中で転びました。私のスキー板は片方外れ、どんどん先に滑って行きます。「まずい。あれ、履きに取りに帰るの大変だわ。」と思いながら、転んだ拍子に、ストックも手からひとつ離れてしまいました。
私はそれを見ながら、転びながらずるずる下がっていきます。止まらないのです。ずるずると下がって下がって、そのとき、私の前に見えたのは崖でした。
「まずい。」とにかく自分を止めなくちゃ。スキー板やストックより、自分が落ちる。
しかし、ずるずると下がっていきます。
「ちょっと、たすけてぇぇぇぇぇ。」
けれど相変わらず声は、
「おーい、ここだ。おーいここだ。」
と言う声。
主人もこのまんま落ちちゃったのかしら・・・どうしよう。私も落ちたら、誰が麓に知らせるのよ、止まってよ私。頼むから止まって、何なのこの新雪は、エッジも引っかかりもしないじゃないのよぉぉぉ。なんなのよぉ。ふざけんじゃないわよって、頼むからとまってよぉぉ。
その時、私、どう思ったんでしょうかね。いきなり凄く大きな声で、
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっぁあ。」と叫んだのです。
「止めてぇ、止まらないの、誰か助けて、止めてぇぇぇ。」
「この先に誰かいるみたいなんです。だれかぁぁぁぁぁ。」
それでも、ずるずる崖に落ち込むその時、後ろから、シュッツと言う音がして、突然私は、ガツンと、どこからか着た人のエッジで、頭を打ちました。頭をエッジで殴って止めてもらって、やっと、崖の下に落ちるのが寸前で止まったのです。
「やっばいなぁ。あんた。さっきから見てたけれど、何であっちに行ったんだよ。こっち、だめだって書いてあんじゃん。危ないよ」
私、ちょっとそのエッジで殴られたので、軽い脳震盪気味で、しばらくしゃべれなかったんですが、その人が、自分のスキー板を脱いで立てて、私を座らせてくれて、私のスキー板を探してきてくれました。
その人は主人ではなく、その人は監視員でした。
どうも、実は聞いてみると、私のスキーの滑走があまりにおかしかったのでずっと付けてきたそうです。しかし、「おーい」というのは彼の声ではなかったんだそうです。「おーい」と言う声は私にだけ聞こえていた声で、実はその後連れて行ってもらった主人に会った時、主人の手には鈴がありませんでした。
そう、主人は、最初から鈴を部屋に忘れていたんだそうです。私はそうではなくて、主人が鳴らしているとばかり思い込んでいたのです。
じゃぁ、あの鈴の音は・・・・私を誘導していたあの鈴の音は?
監視員さんが言いました。
「あのさーあなた、途中で見てあぶねぇと思って見てたんだけれど、ドンドンコースアウトしていくんだよ。それもさ、何度か止まって耳を澄ませているのも俺知ってたんだ。だから、知り合いが先にいるんだとおもって、ゆっくり滑っていたわけよ。」
「でも、あなた、どんどん、禁止区域に入っていってさ、それでまた立ち止まって何か聞いていたんだよ。それで、何か大きな声で言うじゃない?俺、友人がまずいことになったのかと思ったんだよね、で行こうと思ったとき、あなたいきなり転んで、そのまま崖に転がって落ちていくんだよ。しかも、止めようとあなたわめいても止まらなかったでしょ。
猛烈に俺、とにかくあぶねぇと思って、最終手段で、エッジで先回りしてあんたの頭をエッジで止めたんだよ。痛かったでしょ。ごめんなさいね。」
「主人が鈴を持っていてその音を聞いて、進んでいったんです。今日ちょっと見難い視界でしたしね。それに、おーいって聞こえるからてっきり私、主人が怪我したんだと思って・・・・・」
「僕は鈴を置いてきちゃったんだよ。って、君にゴンドラで言ったじゃない?忘れたの?」
「じゃぁ、私は何を聞いて、どこに行こうとしていたのかしら。とにかく、ありがとうございます。たんこぶ位で済んでよかったです。」
「・・・・・まじに気をつけて。あそこね、いつもはテープ張ってあるんだよ。禁止だって。それが今日はなかったんだよね。昨日の風で飛んだのかもしれないけれど、見回りに来ているからテープ無くなったら、俺、見落とすことないんだけれどさ。」
「ただ・・・・・」
「ただ?」
「あんたの向かってた方向ね。あの崖に下に落ちて死んだ人がいるんだよ。だから危険でね、いつもテープを張ってあったんだよ。俺には、おーいって声は聞えなかったけれど、あんたマジであそこの崖から落ちてたら死んでたよ。本当にあんた、呼ばれるように、耳を澄ませながらあっちに行くのが本当に怖かった。」
「すみません。」
「呼ばれやすいと思うんだよね。」
「??」
「スキー。もうやめなよ。俺、監視員としてスキー一級持ってるんだけれどさ、あんた、呼ばれる人だから。もう、ゴンドラに乗るような所行ったら、真面目に何あっても知らないよ。」
「いるんだよ。よく呼ばれていく人がね。どうしてかわからないけれど、みんな鈴がとか、おーいって声がって言うよ。監視員を辞めるわけには俺、行かないんだ。だけど、毎回付き合って滑るわけに行かない。もうスキーはやめてください。」
「はい。」
そうして、私は二度とスキーをやらないことにしました。
本当にその脳震盪レベルのエッジで蹴られなかったら、私は今頃崖の下の死体の2番目になっていたんでしょうね。あのあるはずない鈴の音と声に惑わされて・・・・・・・。
tomo