こんばんは。
立て続けに摩訶不思議に逝きます。14話目です。実際データは28話までしかありません。もう少し残りをお楽しみください。
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弟二人が、家賃を半分ずつにして、新築の賃貸マンションに、お引越しをすることになりました。当然、「引越しそばはつくかもよ。」という弟たちの声に惑わされて、姉の私も主人と手伝いにいきました。
割とこじんまりしたところで、なかなか部屋も広く、みんなでこれはいい物件だとみんなで、言い合いました。
大きい方の部屋を上の弟が、小さい方を下の弟がとったようでした。
当初は、弟たちは、二人で暮らして、あれだこれだ、もめていましたが、半年もすると、仲良く暮らすようになりました。
「姉さん、遊びにきてほしいんだ。」
と、引っ越して半年めのある日、上の弟から電話がかかってきました。
「なんか、差し入れでも欲しいの?」
と、単純に言った私は、久しぶりだったので、即、遊びに行ってしまいました。
・・・・・・・・・・・遊びにいくと、玄関で私は立ち止まってしまいました。
部屋は、変わりないと言えばないのですが、なんか変な感じがしました。なんていう根拠もなかったのですが、部屋に「拒否」されている気がしたのです。
笑い飛ばして、入っていくとうなずけました。
・・・女の人の霊がいるのです。はっきりした形では見えなかったのですが、女の人だなぁという白い影がゆらゆらと、上の弟の部屋に行ったり来たりしていました。
たちすくんでいると、下の弟が、「兄貴の部屋がなんだか、嫌だ。」と、やっとそこで、何で呼んだのかを話してくれました。
上の弟は、なんかに包まれている感じがして、居心地がいいそうでした。しかし、下の弟は、「なんかキッチンと二番目の兄貴の部屋が超やだ。」と言ってききません。
取り敢えず、あまり害はなさそうなので、女の人のことは黙っておきました。
「そうね。汚いからじゃないの?。」
というと、二人とも、口をそろえたように
「本当?」
と私をのぞきこみました。
取り敢えず、夕飯を作ってやることにしました。煮込みシチューを作ろうと、材料を買ってきて、包丁を持ってから、ことは始まりました。
包丁の手元が、ぐいっと、人に手を取られるようにそれるのです。まるで、指を切らんばかりのそれようでした。私は、まな板から目を上げて、正面を見上げました。
壁が、キッチンのところだけ、アルミになっているのですが、そこに女の人が映っていました。私の横に私の右腕を抱え込むようにして、立っていました。
「これで、切れないんだ。」
と思った私は、心の中で、
「お願い、作らせてちょうだい。」
と言いました。何度か押し問答のあげく、指を切らずに材料を切ることができました。
煮込んでいる間、彼女は色々私が気になるようでした。私がのぞきこむと、こそこそと上の弟の部屋に逃げ込んでしまいます。決して、下の弟の部屋にはいきません。
「あぁ、あの子が好きなのね。」
黙って彼女は、何も話しませんが、それでも、私には、彼女なりの精一杯のジェラシーを感じました。
「下の弟にまで、やきもちやいて、恐がっているんだ。私が姉であっても、やっぱ焼餅やくんだな。」
とも思いました。
でも、悪くはなさそうなので、弟達に、この半分歓迎されない同居人の存在を話しました。下の弟はとても嫌がっていましたが、自分の部屋に何もかも持ち込むことで、しばらくはうまくやっていたようでした。
その部屋から、下の弟は、社会人になって、まもなく転勤で出て行きました。
上の弟が一人ですんでいましたが、その間、恋人ができませんでした。なんだか、一人が居心地が良いみたいでした。4年くらいたって、やっと恋人ができました。しかし、自分の部屋に連れて来た途端、逃げられてしまいました。あとで、その女の子に聞いた話では
「あの人には、他に女の人がいる」
とのことでした。そんなことありません。弟は、気味がわるくなって引越しすることにしました。しかし、それでも、あたらしい部屋に連れていくと、
「よそに女の人がいる」
と恋人に逃げられるのです。
他の女の人・・・・もしかしてあの彼女がまだ邪魔をしているのでしょうか。私は、あれ以来、引っ越したという彼の部屋には遊びに行っていません。
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後日談ですが、そんな上の弟は、歓迎されぬ同居人の気持ちをすっ飛ばして、とある女性と結ばれることになり、既に結婚生活は10年以上。
なんというか、生きている人間はやっぱ強いと思いました。
幽霊に横恋慕されても、やっぱ生身の女性のほうが私も好きです。(ってか私なら、生身の男性ってとこでしょうか)、生きてる人間は金は稼いできますし、話も通じるし、話の話題も超ネガティブじゃないし、なんてったって、「ぬくもり」がありますもんね。(すみません、また不謹慎です)
弟の素晴らしい決断には私はとても感服いたしました。
この話はこの辺でよろしくお願いします。
tomo
立て続けに摩訶不思議に逝きます。14話目です。実際データは28話までしかありません。もう少し残りをお楽しみください。
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弟二人が、家賃を半分ずつにして、新築の賃貸マンションに、お引越しをすることになりました。当然、「引越しそばはつくかもよ。」という弟たちの声に惑わされて、姉の私も主人と手伝いにいきました。
割とこじんまりしたところで、なかなか部屋も広く、みんなでこれはいい物件だとみんなで、言い合いました。
大きい方の部屋を上の弟が、小さい方を下の弟がとったようでした。
当初は、弟たちは、二人で暮らして、あれだこれだ、もめていましたが、半年もすると、仲良く暮らすようになりました。
「姉さん、遊びにきてほしいんだ。」
と、引っ越して半年めのある日、上の弟から電話がかかってきました。
「なんか、差し入れでも欲しいの?」
と、単純に言った私は、久しぶりだったので、即、遊びに行ってしまいました。
・・・・・・・・・・・遊びにいくと、玄関で私は立ち止まってしまいました。
部屋は、変わりないと言えばないのですが、なんか変な感じがしました。なんていう根拠もなかったのですが、部屋に「拒否」されている気がしたのです。
笑い飛ばして、入っていくとうなずけました。
・・・女の人の霊がいるのです。はっきりした形では見えなかったのですが、女の人だなぁという白い影がゆらゆらと、上の弟の部屋に行ったり来たりしていました。
たちすくんでいると、下の弟が、「兄貴の部屋がなんだか、嫌だ。」と、やっとそこで、何で呼んだのかを話してくれました。
上の弟は、なんかに包まれている感じがして、居心地がいいそうでした。しかし、下の弟は、「なんかキッチンと二番目の兄貴の部屋が超やだ。」と言ってききません。
取り敢えず、あまり害はなさそうなので、女の人のことは黙っておきました。
「そうね。汚いからじゃないの?。」
というと、二人とも、口をそろえたように
「本当?」
と私をのぞきこみました。
取り敢えず、夕飯を作ってやることにしました。煮込みシチューを作ろうと、材料を買ってきて、包丁を持ってから、ことは始まりました。
包丁の手元が、ぐいっと、人に手を取られるようにそれるのです。まるで、指を切らんばかりのそれようでした。私は、まな板から目を上げて、正面を見上げました。
壁が、キッチンのところだけ、アルミになっているのですが、そこに女の人が映っていました。私の横に私の右腕を抱え込むようにして、立っていました。
「これで、切れないんだ。」
と思った私は、心の中で、
「お願い、作らせてちょうだい。」
と言いました。何度か押し問答のあげく、指を切らずに材料を切ることができました。
煮込んでいる間、彼女は色々私が気になるようでした。私がのぞきこむと、こそこそと上の弟の部屋に逃げ込んでしまいます。決して、下の弟の部屋にはいきません。
「あぁ、あの子が好きなのね。」
黙って彼女は、何も話しませんが、それでも、私には、彼女なりの精一杯のジェラシーを感じました。
「下の弟にまで、やきもちやいて、恐がっているんだ。私が姉であっても、やっぱ焼餅やくんだな。」
とも思いました。
でも、悪くはなさそうなので、弟達に、この半分歓迎されない同居人の存在を話しました。下の弟はとても嫌がっていましたが、自分の部屋に何もかも持ち込むことで、しばらくはうまくやっていたようでした。
その部屋から、下の弟は、社会人になって、まもなく転勤で出て行きました。
上の弟が一人ですんでいましたが、その間、恋人ができませんでした。なんだか、一人が居心地が良いみたいでした。4年くらいたって、やっと恋人ができました。しかし、自分の部屋に連れて来た途端、逃げられてしまいました。あとで、その女の子に聞いた話では
「あの人には、他に女の人がいる」
とのことでした。そんなことありません。弟は、気味がわるくなって引越しすることにしました。しかし、それでも、あたらしい部屋に連れていくと、
「よそに女の人がいる」
と恋人に逃げられるのです。
他の女の人・・・・もしかしてあの彼女がまだ邪魔をしているのでしょうか。私は、あれ以来、引っ越したという彼の部屋には遊びに行っていません。
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後日談ですが、そんな上の弟は、歓迎されぬ同居人の気持ちをすっ飛ばして、とある女性と結ばれることになり、既に結婚生活は10年以上。
なんというか、生きている人間はやっぱ強いと思いました。
幽霊に横恋慕されても、やっぱ生身の女性のほうが私も好きです。(ってか私なら、生身の男性ってとこでしょうか)、生きてる人間は金は稼いできますし、話も通じるし、話の話題も超ネガティブじゃないし、なんてったって、「ぬくもり」がありますもんね。(すみません、また不謹慎です)
弟の素晴らしい決断には私はとても感服いたしました。
この話はこの辺でよろしくお願いします。
tomo
