第27回を迎えるアフリカ・フランスサミットがきょう1月13日から二日間、マリのバマコで開催される。
オランド大統領にとっては任期最後のアフリカサミット。事前の情報では35カ国に及ぶアフリカの国家元首級の参加が見込まれる。11月にマダガスカルのアンタナナリボで開催された仏語圏諸国機構(OIF)サミットでは、国家元首級の参加がかなり限られていたことに鑑みれば、上々の数字だろう。
(RFIウェブサイトより)
フランスはアフリカとの経済関係強化が躍起だ。わが庭である仏語圏での影響力の凋落が顕著。旧友のフランコフォンとの関係再強化もさることながら、現在のフランスの本当の「本丸」は、十分マーケットをつかんでいない英語圏や南部アフリカだ。今回のサミットでは、仏の経団連にあたるMEFEFが特別ゲストとして招待されている。
またスペシャルセッションとして若年層サミットが開催される。若手実業家や起業家たちが参集する。このセッションのサイドイベントとして、アフリカ安全保障研究所(ISS)が主催する「マリにおける暴力的過激主義」セミナーが開催されるが、これは2016年8月、ナイロビで開催されたTICAD VIで企画に携わったサイドイベントとシリーズもの。駆けつけたかった!!
TICADサイドイベント『西アフリカ・平和とレジリエンスへの挑戦』〜TICAD VIがやってくる(2)
またCOP21をホスト国として取り仕切ったフランス、今回のサミットでもアフリカ諸国への積極的姿勢を呼びかける。
他方、現実問題として喉元に突きつけられているのは政治課題、そして平和と安定の問題だ。アフリカ諸国からはオランド政権五年の成果が問われる。
就任当初はアフリカリテラシーを疑われたオランド政権。しかしファビウス外相(当時)、ル・ドリアン国防大臣などに支えられた。
オランド政権が介入したアフリカの紛争はざっくりと3つ。サルゴジ時代から続くリビア、マリを中心としたサヘル・サハラ(サーバル作戦、のちにバルカン作戦)、そして中央アフリカ(サンガリス作戦)である。思えば3年前のちょうどこの日、フランスのマリ介入作戦が開始された。同年2013年12月には、パリの大統領府(エリゼ宮)でアフリカ・フランスサミットが開催され、それと同時に、中央アフリカへの介入が開始された。
ここへきてフランスの'interventionnisme'(介入主義)、'ネオfrançafrique'を批判する声が強まって聞こえるようになった。しかしリビアは別として、マリと中央アフリカに関しては、介入当時をリアルタイムで拝察した限りにおいて、当事国を含め、フランスの介入を非難する向きは強くはなかった。
むしろマリにしろ、中央アフリカにしろ、無秩序化への危惧、危機感が高まる中、これに直ちに対抗できる術がフランス以外になかった。少なくとも国連マンデートでエンドースされた仏軍くらいしか、実質的に介入できる術がなく、事後的に機能不十分な国連平和維持活動がやっと組織される、というのが現状だった。フランスにしても、テロとの戦いに一人ぼっちで臨みたくない。泥沼の中央アフリカに一人ぼっちでハマりたくない、というのが本音だったであろう。
もう一つのホットイシューは大統領の任期問題。今回の参加者に渦中の国家元首、コンゴ民主共和国のジョセフ・カビラ大統領、ブルンジのピエール・ンクルンジザ大統領、ガンビアのヤヒヤ・ジャメ大統領の名前はない。民主主義の定着、選挙プロセスの尊重が議題にあがる。また今回、国際指名手配が出されているスーダンのオマル・アルベシール大統領の姿もない。
さらにヨーロッパへの移民問題も大きな課題だ。直近では、今回のサミットのホスト国マリとオランダとの間で、不法移民の帰還に関する大きな対立が生じ、オランダ外相がマリを訪問した。このオランダ外相とは、国連マリ多次元統合ミッション(MINUSMA)の初代国連事務総長特別代表、ベール・ケンダース氏である。
今回のサミット、話題は広範で、治安関係だけでも参加者も10,000人を下らないという。会議開催の中心部ではアクセスがすでに制限され、きょう、マリは臨時の休日となるそうだ。いったいどんな新しいアフリカとフランスの関係が築かれるのか。そしてサミットはテロなどに見舞われることなく無事に開催できるのか?バマコに注目の二日間となる。
(おわり)
オランド大統領にとっては任期最後のアフリカサミット。事前の情報では35カ国に及ぶアフリカの国家元首級の参加が見込まれる。11月にマダガスカルのアンタナナリボで開催された仏語圏諸国機構(OIF)サミットでは、国家元首級の参加がかなり限られていたことに鑑みれば、上々の数字だろう。
(RFIウェブサイトより)
フランスはアフリカとの経済関係強化が躍起だ。わが庭である仏語圏での影響力の凋落が顕著。旧友のフランコフォンとの関係再強化もさることながら、現在のフランスの本当の「本丸」は、十分マーケットをつかんでいない英語圏や南部アフリカだ。今回のサミットでは、仏の経団連にあたるMEFEFが特別ゲストとして招待されている。
またスペシャルセッションとして若年層サミットが開催される。若手実業家や起業家たちが参集する。このセッションのサイドイベントとして、アフリカ安全保障研究所(ISS)が主催する「マリにおける暴力的過激主義」セミナーが開催されるが、これは2016年8月、ナイロビで開催されたTICAD VIで企画に携わったサイドイベントとシリーズもの。駆けつけたかった!!
TICADサイドイベント『西アフリカ・平和とレジリエンスへの挑戦』〜TICAD VIがやってくる(2)
またCOP21をホスト国として取り仕切ったフランス、今回のサミットでもアフリカ諸国への積極的姿勢を呼びかける。
他方、現実問題として喉元に突きつけられているのは政治課題、そして平和と安定の問題だ。アフリカ諸国からはオランド政権五年の成果が問われる。
就任当初はアフリカリテラシーを疑われたオランド政権。しかしファビウス外相(当時)、ル・ドリアン国防大臣などに支えられた。
オランド政権が介入したアフリカの紛争はざっくりと3つ。サルゴジ時代から続くリビア、マリを中心としたサヘル・サハラ(サーバル作戦、のちにバルカン作戦)、そして中央アフリカ(サンガリス作戦)である。思えば3年前のちょうどこの日、フランスのマリ介入作戦が開始された。同年2013年12月には、パリの大統領府(エリゼ宮)でアフリカ・フランスサミットが開催され、それと同時に、中央アフリカへの介入が開始された。
ここへきてフランスの'interventionnisme'(介入主義)、'ネオfrançafrique'を批判する声が強まって聞こえるようになった。しかしリビアは別として、マリと中央アフリカに関しては、介入当時をリアルタイムで拝察した限りにおいて、当事国を含め、フランスの介入を非難する向きは強くはなかった。
むしろマリにしろ、中央アフリカにしろ、無秩序化への危惧、危機感が高まる中、これに直ちに対抗できる術がフランス以外になかった。少なくとも国連マンデートでエンドースされた仏軍くらいしか、実質的に介入できる術がなく、事後的に機能不十分な国連平和維持活動がやっと組織される、というのが現状だった。フランスにしても、テロとの戦いに一人ぼっちで臨みたくない。泥沼の中央アフリカに一人ぼっちでハマりたくない、というのが本音だったであろう。
もう一つのホットイシューは大統領の任期問題。今回の参加者に渦中の国家元首、コンゴ民主共和国のジョセフ・カビラ大統領、ブルンジのピエール・ンクルンジザ大統領、ガンビアのヤヒヤ・ジャメ大統領の名前はない。民主主義の定着、選挙プロセスの尊重が議題にあがる。また今回、国際指名手配が出されているスーダンのオマル・アルベシール大統領の姿もない。
さらにヨーロッパへの移民問題も大きな課題だ。直近では、今回のサミットのホスト国マリとオランダとの間で、不法移民の帰還に関する大きな対立が生じ、オランダ外相がマリを訪問した。このオランダ外相とは、国連マリ多次元統合ミッション(MINUSMA)の初代国連事務総長特別代表、ベール・ケンダース氏である。
今回のサミット、話題は広範で、治安関係だけでも参加者も10,000人を下らないという。会議開催の中心部ではアクセスがすでに制限され、きょう、マリは臨時の休日となるそうだ。いったいどんな新しいアフリカとフランスの関係が築かれるのか。そしてサミットはテロなどに見舞われることなく無事に開催できるのか?バマコに注目の二日間となる。
(おわり)