砂漠の国ニジェール、その奥深くに眠る資源はウラン。フランス原子力大手、アレバ社は、アルリット鉱山の利権を長年にわたって確保してきた。2010年にはイスラム武装勢力マグレブのアルカイダ(AQMI)が7人を拉致、誘拐。2013年にはMUJAOが自爆テロを実施するなど、ターゲットにもなってきた。それでもこの鉱山を手放すことはない。
「そもそもウランは誰のもの?」ニジェールではこんな議論が繰り広げられてきた。2014年5月、ニジェール政府はアレバ社との契約に合意。それまで資源評価価格の5.5%だった採掘税を12%に引き上げた。合意に至るまで、18ヶ月にも及ぶ長い交渉を経てきた。それでも産出国の取り分は多くない。
そんな中、先日、ニジェールでは「ウランゲート」('Uraniumgate')と呼ばれるスキャンダルが報じられた。国民議会ではこの問題が紛糾、野党は追求する構えだ。
この事件、アレバ社とカウンターパートとなってウラン採掘を行う国営企業にまつわるもの。相当額のウランが横流し取引されたのではないか、という疑惑だ。現地の週刊紙「ル・クーリエ」が2月に報じた記事によると、2011年12月11日に、国営企業のニジェール鉱山資源会社(SOPAMIN)が有するパリの口座と、レバノン企業であるオプティマ社が有するドバイの口座との間で、3.19億ドルにのぼる不透明な取引があったとしている。
ル・クーリエ紙によると、このウランゲート事件にはフランス、ロシア、レバノンなど複数の外国企業が関係。証拠となる文書には、現財務大臣でマハマドゥ・イスフ大統領の官房長も務めるアスミ・マスドゥ氏の名前とともに、フランスのアレバ社も名を連ねている、としている。
マスドゥ大臣は、「2011年、SOPAMIN社の合法的取引により約8億フランCFA(1.6億円)が国庫歳入として記録されている」とした上で、「1グラムのウランたりとも、透明性を欠く市場で取引されたことはない」と否定。さらに「ウラン取引は国際原子力エネルギー機関(IAEA)でも厳しく監視」されており、この報道は「野党のでっち上げ」と糾弾した。反論している。野党、市民社会は真相解明を追求する構えだ。
そういえば、フランスで話題になっているエヴァ・ジョリのこちらの本。ちょうど読みたいと思っていたのだが、当地では書店の店頭には並んでいない。ま、本屋がかるだけでも幸いなアビジャンなのだが。
French Uranium
フレンチ・ウラニウム
世界最貧国の一つ、ニジェール。マリ、ナイジェリア、リビアと三方からテロリスクが迫る中、ウランはフランス企業が、石油は中国企業が利権を握る。しばしば雇用と資源ナショナリズムが若年層による激しいデモを引き起こしてきた。
「ウランは誰のもの?」
問いは尽きない。
(おわり)
「そもそもウランは誰のもの?」ニジェールではこんな議論が繰り広げられてきた。2014年5月、ニジェール政府はアレバ社との契約に合意。それまで資源評価価格の5.5%だった採掘税を12%に引き上げた。合意に至るまで、18ヶ月にも及ぶ長い交渉を経てきた。それでも産出国の取り分は多くない。
そんな中、先日、ニジェールでは「ウランゲート」('Uraniumgate')と呼ばれるスキャンダルが報じられた。国民議会ではこの問題が紛糾、野党は追求する構えだ。
この事件、アレバ社とカウンターパートとなってウラン採掘を行う国営企業にまつわるもの。相当額のウランが横流し取引されたのではないか、という疑惑だ。現地の週刊紙「ル・クーリエ」が2月に報じた記事によると、2011年12月11日に、国営企業のニジェール鉱山資源会社(SOPAMIN)が有するパリの口座と、レバノン企業であるオプティマ社が有するドバイの口座との間で、3.19億ドルにのぼる不透明な取引があったとしている。
ル・クーリエ紙によると、このウランゲート事件にはフランス、ロシア、レバノンなど複数の外国企業が関係。証拠となる文書には、現財務大臣でマハマドゥ・イスフ大統領の官房長も務めるアスミ・マスドゥ氏の名前とともに、フランスのアレバ社も名を連ねている、としている。
マスドゥ大臣は、「2011年、SOPAMIN社の合法的取引により約8億フランCFA(1.6億円)が国庫歳入として記録されている」とした上で、「1グラムのウランたりとも、透明性を欠く市場で取引されたことはない」と否定。さらに「ウラン取引は国際原子力エネルギー機関(IAEA)でも厳しく監視」されており、この報道は「野党のでっち上げ」と糾弾した。反論している。野党、市民社会は真相解明を追求する構えだ。
そういえば、フランスで話題になっているエヴァ・ジョリのこちらの本。ちょうど読みたいと思っていたのだが、当地では書店の店頭には並んでいない。ま、本屋がかるだけでも幸いなアビジャンなのだが。
French Uranium
フレンチ・ウラニウム
世界最貧国の一つ、ニジェール。マリ、ナイジェリア、リビアと三方からテロリスクが迫る中、ウランはフランス企業が、石油は中国企業が利権を握る。しばしば雇用と資源ナショナリズムが若年層による激しいデモを引き起こしてきた。
「ウランは誰のもの?」
問いは尽きない。
(おわり)