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モロッコ、コートジボワールとの蜜月〜新興国が結ぶ「西アフリカ枢軸」

2017-03-01 14:30:48 | アフリカ情勢
ここ数年、アフリカで最も目にするスローガン。それは'pays émergeant'、つまり「新興国」。

ちょっと前まで、新興国の代名詞といえばBRICsだった。世界経済の成長鈍化と資源価格の低迷の中で、ここのところ影が薄いが、ここ数年まだまだ世界経済を引っ張ることであろう。

そしてどのアフリカの国も、次は我こそが新興国の仲間入りするぞ、と頑張っている。

西アフリカで「新興国」といえば、韓国、トルコ、そしてモロッコあたりがビジネス界で目につく存在。中でもモロッコの存在感は大きい。もともと国王は概して西アフリカで人気が高い。生産や流通、建設業など、モロッコ系企業のプレゼンスが大きい。そしてモロッコ王室航空は、西アフリカと北アフリカをつなぐハブ的存在でもある。


そんな中、西アフリカ諸国の歴訪を行なっているモロッコのモハメド6世。経済界の大ミッションを伴い、2月24日よりコートジボワールを訪問している。町中が大げさなまでにコートジボワールのトリコロール(三色旗)と、モロッコの赤い国旗であふれている。そしてあちらこちらが、警備と車列のために寸断されている。

その訪問の目的は、国家元首が向き合い、60年を超える旧交を温め、新興国化に向けた「兄弟の契り」を交わすことにある。そう、両国にとって「新興国」は共通のキーワードだ。そして北アフリカ、西アフリカをつなぐ枢軸として、フランス語圏の2カ国がイニシアティブを取っていきたいとする、共通の思惑がある。

両国の取引はここ5年で約3倍の1億800万ユーロにまで急膨した。27日には、両国間でビジネス、ICT、運輸交通、教育、水産・・・そして軍事まで、14の協定に署名がなされた。またココディ・ラギューン整備事業、ヨプゴン救命救急士養成校、水産施設水揚場整備事業などの起工式、引き渡し式などが相次いで実施された。

(InterIvoire.comウェブサイトより)



モロッコはサブサハラアフリカとの関係強化を重要な外交軸に据えている。1月末、80年代から距離を置いてきたアフリカ連合(AU)への復帰を果たした。

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今回のモハメド6世はガーナ、ザンビア、ケニア、ギニア、コートジボワール、マリ。6カ国の予定。マリへの訪問は見合わせとなったものの、その積極的姿勢が見て取れる。

モハメド6世は、ここ数年で23カ国のアフリカを訪問しているのだ。地理的、心理的に近い西アフリカはもちろんそのトッププライオリティ。昨年12月にはナイジェリアからモロッコまでをつなぐ石油、ガスパイプラインプロジェクに同意。また今年2月24日、モロッコ外務省は、現在オブザーバーの地位にある西アフリカ経済共同体(ECOWAS)への加盟要請を、議長国たるリベリアのエレン・ジョンソン・サーリフ大統領あてに書簡で申し入れたことを発表した。


そしてモロッコの対サブサハラアフリカ外交において、コートジボワールは別格。これで2011年以降、4回目の訪問になる。今回の訪問も、当初5日間とみられていたが、3月3日までの8日間にまでに延長となった。国家元首としては異例の長期滞在だ。


サブサハラアフリカ、そして西アフリカに急接近するモロッコ。気前の良さと資本力に魅了される西アフリカ諸国。新興国をキーワードに結ばれる蜜月は当面ゆるぎそうにない。

(おわり)

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