先般の記事で、米軍が主導するアフリカの対テロ統合作戦演習「フリントストック」が進行中、とお伝えした。
米軍、アフリカにおけるテロとの戦い(1)~多国籍統合訓練「フリントストック」発動中!
この演習、予定されていたとおりに進行し、2月末をもって幕を閉じた。
フリントストックを主導した「米軍」とは、より詳細にいえば通称’AFRICOM’。アフリカに携わる人は、どこかでこの名前を聞いているのではなかろうか。ということで、きょうのテーマは’AFRICOM’について。米国防総省のホームページやアフリカ系メディアで報じられている情報を参照してまとめてみた。
’AFRICOM’とは、米国アフリカ方面統合司令部(United States Africa Command)のこと。米軍の持つ6個方面統合司令部の一つで、設置、指揮運用開始が2007年1月、独立の司令部となったのが2008年1月である。本部は意外にもドイツのシュツットガルトにある。
米国防総省におけるアフリカ諸国、アフリカ連合(AU)、アフリカの地域治安機関との連絡調整機能を所管。その任務は「関連行政機関や国際社会のパートナーと協力してアフリカ地域の防衛能力の強化を図るとともに危機に対処し、横断的脅威を撃破することで、もって米国の国益と地域の平和、安定、繁栄を増進すること」と定義されている。
統合司令部としてフルスケールの機能を持ち、アフリカ大陸及び島嶼部、周辺海域における米軍の全ての作戦、訓練、防衛協力を司る権能と機能を有している。
統合司令官(将官)以下、米軍制服組と連邦州政府の文官を含む約2,000名の人員が配置され、うち1,500名がシュツットガルトの指令本部に、残りの500名は本国フロリダ州のマックダイル空軍基地と、英国モールズワースの英国王室空軍基地に分屯する。
アフリカにおける統合指揮は、防衛協力局と、38カ国に派遣される駐在武官を通して行われる。また連絡調整士官がアフリカ連合、西アフリカ経済共同体(ECOWAS)、ガーナのコフィ・アナン国際平和維持・訓練センターに置かれている。
また対外関係を所管する4人の高級士官が置かれ、10の省庁からアサインされた約30名のスタッフがこの事務にあたっている。この中に、米国国土安全保障省に加え、米国国際開発庁(USAID)が含まれていること、また先任上級幹部として、軍民関係調整官が置かれていることは注目される。
AFRICOMの隷下組織として、下記6つの部隊等がある。
陸軍アフリカ部隊(USARAF)
作戦本部: イタリア・ヴィセンザ
海軍アフリカ部隊
作戦本部: イタリア・ナパレ(NAVAF)
空軍アフリカ部隊 (AFAFRICA)
作戦本部: ドイツ・ラムステイン
7つの主要ベースに分屯、ヨーロッパ部隊と同一のプラットフォームを組んでいる。
海兵隊アフリカ部隊(MARFORAF)
作戦本部: ドイツ・シュツットガルト
アフリカの角統合タスクフォース
(CJTF-HOA)
本部: ジプチ
米軍アフリカ特殊作戦司令部
(SOCAFRICA)
本部: シュツットガルト
昨年11月、ダカールで開催されたアフリカ平和治安フォーラムでは、シュツットガルトからやってきた米軍士官と多くお目にかかった。アフリカの対テロ作戦、治安コンテクストでますます存在感を増している米軍、AFRICOM。サヘル作戦正面で前面に立つフランスにとっては、数少ない共闘のできる連合国。しかしその隙間にじわじわと経験、影響力を伸ばしつつあるアメリカ。アフリカの地政学、パワーポリティクスも日々変化している。
(つづく)
米軍、アフリカにおけるテロとの戦い(1)~多国籍統合訓練「フリントストック」発動中!
この演習、予定されていたとおりに進行し、2月末をもって幕を閉じた。
フリントストックを主導した「米軍」とは、より詳細にいえば通称’AFRICOM’。アフリカに携わる人は、どこかでこの名前を聞いているのではなかろうか。ということで、きょうのテーマは’AFRICOM’について。米国防総省のホームページやアフリカ系メディアで報じられている情報を参照してまとめてみた。
’AFRICOM’とは、米国アフリカ方面統合司令部(United States Africa Command)のこと。米軍の持つ6個方面統合司令部の一つで、設置、指揮運用開始が2007年1月、独立の司令部となったのが2008年1月である。本部は意外にもドイツのシュツットガルトにある。
米国防総省におけるアフリカ諸国、アフリカ連合(AU)、アフリカの地域治安機関との連絡調整機能を所管。その任務は「関連行政機関や国際社会のパートナーと協力してアフリカ地域の防衛能力の強化を図るとともに危機に対処し、横断的脅威を撃破することで、もって米国の国益と地域の平和、安定、繁栄を増進すること」と定義されている。
統合司令部としてフルスケールの機能を持ち、アフリカ大陸及び島嶼部、周辺海域における米軍の全ての作戦、訓練、防衛協力を司る権能と機能を有している。
統合司令官(将官)以下、米軍制服組と連邦州政府の文官を含む約2,000名の人員が配置され、うち1,500名がシュツットガルトの指令本部に、残りの500名は本国フロリダ州のマックダイル空軍基地と、英国モールズワースの英国王室空軍基地に分屯する。
アフリカにおける統合指揮は、防衛協力局と、38カ国に派遣される駐在武官を通して行われる。また連絡調整士官がアフリカ連合、西アフリカ経済共同体(ECOWAS)、ガーナのコフィ・アナン国際平和維持・訓練センターに置かれている。
また対外関係を所管する4人の高級士官が置かれ、10の省庁からアサインされた約30名のスタッフがこの事務にあたっている。この中に、米国国土安全保障省に加え、米国国際開発庁(USAID)が含まれていること、また先任上級幹部として、軍民関係調整官が置かれていることは注目される。
AFRICOMの隷下組織として、下記6つの部隊等がある。
陸軍アフリカ部隊(USARAF)
作戦本部: イタリア・ヴィセンザ
海軍アフリカ部隊
作戦本部: イタリア・ナパレ(NAVAF)
空軍アフリカ部隊 (AFAFRICA)
作戦本部: ドイツ・ラムステイン
7つの主要ベースに分屯、ヨーロッパ部隊と同一のプラットフォームを組んでいる。
海兵隊アフリカ部隊(MARFORAF)
作戦本部: ドイツ・シュツットガルト
アフリカの角統合タスクフォース
(CJTF-HOA)
本部: ジプチ
米軍アフリカ特殊作戦司令部
(SOCAFRICA)
本部: シュツットガルト
昨年11月、ダカールで開催されたアフリカ平和治安フォーラムでは、シュツットガルトからやってきた米軍士官と多くお目にかかった。アフリカの対テロ作戦、治安コンテクストでますます存在感を増している米軍、AFRICOM。サヘル作戦正面で前面に立つフランスにとっては、数少ない共闘のできる連合国。しかしその隙間にじわじわと経験、影響力を伸ばしつつあるアメリカ。アフリカの地政学、パワーポリティクスも日々変化している。
(つづく)