ひどい言われ方をすることもあるが、西アフリカは概ね治安がいい地域である。銃器の氾濫はないし、人々はのんびり暮らしている。少なくともナイロビやヨハネスブルグよりはずっとリスクは少ないし、パリやニューヨークの方が怖いくらいだ。
他方、2000年代後半以降、サハラ砂漠南縁部を中心にイスラム武装勢力が伸長。マリの北部やナイジェリア北東部など、治安情勢が致命的に悪化してしまった地域も一部ある。それも事実だ。
しかしそれ以外、広く西アフリカは、基本的には治安のよい地域でであるとの基本認識は変わっていないと思う。
そうはいってもリスクはつきもの。いくつか治安上配慮しておかなければならない事項もある。最近の課題はジハーディストによるテロリスクだ。
(ブルキナファソ・スプレンディドホテル襲撃事件、Jeune Afriqueウェブサイトより)
アフリカに限らず、現代社会において、もはやリスクのないゾーンなど存在しない。以前、このブログでも書いたが、世界中どこでもテロ襲撃事件が起こりうる。パリやブリュッセル、ニューヨークはもちろん、東京もその例外ではない。
しかしこのテロリスクを見積もり、予防策を完全に講じることは難しい。実行犯になって考えればわかる。防備をいくら強化しても、手薄いところから攻めればいいのだ。 穴なく警備線を張ることなどできない。
逆に警備の手薄いところは死角ということになる。そう、テロは常に奇襲によって惹き起こされ、意表をついてくるのだ。だから完全に防ぐことは物理的に不可能なのだ。私たちは、低い可能性だけれども、起こりえるかもしれない、そしてひとたび起きたら大変な事態に至る、というテロのリスクと、うまく付き合って暮らしていかなければならない宿命を負っている。そのための最大回避行動をとらなければならない。
西アフリカでは、外国人が巻き込まれるようなテロが、これまで数ヶ月に一回のペースで引き起こされてきた。そして頻度は若干高まり、昨年11月からは、ほぼ隔月に一度のペースで生じている。
2015年3月 マリ バマコ レストランバー襲撃
2015年8月 マリ セバレ ホテル襲撃
2015年11月 マリ バマコ 高級ホテル襲撃
2016年1月 ブルキナファソ ワガドゥグ ホテル襲撃
2016年3月 コートジボワール グランバッサン ビーチ襲撃
そこでよくアフリカ人や外国人関係者と話題に上るのが、「次のXデーはいつか?」「場所はどこか」との話。
先日トーゴの首都、ロメを訪問中、ラジオからあるニュースが流れていた。ガーナ治安当局が「ジハーディストの次なるターゲットはガーナかトーゴ」とする機密情報を有している、というものだった。
いつもは楽天的なアフリカ人、「ノン、ノン!テロなんてありえないよ。」となるのが常なのだが、このときはないのばかりは急に緊張した反応が。「独立記念式典が近い。」「独立記念日には空港の新ターミナル落成式典がある。」「高級ラジソン・ホテルがオープンだ!」「ええ?こわい、、、。」
ムリもない。近隣のコートジボワールのグランバッサンでテロが起きて1ヶ月、そしてロメはほとんどガーナ領、という位置にある。ガーナ当局から漏れたというニュースにはリアリティが感じられたのだろう。
イスラム武装勢力の「マグレブ諸国のアルカイダ」(AQMI)や「アル・ムラビトゥーン」は、意表を付く形で襲撃を繰り返している。いつどこで事件が起きるかを予告することは難しいが、これまでの傾向から鑑みれば、2ヶ月に一回。前回のグランバッサンから2ヶ月後とすれば5月だ。犯行は金曜日が多い。すると偶然にも5月13日が金曜日。不気味である。そんなストレートにやってくるとは考えにくいが、さし当りはこの日を軸に、前後を警戒しておく必要がありそうだ。するともう今日から?!
地理的には、これまでテロに遭遇してきた国はもとより、以前よりプロファイルが高いと言われてきたセネガル(ダカールや保養地サリーなど)、マリの武装勢力との関係で緊張があるモーリタニア(ヌアクショット)、マリ問題の調停に尽力したベナン(コトヌ)、沿岸のトーゴ(ロメ)、そして英語圏のガーナ(アクラ)なども可能性が否定できない。
前述の通り、テロは意表をついてくるので、警戒を強めているときと場所では起きないのかもしれない。しかしわれわれは自己防衛のためにも、できる限り慎重な警戒をしておく必要があるのだろう。
(参考情報)
コートジボワール、グランバッサン襲撃テロを振り返る
あ、テロだ!~遭遇したらどうすればいい?
外務省海外安全ホームページ「テロに巻き込まれないための基本予防策と対処法」
(おしまい)
他方、2000年代後半以降、サハラ砂漠南縁部を中心にイスラム武装勢力が伸長。マリの北部やナイジェリア北東部など、治安情勢が致命的に悪化してしまった地域も一部ある。それも事実だ。
しかしそれ以外、広く西アフリカは、基本的には治安のよい地域でであるとの基本認識は変わっていないと思う。
そうはいってもリスクはつきもの。いくつか治安上配慮しておかなければならない事項もある。最近の課題はジハーディストによるテロリスクだ。
(ブルキナファソ・スプレンディドホテル襲撃事件、Jeune Afriqueウェブサイトより)
アフリカに限らず、現代社会において、もはやリスクのないゾーンなど存在しない。以前、このブログでも書いたが、世界中どこでもテロ襲撃事件が起こりうる。パリやブリュッセル、ニューヨークはもちろん、東京もその例外ではない。
しかしこのテロリスクを見積もり、予防策を完全に講じることは難しい。実行犯になって考えればわかる。防備をいくら強化しても、手薄いところから攻めればいいのだ。 穴なく警備線を張ることなどできない。
逆に警備の手薄いところは死角ということになる。そう、テロは常に奇襲によって惹き起こされ、意表をついてくるのだ。だから完全に防ぐことは物理的に不可能なのだ。私たちは、低い可能性だけれども、起こりえるかもしれない、そしてひとたび起きたら大変な事態に至る、というテロのリスクと、うまく付き合って暮らしていかなければならない宿命を負っている。そのための最大回避行動をとらなければならない。
西アフリカでは、外国人が巻き込まれるようなテロが、これまで数ヶ月に一回のペースで引き起こされてきた。そして頻度は若干高まり、昨年11月からは、ほぼ隔月に一度のペースで生じている。
2015年3月 マリ バマコ レストランバー襲撃
2015年8月 マリ セバレ ホテル襲撃
2015年11月 マリ バマコ 高級ホテル襲撃
2016年1月 ブルキナファソ ワガドゥグ ホテル襲撃
2016年3月 コートジボワール グランバッサン ビーチ襲撃
そこでよくアフリカ人や外国人関係者と話題に上るのが、「次のXデーはいつか?」「場所はどこか」との話。
先日トーゴの首都、ロメを訪問中、ラジオからあるニュースが流れていた。ガーナ治安当局が「ジハーディストの次なるターゲットはガーナかトーゴ」とする機密情報を有している、というものだった。
いつもは楽天的なアフリカ人、「ノン、ノン!テロなんてありえないよ。」となるのが常なのだが、このときはないのばかりは急に緊張した反応が。「独立記念式典が近い。」「独立記念日には空港の新ターミナル落成式典がある。」「高級ラジソン・ホテルがオープンだ!」「ええ?こわい、、、。」
ムリもない。近隣のコートジボワールのグランバッサンでテロが起きて1ヶ月、そしてロメはほとんどガーナ領、という位置にある。ガーナ当局から漏れたというニュースにはリアリティが感じられたのだろう。
イスラム武装勢力の「マグレブ諸国のアルカイダ」(AQMI)や「アル・ムラビトゥーン」は、意表を付く形で襲撃を繰り返している。いつどこで事件が起きるかを予告することは難しいが、これまでの傾向から鑑みれば、2ヶ月に一回。前回のグランバッサンから2ヶ月後とすれば5月だ。犯行は金曜日が多い。すると偶然にも5月13日が金曜日。不気味である。そんなストレートにやってくるとは考えにくいが、さし当りはこの日を軸に、前後を警戒しておく必要がありそうだ。するともう今日から?!
地理的には、これまでテロに遭遇してきた国はもとより、以前よりプロファイルが高いと言われてきたセネガル(ダカールや保養地サリーなど)、マリの武装勢力との関係で緊張があるモーリタニア(ヌアクショット)、マリ問題の調停に尽力したベナン(コトヌ)、沿岸のトーゴ(ロメ)、そして英語圏のガーナ(アクラ)なども可能性が否定できない。
前述の通り、テロは意表をついてくるので、警戒を強めているときと場所では起きないのかもしれない。しかしわれわれは自己防衛のためにも、できる限り慎重な警戒をしておく必要があるのだろう。
(参考情報)
コートジボワール、グランバッサン襲撃テロを振り返る
あ、テロだ!~遭遇したらどうすればいい?
外務省海外安全ホームページ「テロに巻き込まれないための基本予防策と対処法」
(おしまい)