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祝・ブルキナファソ建国記念日2018〜「高潔な人々」の未来は過去の清算の上に

2018-12-11 08:00:00 | アフリカ情勢
きょう12月11日、ブルキナファソは建国記念日を迎える。親愛なるブルキナファソ人諸氏に心からお祝い申し上げたい。

(首都ワガドゥク、大統領府のあるワガ2000地区)


西アフリカの小さな内陸国。現地語で、ブルキナ(モシ語で「高潔なひとびと」「統合された人びと」)のファソ(ジュラ語で「国」)。なのでブルキナファソ国とか、ブルキナファソ共和国とか言わない。それでは「頭痛が痛い」になってしまう。

ジャガイモのような形をした国土は、日本の半分の面積。ここに約2,000万人の人々が暮らす。

この国、独立した当初は国名を「オートボルタ共和国(République de Haute-Volta)」といった。シニア世代の方はなつかしの地理の時間、こちらの名前でご記憶かもしれない。ボルタ川の上流、あるいは上ボルタ地方、という意味である。

正式な独立記念日は1960年の8月5日。しかしブルキナファソの建国記念日は12月11日となっている。これは前身のオートボルタ共和国が成立した日。この国を含む西アフリカのほとんどの植民地は、フランスから独立する2年前、1958年にいったん「フランス・アフリカ共同体」(Communauté française)に移管されている。この中でオートボルタは共同体下での共和国としての地位を受けているが、ナショナルデーにはこの日を採用しているわけだ。そういう意味では今回、60回目の建国記念日を迎えることになる。

アフリカの独立記念日~いろいろな事情


ブルキナファソは地図で広げてみると、西アフリカのど真ん中に位置する。首都ワガドゥグは地域を南北、東西に結ぶまさに「ヘソ」。国土の南部はサバンナ、北に向かうにつれ乾燥帯が広がり、そしてそのままサハラ砂漠に溶け込んで行く。ムスリムとクリスチャンも約半分。気候、文化のグラデーションの中に生きる国だ。

人々はほがらかで優しい。なんといってもまじめで、約束や時間を守る。アフリカで10時に約束だと言ったら、コートジボワールなら10時15分、セネガルなら10時半。コンゴなら11時、いや始まればいい方だ。しかしブルキナファソは10時といったら10時。なんていわれる。

町にはバイクが溢れるが、駐輪場でははビシッと、綺麗に並べ切る。小銭をとって並べる、並べ屋さんがいる。日本の駅前の駐輪場が恥ずかしい。

(写真・ビシッと並んだバイク)


そんなことで、一部関係者では真面目で几帳面な性格を「アフリカの日本人」と称している。たしかに。一緒に仕事をしてみると、クソ真面目で、フレキシビリティがない、まるで日本人だ、なんて言い方をすることも。ゆえにやりにくい。なんにせよ、どこか日本人とわかち合う性格があるようだ。


この国、内陸に位置し、一見地味であるが、西アフリカでは大切な2大イベントを、それぞれ2年に一度、交互にホストする。一つはアフリカ国際工芸見本市(SIAO)、直近では先の10月に開催。もう一つはアフリカ国際映画祭(FESPACO)、まもなく年明けの2月に開催される。


そんな高潔な人々の国、いま大きな正念場を迎えている。1987年10月から2014年10月まで、27年あまり続いたブレーズ・コンパオレ大統領による超長期政権が、「国民革命」により崩壊。そこに民主化への期待を裏切り、軍部が政権を奪取。波乱に富んだ民政移管プロセスの中、2015年9月にはクーデター未遂事件も発生。同年10月の選挙で、現職マルク・クリスチャン・カボレ大統領が就任して、ちょうど任期後半に差し掛かったところである。

政権の課題を3つまとめるとすれば、第一に「国民和解と再統合」が挙げられる。1987年10月、カリスマ的な指導者と評されたトマ・サンカラ大統領が暗殺され、軍籍にあったコンパオレが機に乗じて政権を奪取した。いわゆる「暗黒の木曜日事件(Jeudi noir)」である。以降、コンパオレは周囲を側近で固め、サンカラ派を排除、弾圧した。また超長期政権は軍の指揮と規律を乱し、派閥が対立。軍内に大きな問題を残した。カボレ政権移行後、軍改革が極めて重要であるが、2015年の政変未遂はコンパオレ派の揺れ戻しでもあった。今日、現政権、サンカラ派、コンパオレ派の和解、統合が喫緊の課題だ。

第二に、国民和解の基礎となる正義と真実の追究だ。1987年のトマ・サンカラ大統領殺害は、未だに真相が明らかにされていない。国連高等人権弁務官事務所をはじめ、内外の市民社会組織、人権団体が真実追求に動いたが、前政権はことごとく事件を闇に葬り去ろうとした。カボレ政権はこの事件解明に動き出した。他方、ブルキナファソで真実の追求といえば、1998年に発生したノルベール・ゾンゴ殺害事件だ。 'L'Indépendant'紙を主宰したジャーナリストが3人の同行者とともに殺害された事件で、真相解明が強く求められている。コンパオレ大統領の弟にあたるフランソワ・コンパオレが事件に関与したとされ、この12月、ブルキナファソからの逮捕状に基づきフランス捜査当局は同氏の身柄をブルキナファソに送還することに同意を示した。このほか、2015年のクーデター未遂事件の公判も進む。カボレ政権成否の鍵の一つは司法がカギを握る。

第三に、治安の問題だ。ブルキナファソでは、ちょうど民政移管プロセスを迎えた2015年頃から、北部でイスラム武装勢力のテロ、侵入が大きくなっていく。力の真空に常時られた格好とも取れる。その後2018年に入り、勢力は東部に拡大。ジハード勢力のブルキナファソ人への内製化の問題も指摘される。詳しくは下記記事をご参照いただきたいが、上記のとおり、軍の指揮、統率の問題を抱える中、治安問題が極めて喫緊の課題となっている。

ブルキナファソで何が起きているか?(2)〜サヘル・テロ勢力の新たな潮流


課題山積のブルキナファソ。しかし魔法の言葉は'ça va aller!'(サヴァアレ=「うまくいくさ」の意味)。高潔な人々の国、困難の先にはきっと明るい将来が待っている。

(おわり)


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