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まるごと選挙速報~ベナン、ニジェール、コンゴ共和国+セネガル

2016-03-25 07:30:18 | アフリカ情勢
きょうは3月20日に行われた3つの大統領選挙と一つの国民投票、その結果の趨勢が判明した。当地24日朝の段階の情報をもとに、まとめて速報を。

(選挙の背景などはこちらから↓)
【号外】三つの大統領選挙・プラス1~ベナン、ニジェール、コンゴ共和国+セネガル

まずはベナン。すでにツイッター、フェースブックでは記事をアップしたが、パトリスタロン候補が65,39 %の得票で当選となった。対する現職首相のリオネル・ザンス首相発言候補は34,61 %にとどまり、後塵を拝した。投票率は65,57 %だった。

熱い前哨戦から、選挙結果発表後の顛末が危惧されたが、敗者となったザンス候補は21日、暫定結果の発表を待たずして敗北を認め、タロン候補に祝意を伝えたという。民主化以降、ベナンのよき伝統となった平和な政権交代と権限委譲。民主主義のお手本としてその対面を保った。他方、タロン候補は民間セクターが主導する経済改革を提唱しており、今後の新しい政権運営が注目される。大統領就任式は4月6日に予定されている。


次にニジェール。野党アマ・アマドゥ候補が国外緊急移送により不在となる中行われた異例の選挙。22日、国家独立選挙管理委員会が発表した結果は、92,49%の圧倒的得票で現職大統領、マハマドゥ・イスフ候補が再選の趨勢だ。対抗のアマドゥ候補は予備投票で敗退した野党の支援を受けたがわずか7.51%の投票にとどまった。

といってもこれは予期された結果。野党は今回の投票に対するボイコットを呼びかけていたからだ。

そこで問題になるのが投票率。国家独立選挙管理委員会は59,79%と発表しているが、野党側が声明ではわずか10% (最終盤の報告書では11,05%)だと主張している。「どの投票所も閑散としていたし、いくつかの投票所は開かれておらず、投票用紙さえなかった。」

EUは21日の談話として数値には触れていないものの「低い投票率」であったと言及、与野党間での建設的、包摂的な対話を呼びかけた。選挙プロセスの支援にあたってきた仏語圏諸国機構(Organisation internationale de la francophonie : OIF)は、カファンド報道担当代表が「(事態の好転に関し)楽観している。野党側との対話進行に期待したい」とのべ、これを支援する用意があることを表明した。

このような状況下、23日、当選を果たしたイスフ候補は「国民連合政府」を提唱、野党への参加を呼びかけた。これに対する野党の反応はまだ報じられていないが、果たして決選投票そのものの有効性を認めていない野党がこの話に乗ってくるのか、対応が注目される。実はイスフ大統領は、1期目当選ののちにも「国民連合政権」を樹立させており、「野党懐柔の常套手段」との声も聞かれる。

そして24日の国民議会の通常セッションは、野党の出席がないまま開催された。このあとどのような展開になっていくのだろうか。


三つ目は、コンゴ共和国大統領選挙、第一回目の投票。24日早朝、内務大臣は公式選挙結果を発表。現職大統領のドニ・サス・ンゲソ候補が60,39%を得票。ギ・ブリース・パルフェ・コレラ候補(15.05%)、軍出身の将官ジャン・マリ・ミッシェル・モココ候補(13.89%)など、野党候補を引き離し、サス・ンゲソ大統領の再選となった。こちらもサプライズなしの予期された結果に終わった。

これに先立ち、独立選挙監視委員会は現職大統領の得票が67%であったとする暫定結果を発表しているが、23日、野党の2候補はこの結果発表に対して抗議の意を表明している。

72歳、32年間の長期政権。再選を可能とするための前年の憲法改正。そして投票日における通信遮断など、さまざまな議論を呼ぶ選挙プロセス。今後は国内外で政権のレジティマシー(正統性)が問われそうだ。


最後にセネガル。大統領任期を7年から5年に短縮するための憲法改正をめぐる国民投票。ディアロ内務大臣は独立選挙監視委員会による開票結果を発表し、賛成票が62,9 %と過半数であったことを発表。フランス国際ラジオ放送は「賭けはマッキー・サル代表に吉と出た(Pari gagné pour Macky Sall.)」と報じている。

ただし気になるのは1/3に近い反対票の存在。そして40,42 %と低調に終わった投票率だ。大統領選挙の前哨戦とも言える今回の国民投票で、想定以上の'non'を目にしたサル大統領は、暫定結果に目を通すと、渋い表情を示したと報じられている。というのも2001年、アブドゥライ・ワッド大統領下で行われた同様の憲法改正国民投票では、65,7%の投票率、94%の賛成票を集めた前例があるからだ。今回、数字を計算すると、賛成票は全有権者の25%に過ぎない。なるほど、楽観している場合ではない。

もう一つ象徴的な事実は、国民に大きな影響力を持つ宗教的権威、ムーリッドが根拠を置くンバケ県、ジュルベル州界隈では、反対が多数となったことだ。

政策公約を果たしたサル大統領。「中間選挙」の結果は辛くも及第点。しかしたくさんの補習課題が残った形となった。

(アフリカにルネサンスは来るのか?セネガル・ダカールのアフリカ・ルネサンス像)


(おわり)

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