きょうは中央アフリカ共和国の独立記念日である。中央アフリカ共和国関係者の知人にお祝いを申し上げたい。
(RFIウェブサイトより)
中部アフリカの奥にあって、国際舞台でも陽の当たらない地域。そして闇の奥でクーデター、独裁、紛争が繰り広げられてきた。
この国については、去年の独立記念日にまとめて経緯をまとめてみた。
祝・中央アフリカ共和国独立記念日2015
第一話 薄幸の独立55年史
第二話 危機の進行
第三話 華麗な蝶は闇から放たれるか?
ちょうどJeune Afruqueウェブサイトでもアーカイブに興味深いドキュメンタリーがアップされている。
ボカサ皇帝とダイヤモンド(Jeune Afrique)
2012年から三たび迎えた危機。周辺国や国連の介入を受け、2015年7月になんとか和平合意にこぎ着けた。そしてようやく今年のバレンタインデー、2月14日に大統領選挙、決戦投票が行われ、フォスタン・アルシャンジュ・トゥアデラ大統領が選出され、治安・秩序の回復と復興に向けて進もうとしている。ここまでの経緯は今年3月の週刊金曜日で寄稿させていただいた。
『週刊金曜日』に寄稿しました~中央アフリカ、秩序回復への期待が高まる大統領選挙
その後の中央アフリカ、見通しはあまり明るくない。
最大の不安は不安は武装解除だ。2012年からの危機再来は、2007年の武装解除がきちんと履行されず、軍閥と兵員、武器が残っていたことが大きく影響したとされる。
2015年5月の記事だが、ンボテ知人の地域専門家、ティエリー・ビルクロン氏によるエディション。
ティエリー・ビルクロン「中央アフリカ・DDR失敗をめぐる長い歴史」
トゥアデラ政権は兵員の武装・動員解除と社会復帰を急ぎたい。実際、武装勢力による動きが散発を始めている。なし崩し的に戦闘状態に復帰しないか、危惧される。
しかし武装解除には金がいる。先立つファイナンスがない。7月末、赤道ギニアの首都マラボで開催された中部アフリカ通貨同盟(CEMAC)首脳会議では40億フランCFA(約8億円)の支援が表明された。これまでにプレッジされた90億ドルの「借款」と合わせれば130億フランCFA(約26億円)。中部アフリカの国だって、石油価格の下落で国庫は厳しい。
そんな中、2012年末に国外亡命した当時のフランソワ・ボジゼ大統領の子息で、国防大臣あったジャン・フランシス・ボジゼが逮捕された。2014年に中央アフリカ司法当局により不当逮捕、監禁、拷問、暗殺など複数の容疑で逮捕状が発給されていた。8月3日のバンギ期間の直後、国際指名手配を根拠に国連中央アフリカミッション(MINUSCA)が逮捕、司法当局に引き渡された。弁護側は違法逮捕であり、またMINUSMAには中央アフリカ人を逮捕するマンデーとは与えられていないと訴えた。その後、当局監視下との条件で一時釈放された。
危機下において、サンバ・パンザ暫定大統領は悪事に対する不処罰を許さない、との方針を示したが、勝者が敗者を裁く泥仕合いにならないことを願いたい。
この国が紛争に舞い戻らないために、あまりに多くの課題が山積する。ここへきて首都近くではコレラ蔓延の危機が報じられる。だが残念ながら国際社会も高い関心を示していない。
56回目の独立記念日は決して明るい話題ばかりではないが、市民の生活は徐々に正常を取り戻しつつあり、街の表情にも笑顔が見られるという。暗い見通しばかりではない。闇の中で進行する国家再建の努力に是非ご注目を。
(おわり)
(RFIウェブサイトより)
中部アフリカの奥にあって、国際舞台でも陽の当たらない地域。そして闇の奥でクーデター、独裁、紛争が繰り広げられてきた。
この国については、去年の独立記念日にまとめて経緯をまとめてみた。
祝・中央アフリカ共和国独立記念日2015
第一話 薄幸の独立55年史
第二話 危機の進行
第三話 華麗な蝶は闇から放たれるか?
ちょうどJeune Afruqueウェブサイトでもアーカイブに興味深いドキュメンタリーがアップされている。
ボカサ皇帝とダイヤモンド(Jeune Afrique)
2012年から三たび迎えた危機。周辺国や国連の介入を受け、2015年7月になんとか和平合意にこぎ着けた。そしてようやく今年のバレンタインデー、2月14日に大統領選挙、決戦投票が行われ、フォスタン・アルシャンジュ・トゥアデラ大統領が選出され、治安・秩序の回復と復興に向けて進もうとしている。ここまでの経緯は今年3月の週刊金曜日で寄稿させていただいた。
『週刊金曜日』に寄稿しました~中央アフリカ、秩序回復への期待が高まる大統領選挙
その後の中央アフリカ、見通しはあまり明るくない。
最大の不安は不安は武装解除だ。2012年からの危機再来は、2007年の武装解除がきちんと履行されず、軍閥と兵員、武器が残っていたことが大きく影響したとされる。
2015年5月の記事だが、ンボテ知人の地域専門家、ティエリー・ビルクロン氏によるエディション。
ティエリー・ビルクロン「中央アフリカ・DDR失敗をめぐる長い歴史」
トゥアデラ政権は兵員の武装・動員解除と社会復帰を急ぎたい。実際、武装勢力による動きが散発を始めている。なし崩し的に戦闘状態に復帰しないか、危惧される。
しかし武装解除には金がいる。先立つファイナンスがない。7月末、赤道ギニアの首都マラボで開催された中部アフリカ通貨同盟(CEMAC)首脳会議では40億フランCFA(約8億円)の支援が表明された。これまでにプレッジされた90億ドルの「借款」と合わせれば130億フランCFA(約26億円)。中部アフリカの国だって、石油価格の下落で国庫は厳しい。
そんな中、2012年末に国外亡命した当時のフランソワ・ボジゼ大統領の子息で、国防大臣あったジャン・フランシス・ボジゼが逮捕された。2014年に中央アフリカ司法当局により不当逮捕、監禁、拷問、暗殺など複数の容疑で逮捕状が発給されていた。8月3日のバンギ期間の直後、国際指名手配を根拠に国連中央アフリカミッション(MINUSCA)が逮捕、司法当局に引き渡された。弁護側は違法逮捕であり、またMINUSMAには中央アフリカ人を逮捕するマンデーとは与えられていないと訴えた。その後、当局監視下との条件で一時釈放された。
危機下において、サンバ・パンザ暫定大統領は悪事に対する不処罰を許さない、との方針を示したが、勝者が敗者を裁く泥仕合いにならないことを願いたい。
この国が紛争に舞い戻らないために、あまりに多くの課題が山積する。ここへきて首都近くではコレラ蔓延の危機が報じられる。だが残念ながら国際社会も高い関心を示していない。
56回目の独立記念日は決して明るい話題ばかりではないが、市民の生活は徐々に正常を取り戻しつつあり、街の表情にも笑顔が見られるという。暗い見通しばかりではない。闇の中で進行する国家再建の努力に是非ご注目を。
(おわり)