
(琉球新報2019年9月3日)
しまくとぅばに違和感を持ったままである。つまりしまくとぅば芝居はなかったので、でも琉球諸語推進のために80代の沖縄芝居役者が講演者として招聘される現況を見ていると、片腹痛い思いがしている。うちなー芝居の芝居役者を「芝居シー」と軽侮してきた沖縄ゆえである。
ハワイやハワイ大学のハワイ語の復興やプログラムについての講演会の広報記事があったので、久しぶりにブログに転載します。
講演者の講話に関心があるのですが、ハワイ大学では「しまくとぅば」の講義ではなく「うちなーぐち」の講義なんですね。おそらく首里・那覇言葉中心でしょうか。ハワイ語にはハワイ諸語があったでしょうか?中央ハワイ語が継承されているのかもしれませんね。ネットでみる限り単にハワイ語とあり、話者は1000人ほどで消滅寸前の危機言語になっています。
そのハワイでうちなーぐち講義がなされているのは、沖縄からのハワイ移民が多いという歴史的経緯でしょうか。多様な国々からのやってきた移民はハワイに根付き、ハワイの土着の人々より裕福になっているのですね。皮肉です。(一方マルチレイシャルなハワイでは、いろいろな形で収奪される人々の存在が指摘されています。)
さて芸大とハワイ大学提携のこのプロジェクト、興味深いのですがー、報告の中で仲原穣さんの「沖縄県内の大学における「琉球語」科目の現状」のタイトルが目を引きました。しまくとぅばでも沖縄方言でも琉球諸語や沖縄語(うちなーぐち)でもなく琉球語の登場です。伊波普悠の時代は「琉球語」が跋扈しているのですが、戦後は沖縄方言になったようでした。昨今はどこでも「しまくとぅば」の復興云々で運動が進んでいるようで、実は話者の数は減少との報告もあります。
言語とアイデンティティが曖昧ゆえの問題があるのだと、以前から指摘しているのだが、幾分の変化がでているのだろうか。
ハワイ大学ではアイデンティティがあいまいな「しまくとぅば」の講義はありえないのですね。「うちなーぐち」講義であるということはなぜかです。
沖縄芸術大学の「しまくとぅば」復興プロジェクトはしまくとぅば=琉球諸語(沖縄諸語)をどのように実践しているのだろうか?琉歌はほとんどが首里那覇言葉でしょうか?八重山の民謡や八重山舞踊は八重山言葉が主体と思えるのですが、その言語で指導しているのだろうか?宮古の民俗芸能は宮古言葉で講義しているのだろうか?興味しんしんです。
以下ウィキピディアからの転載です。(念のため、ウィキは自由に転載可能です。たまに献金します!)
ハワイ語の現状https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%83%AF%E3%82%A4%E8%AA%9E
消滅の危機
現在ハワイ語は消滅危機言語である。ハワイ諸島のほとんどの地域ではハワイ語は英語にとってかわられており、日常会話にはもはや使われてはいない。例外的に、ニイハウ島ではいまだ日常会話にもハワイ語を使っているが、それはニイハウ島が個人的に所有されている島であり、外部からの訪問を厳しく制限しているためである。
さまざまな理由により、ハワイ語を話す者の数は1900年ごろの約3万7千人から現在は約1千人にまで減少した。現在生存するハワイ語を母語とする話者の半分は70歳から80歳である。
ハワイ語復興運動
伝統あるハワイ語を復興しようとするハワイ先住民の努力は、「ハワイ文化復興運動」でここ十数年のうちに増加してきている。ハワイ語を次の世代に残そうとする家族の子供たちのために、現在ハワイ語による没入法(イマージョン教育)を行う「カメハメハ・スクール」が開校されている。また、ナショナル・パブリック・ラジオのハワイ公共ラジオ(Hawaii Public Radio)は「きょうのハワイ語」(Hawaiian word of the day)という番組を毎日放送している。
先住民系のハワイ人は第二言語としてハワイ語の学習を行っているが、モデルとする母語話者がおらず、ハワイ語のつづりも英語の音価に基づいて表記され英語の語順が用いられている。また、19世紀初期まで話されていた純粋なハワイ語を復活させようという人々と、英語や混成語との100年以上にわたる接触によって形作られたハワイ語で育った人々との緊張関係も見られる。
また現在、ハワイ語はハワイ州の公用語の一つとされている。1970年代に公民権運動が盛んになったころからハワイ語の初等・中等教育も盛んになり、例えはハワイ島ヒロでは「ナーヴァヒー校」(Nāwahī School)ができて、ハワイ語で幼稚園から高校まで600人を教育しているような例もある[1]。
音声体系とアルファベット
一般にポリネシアの言語の音声体系はシンプルである。以下のような特徴が一般的。
- 母音は a, e, i, o, u の5種類で、それぞれに長短の区別がある。
- 子音音素の数は少なめで、8 - 11個程度である。
- 音節末に子音が来ない。2重子音は存在しない。母音、子音を V, C とすると、音節は V または CV の形のみ。
ハワイ語も上記特徴にもれない。 表記系においては、サモア語やタヒチ語などと同様、音素とアルファベットがほぼ完全に一対一対応している。 ハワイ語に用いるアルファベット(ka pīʻāpā Hawaiʻi ; カピーッアーパーハワイッイ)は以下の13字[2]。 長母音はマクロン(ハワイ語: kahakō ; カハコー)を使って表す。
これらの音価はおおむね字のとおりだが、アポストロフィに似た文字「ʻ」は、オキナ(ʻokina ; 後述)と呼ばれる声門閉鎖音 [ʔ] である。
長音には必ずアクセントが置かれる。英語のように長さによって母音の音色が変わることはない。
音素の少なさから多くの異音が許されている。たとえば /k/ は前舌母音の前で [t] 音に調音されることがよくあるし、/w/ が [v] に近く発音されることも多い。
ハワイ語は、言語類型論において「摩擦音が1つしかない言語ではその摩擦音は [s] である」という説の反証でもある(ハワイ語唯一の摩擦音は [h] )。
オキナとマクロン
現代ハワイ語正書法では、ラテン文字の他にアクセント符号として、オキナ(声門閉鎖音符号、ハワイ語: ʻokina)とマクロン(長音符号、ハワイ語: kahakō)を付加する。
オキナはハワイ語の表記に用いられるアポストロフィに似た形の字母のこと。子音の一種・声門閉鎖音 [ʔ] を表す文字である。たとえば、「ハワイ」「オアフ」の本来の発音はそれぞれ [ha.ˈvai.ʔi][3]、[o.ˈʔa.hu] (IPA)であるが、これをそれぞれ Hawaiʻi、Oʻahu のように綴る。
ユニコードなどでは正式には「ʻ」(U+02BB)を用いるが、対応していないフォントやウェブブラウザでは正しく表示されないので、シングルクォートの開き「‘」(U+2018)が妥協案。グレイヴ・アクセント「`」 (U+0060) や下が太い引用符を使うこともしばしばある。
マクロンは長母音を現わすので母音の上に置かれて、「ā ē ī ō ū Ā Ē Ī Ō Ū」のように表現する。1821年ごろ、宣教師ハイラム・ビンガム(Hiram Bingham I)などがハワイ語の書き言葉を作った時に、出身地のボストンにこうした文字フォントをリクエストしたが作ってくれず、その後オキナやマクロンがないテキストが横行した。
形態音的特徴
冠詞は ka, ke, nā, he, ʻo の5種類である。
- ke(定冠詞)+ a, e, k, oから始まる単数の普通名詞
- ka(定冠詞)+ h, i, l, m, n, p, u, w, 'から始まる単数の普通名詞
- nā(定冠詞)+複数の普通名詞
- he(不定冠詞)+単数の普通名詞
- ʻo+主格になる固有名詞
つまり上記5種類が出てくれば、その後ろに続く語はほとんどが名詞である。ただし、Keには後ろに動詞が続き、Ke+動詞△△+nei+主語○○の形をとり、現在を表す「○○は△△している」という構文になる場合もある。
ハワイ語の重複語は、重複によって語の意味や品詞が変わるなど文法的な変化がみられるのが特徴。
語全体の重複
- kila(高い地位)→kilakila(威厳のある)
- holo(走る)→holoholo(散歩をする)
- wai(水)→waiwai(裕福な、豊富な)
部分的な重複
- mālama(気を付ける)→mālamalama(知識の光)
- nahele(森林)→nāhelehele(雑草)
基本語順
- ハワイ語の基本語順の大原則は、動詞+主語。
Hula(踊る)+au(わたし)=私は踊る。/ Inu(飲む)+ʻoe(あなた)=貴方は飲む。
- 修飾の語順は、修飾される語+修飾する語
名詞句:lei(レイ)+nani(美しい)=美しいレイ / 動詞句:hula(踊る)+leʻa(楽しく)=楽しく踊る
ハワイ語の語句の例
ハワイ語はフラ、ハワイの音楽、その他ハワイ独特の文化に関してから、学術用語(アア溶岩、パホイホイ溶岩、キプカなど)にまで、世界的によく知られるようになった。
広く知られた語句
- アロハ
- アロハ・オエ - ハワイ王国の歌。
- ウィキウィキ - WikipediaなどのWikiの語源である。
- ウクレレ
- フラ
- ホクレア - 古代のポリネシアで用いられていた木造船。
- ホロホロ - 散歩 [4]
- ロミロミ
- ホ・オポノポノ
- マハロ - ありがとう。
英語の中でもよく使われる語句
ハワイに住む人たちは、英語を使っていてもよくハワイ語の語句を使う。
- ケイキ(Keiki) - 子供。例えば私的道路標識で、"Keiki at Play”「子供の飛び出し注意」
- マカイ(Makai) - 海側、マウカ(Mauka) - 山側。すべて島に住んでいるので、海側にいるか、山側(内陸側)にいるか、いつも意識の中にある。
- オハナ(ʻOhana) - 家族を意味する。ただし広い意味で使われる。
- コクア(Kōkua) - 協力。
- カマアイナ (Kamaʻāina) - ハワイ地元の人(ハワイ州の運転免許証を持っている人)で、地元の人への割引対象。
- ハレ (Hale) - 家、ビルの意味で、ハレ・ホノルルなど。
他、ハワイ諸島全島の島名、およびそれら各島の地名のほとんどはハワイ語である。かつては北西ハワイ諸島の各島にもハワイ語名があった。
ハワイ語の挨拶表現
- Aloha. - こんにちは、さようなら。
- Aloha kakahiaka. - おはよう。
- Aloha awakea. - こんにちは。
- Aloha ahiahi. - こんばんは。
- Maikaʻi. - 元気です。
- Mahalo. - ありがとう。
- Mahalo nui loa. - 本当にありがとう。
- E komo mai. - いらっしゃい、ようこそ。
- Mele Kalikimaka. - メリークリスマス。
- Hauʻoli makahiki hou. - 新年あけましておめでとう。
- Hauʻoli lā hānau. - お誕生日おめでとう。
書籍
- 木村由香 著『まずはこれだけ ハワイ語』 国際語学社 ISBN 978-4-87731-576-4
- 同上 『はじめてのハワイ語』 小学館
- 同上(監修) 『いっそイラストハワイ単語帳』 小学館
- 鳥山親雄 著『誰でもわかるハワイ語の本』 文踊社
関連項目
脚注
- ^ 朝日新聞日曜版 The Asahi Shimbun GLOBE(2014年4月12日):後藤絵里著「E ola ka 'ōlelo Hawai'i. ハワイ語は生き続ける」
- ^ ニューギニアのロトカス語(11文字)、ピラハー語(10文字)などとともに、最も構成字種数の少ない表記系のひとつであるとされる。
- ^ カナで表すなら「ハワイッイ」「ハヴァイッイ」。ただし4拍で発音すること。日本語風に「ッ」で1拍とってはいけない。
- ^ ハワイでホロホロ(楽しいお散歩)