~ならしのの風に乗って~

二人三脚で綴る夫婦の気ままな日記

宮部みゆきさんの『とり残されて』

2014-04-29 07:28:45 | 小説・本
私(おじさん)の読書日記です。

眼の調子(老眼!)は決してよくないのですが、最近は本当にゆっくりながら、寝るときに本を読んでいます。
このところご無沙汰だった宮部みゆきさんの小説を読もうかと、本棚の所に行き、電気も付けずに宮部みゆきさんの文庫本が並んでいる書棚から、一冊取り出しました。

ちょっと闇鍋気分で、何でもいいやと思いながら取り出したのは、『とり残されて』という短編集でした。

私は宮部みゆきさんの小説の中では、『龍は眠る』が一番好きかな。
宮部さんの超能力に関する小説はいいですね。
超能力を持ってしまった悲しさが、なるほどという説得力を持っています。

それから、『蒲生邸事件』のタイムスリップの世界、『ステップファーザー・ステップ』のユーモラスな世界、そして、家内が以前紹介した『本所深川ふしぎ草紙』などの時代物もいいです。(こちら)
面白い小説がいっぱいです。


さて、今回取り出した『とり残されて』は、宮部さんを読み始めた頃、夢中になって読んだ本のひとつです。
短編集なので読みやすいし、これはいいやと早速読み始めました。

この文庫本には短編が7編入っています。

どれも面白いというかちょっと変わった世界を描いています。
中では、最初の短編、本の表題となっている「とり残されて」と、最後の短編「たった一人」が圧巻です。

この2編、どちらも寝ているときに見る”夢”が重要な鍵になっています。


自分が見た夢が別の人の(過去の)事実と一致したら。
逆に言えば、別の人の夢の話を聞いたら、自分の過去にあった不思議の出来事に一致したら。
私はどう思ってどう行動するだろうか...

「とり残されて」は学校の先生と生徒が、「たった一人」は探偵事務所の探偵と依頼人が、夢を介して不思議な繋がりがあったのです。
そして、話は不思議なだけで終わらないで、主人公の未来への意思が語られ、読後に強い余韻を残しています。

宮部みゆきさんの『とり残されて』、なかなか素敵なそして印象的な短編集です。