この春、南タイの小さな町の食堂で遅い夕食をとりながら、なにげなく店で働く中年の女性に「この町に影絵芝居の人形遣いはいますか?」と聞いてみた。すると「有名な人形遣いがいるよ。願掛け成就の儀礼にはひっぱりだこでね。特にこの町では子どもが軍に入隊しないように願掛けをするときは大抵、願いがかなったらこの人形遣いに上演を頼むんだよ」と、「おらが村」自慢のように話してくれた。
タイの日常について勉強不足の私は、「軍隊に入らないために」という意味がすぐにはわからなかった。同行していたタイ人の説明によると、タイの徴兵は「クジ」で決まるのであり、赤を引くと入隊、黒を引くと入隊免除だそうだ。つまり両親は、「黒」を子どもが引くようにと願掛けをするのである。
最近、読み終えた本にタイ人の小説家ラープチャルーンサップの短編集『観光』(古屋美登里訳、早川書房、2007年)があって、その中に「徴兵の日」が所収されている。この小説では徴兵のクジをテーマにし、賄賂によって「金持ち」が「黒」を引くことができるようなシステムの存在についてリアルに描いている。しかし、この話はほんとうにフィクションなんだろうか?インドネシアに長く暮した私にはあながち空想の出来事とは思えないのであるが・・・。
タイの日常について勉強不足の私は、「軍隊に入らないために」という意味がすぐにはわからなかった。同行していたタイ人の説明によると、タイの徴兵は「クジ」で決まるのであり、赤を引くと入隊、黒を引くと入隊免除だそうだ。つまり両親は、「黒」を子どもが引くようにと願掛けをするのである。
最近、読み終えた本にタイ人の小説家ラープチャルーンサップの短編集『観光』(古屋美登里訳、早川書房、2007年)があって、その中に「徴兵の日」が所収されている。この小説では徴兵のクジをテーマにし、賄賂によって「金持ち」が「黒」を引くことができるようなシステムの存在についてリアルに描いている。しかし、この話はほんとうにフィクションなんだろうか?インドネシアに長く暮した私にはあながち空想の出来事とは思えないのであるが・・・。