Pの世界  沖縄・浜松・東京・バリ

もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

バリ舞踊マヌッ・ラワ

2007年05月24日 | CD・DVD・カセット・レコード
 「テープが切れて使えなくなった」とかみさんが私のところに持ってきたのは、今から10数年前にバリで買ったガムラン音楽のカセットである。そりゃ、何度も聞けば壊れるはずである。とうにテープの寿命は過ぎているだろう。
 かみさんが聞いているのは舞踊曲マヌッ・ラワで、水鳥の動きを模したバリ舞踊である。1982年に創作された作品で、当時としてはバリ舞踊の伝統的な動きに加えて、西ジャワの「孔雀の踊り」や西洋のバレーの動きを取り入れ、革新的な振り付けを加えたとてつもなく新しい創作作品だった。踊り手の衣装も当時としては斬新だった。そして大作曲家ブラタ氏の手による「ノリ」のいい音楽も手伝って、バリで大ブームとなったのである。私の記憶が間違っていなければ、《走れコータロー》《泳げたいやきくん》《ダンゴ三兄弟》のヒットに匹敵するようなブームで、私が1983年の春にバリに行ったとき、どこもかしこも、この作品で溢れていた。「犬も歩けばマヌッ・ラワにあたる」状態である。
 現在、わが大学のガムラングループでもこの曲を習得中である。というか無茶苦茶時代遅れの作品を練習しているわけで、「何もナツメロをいまさらやらなくてもいいのに」とバリの友人に言われるかもしれない。でもこうして日本人が流行遅れの曲をしっかり伝承していれば、いずれ私たちが「バリで忘れさられた作品」の伝承者になっているかもしれないのだ。