院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

音楽産業の隆盛・JASRACの力

2013-04-14 00:01:42 | 音楽
 昨年はわが国の音楽産業の収入が世界一になったそうだ。報道ではCDの売り上げが伸びたからだと説明されていたが、実態は違うだろう。音楽をインターネットからダウンロードする人が飛躍的に増えたのに、いまさらCDの需要が伸びるはずがない。

 音楽産業の収入が世界一になったのは、JASRAC(日本音楽著作権協会)が利権の網をインターネットにかけることに成功したからに他ならない。

 音楽という著作物を利用して商売をしている人に、著作権料を請求するのは当然である。音楽で商売をしている人とは、大は放送局や演奏会、小はカラオケボックスまである。だいぶ前に零細カラオケ業者が著作権料を払わないことがあった。なんとJASRACはそれを告発し、検察が零細カラオケ業者に店に立ち入ってカラオケの機械を使用禁止にした。

 客に酒食を出すことは音楽とは関係がないので、検察はテーブルや椅子には手を付けず、カラオケの機械だけに漁網のような網をかけて封印した。使用禁止の命令を出すだけでなく、実際に網をかけてテレビで報道させたのは、見せしめにしたかったからだ。検察を誘導したのはJASRACである。このようにしてJASRACは、多い時には年に3000件もの「著作権違反」を摘発した。

 問題なのはJASRACのシェアが99%で、ほとんど独占企業であることだ。独占だから著作権料を自由に決めることができる。そして、案の定、著作権料が法外に高い。カラオケでまれに歌われるような曲を一曲作っただけで、その曲の作曲家と作詞家は一生食べていける。

 だから、作曲家も作詞家もJASRACに文句を言わない。でも、JASRACの経理状態を詳細に調べれば、作曲家、作詞家の取り分とは別にJASRACが相当にピンハネしている可能性がある。こうした活動に法的な根拠を与え、理論武装しているのはJASRACに天下った文科省官僚たちである。

 JASRACの強欲ぶりはディズニーのミッキーマウス商法と似ている。ディズニーのキャラクターは、とっくに著作権が切れた「古典」であるにもかかわらず、ロビー活動で「著作権延長法」をむりやり成立させて、未だに著作権を主張している。

 そればかりか、ディズニー社はキャラクターに手を加えることを許していない。つまり、著作権料を支払っても、無断でミッキーに帽子をかぶせるなどの改変をしてはいけないのだ。こうしたディズニー社の姿勢は、アメリカで多くの批判を浴びている。

 わが国でのJASRAC批判はまだ一部にとどまり、大多数の国民が知らないことだから、ささやかながら私がここで批判しておく。著作権保護に名を借りて、「文化」で私腹を肥やすことは許されるはずがない。