院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

「イスラム国」の人質事件に寄せて

2015-01-31 18:10:24 | マスコミ
 40年ほど前(筒井康隆さんだったかな?)の小説に、実際の戦争をテレビで実況中継する話が出てきました。そのときは強烈なブラックユーモアでした。

 現在、「イスラム国」の人質が殺されるかどうかというテレビ放送を、茶の間でご飯を食べながら見ている私は、いったい何なんだろうかと考えてしまいます。(自分は安全なところにいるただのヤジ馬ですね。)

ポイントカード商法

2015-01-31 05:24:22 | 経済

(グリーンスタンプ、アメリカ版。Ju-co net より引用。)

 すべての店がポイントカードを採用すると差別化ができず、自分の店だけに客に来てもらうことはできません。店側のメリットは客の個人情報と買い物傾向の把握だけになります。(それだけでも十分店のメリットになります。)

 むかし上の写真のようなグリーンスタンプというのがありました。(いまでもあります。)スタンプでは顧客情報が回収できません。だから採用する店が激減したのでしょう。

 スタンプの会社はスタンプを店に売ります。会社はその収入を全部景品にして客に還元することになっています。では、スタンプ会社はどのようにして儲けるのでしょうか?客にはスタンプを捨てたり死蔵したりする人が一定割合でいます。その分だけがスタンプ会社の収益となります。ですから、すべての客がスタンプを使い切ったらスタンプ会社は商売にならないわけですね。


※今日、気にとまった短歌

  野球部に聴かせるためじゃないけれど暗い校舎でフルートを吹く (栃木県)河野麻沙希

タクシードライバーとの雑談の愉しみ

2015-01-30 05:00:15 | 生活

(ニューヨークのイエローキャブ。ウィキペディア「タクシー」より引用。)

 タクシーの運ちゃんとよく話をします。いくら寒くても豊橋には雪が積もらない話から、名古屋の夏は暑いという話になります。

 そのまま、ルームクーラー(エアコンではなくただ部屋を冷やすだけの装置)を街で初めて入れたのは喫茶店ではなくて床屋だったと私の話は続きます。家庭にクーラーなぞなかったからみな床屋に涼みに行くので、隣り町の床屋もクーラーを入れざるをえなくなった。当時のクーラーは水冷式だった。水冷式ならいまでも使われている。ほら、屋上にタンクのようなものがいくつも置いてあるビルがあるでしょう。あれが水冷式の室外機で、ビルの近くを通ったら雨でもないのに水滴が降ってきた経験はありませんか?

 運ちゃんは古老のたわごとのような私の話を興味津々で聴いてくれるのです。


※今日、気にとまった短歌

  妻と行く年に一度の小旅行きまっていつも子供の赴任地 (八王子市)齋藤昭弘

娯楽としての「説法」

2015-01-29 05:31:25 | 歴史
    
(イグナチオ・デ・ロヨラの肖像画。ウィキペディア「イエズス会」より引用。)

 戦国時代に渡来した宣教師がもっとも困ったのは、仏教のことをよく知らないと庶民から相手にされなかったことです。(だから宣教師はまず仏教を学ばなくてはなりませんでした。)

 当時、字が読めない庶民でさえ仏教に精通していました。庶民は辻説法によって仏教の知識を得ました。京の街ではそこここで僧侶による説法が行われ、いつも人垣ができていたといいます。

 ここからは私の空想ですが、庶民にとって辻説法とは、近代の浪曲や講談のような娯楽だったのではないでしょうか?ときあたかも戦乱の世で、お釈迦さまの救いを説く説法に庶民はぐいぐいと引き込まれたと想像されます。なかには名調子やイケメンで人気を博した僧侶がいたかもしれませんね。


※今日、気にとまった短歌

  書き上げし辞表を胸に出社せしこともあったね明日は定年 (さいたま市)石原正規

貧乏人が喜ぶ本

2015-01-28 05:10:49 | 経済
    (みすず書房刊。)

 上の本は6,000円近くするのによく売れています。しかも学術書の一種です。(私は未読)。

 本書は要するに過去の先進国の経済を通覧して、けっきょく汗水たらして働く労働者よりも資本が生む利益のほうが大きく、金持ちと貧乏人の格差は拡大していくという結論を導いているのだそうです。

 この本が世界的によく売れているわけは、人口の多数を占める貧乏人が買うからだと指摘した人がいます。まったく鋭い指摘だと思います。自分が貧乏なのは努力が足りないからではなく、構造的なものだと貧乏人は納得することができるからです。

(売れるためには多数者の興味を引くことが重要だと私は言っているだけで、内容を論評しているわけではありません。)


※今日、気にとまった短歌

  祖父と行くハワイ旅行は行けずじまいチケットながめ涙を流す (文京区立第九中学校)住吉立成

好き嫌いは本能だけで決まるのでしょうか?

2015-01-27 05:18:53 | 心理

(ラフレシアの花。ウィキペディア「ラフレシア」より引用。)

 私たち人間は腐った匂いを悪臭と感じます。そのため私たちは腐った食べ物を食べて生命の危機にさらされることから防御されています。腐臭を悪臭と感じるのは本能なのでしょう。

 一方、ジャスミンなどの花を美しいと感じ香りがよいと思うのは、これも本能でしょうか?私は文化的に学習された結果ではないかと考えています。ジャスミンは元来食糧でもなく、人間の生存に必ずしも必要ではないからです。

 インドールという芳香族の物質は糞臭がします。(じっさい大便にはインドールが含まれています。)そして、なんとジャスミンのいい香りの本体もインドールなのです。濃度が違うだけです。

 写真のようなラフレシアという世界最大の花があります。私たちはこの花を美しいと感じるでしょうか?少なくともこの花は腐臭を発します。そのため、ハエがたかって花粉を運びます。

 臭いラフレシアを汚いと感じるのは本能からです。しかしながら、ジャスミンの花や香りを美しいと感じるのは本能ではなく、文化なのではないでしょうか


※今日、気にとまった短歌

  研修も旅行と思ふ岐阜羽島新卒駆ける春の夜の道 (埼玉県)中野祐輔

漫画「ワカコ酒」

2015-01-26 06:29:32 | 漫画
    (徳間書店刊。)

 このごろの若い人たちは、私たちのむかしのような酒のガブ呑みをしませんね。銘柄にこだわって多種類を少量ずつ呑みます。

 上の漫画の主人公ワカコさん26歳は、独酌女子です。けっしてグルメではないけれど、酒の肴を十二分に味わって、しんみりと独り酒をするのが趣味。

 これまでなかったジャンルの漫画です。しかも面白い。面白いだけでなく、ときに私たち年配者がドキッとするような人生の深淵をワカコさんは覗きます。

 最近、漫画界には新しい才能が次々と現れて、漫画ジジイは嬉しいです。映画界はいつまでたっても詰まりませんな。これは、映画という表現形式の限界ではないかと、つねづね考えているところです。


※今日、気にとまった短歌

  一人だけ制服の違う君だけど写真の中に確かにいたよ (東根市)岡田芳浩

細胞内には流れがある

2015-01-25 07:53:27 | 生物

(iPS細胞。京都大学 iPS 細胞研究所CiRAより引用。)

 生命体はおびただしい数の酵素により、細胞内でいろんな化学反応がひきおこされて生命活動を営んでいます。ここまでは漠然と知っていました。

 原形質(細胞内液)はゆっくり流れているのだそうです。これを「原形質流動」といい、そんな流れがあるとは学校で習いませんでした。(この仕組みがはっきりしたのは1970年代だから私が習わなくても当然ですが。)

 この流れがなんのためにあるのかというと、酵素が物質と出会う機会を増やして化学反応を促進させるためだそうです。実験で反応を促進させるためにビーカーを掻きまわしたりしますよね。同様のことが「原形質流動」によって行われているわけですね。さいきん知って驚きました。


※今日、気にとまった短歌

  旅行中新幹線に2人きり変わる景色は同じ窓から (松浦市立志佐中学校)楠田修大

カードマネーの書き換え

2015-01-24 05:26:10 | コンピュータ

(B-CASカード。ウィキペディア「B-CAS」より引用。)

 有料テレビ専用のカードマネー(B-CASカード)が不正に改ざんされ、マスプロ電工の社員が逮捕されました。逮捕のきっかけは犯人の仲間が、改ざん用プログラムを販売したからだそうです。ということは、プログラムの販売なぞせずに自分たちだけで使用していれば、不正が明るみに出ることはありませんでした。

 スイカやマナカなど交通機関用のカードマネーは、いまや駅周辺の商店やコンビニでも使用できます。これらのカードには個人情報はいっさい書きこまれません。ですから、もし私が書き換え技術をもっていたら、必ず書き換えをやるでしょう。

 もう多くの人々が不正な書き換え法を知っていて、すでに何億円分もが使用されてしまったはずです。それが明るみに出て大問題になるのは、もう時間の問題でしょう。

 スイカやマナカの会社は性善説にたった、とてもよい会社だと私は思います。


※今日、気にとまった短歌

  女子部屋へ行けず残って大富豪革命起こせぬ5人の男子 (川崎市)かきあげ団員




むかしの年末ライブ

2015-01-23 05:32:47 | 音楽

(ライブの群集。martfis75 著作。GATAG フリー画像・写真素材集3.0 より引用。)

 福山雅治さんや桑田佳佑さんがライブ会場から紅白歌合戦に出演することからもわかるように、いまや年越しライブが盛んです。第九を初めとしてクラシックでも年越しライブが行われています。

 私が幼いころは、大晦日は老いも若きも忙しくて外出どころではありませんでした。私が高校生のころ、ようやく年越しライブが行われるようになったと記憶します。昭和40年代に入ったばかりの高校2年生のときだったでしょうか、原信夫とシャープスアンドフラッツの年越しコンサートに行きました。

 当時、紅白歌合戦のバックバンドは紅組白組別々でした。その年は紅組のバックバンドが原信夫とシャープスアンドフラッツで、白組のバックバンドは確か小野満とスイングビーバーズだったと思います。(現在では三原綱木とザ・ニューブリードだけで、しかもクチパクバンドです。)

 これらのバンドはれっきとしたジャズのビッグバンドでしたから、自分たちの演奏を聴かせるのが本来で、歌謡曲の伴奏は本業ではありませんでした。

 あれは新宿の厚生年金会館だったでしょうか?元旦の午前0時過ぎに原信夫ら一行が会場に到着し、第一声「ただいま紅白から戻りました。これからが僕たちの本番です!」と聴衆を持ち上げて沸かせました。50年前のことです。

 こんどの土曜、そのとき一緒に年越しコンサートに行った友人と東京で一献酌み交わす予定です。


※今日、気にとまった短歌

  新築の塀を汚せる落書きに誤字のあるのはなほ許せない (桑名市)伊藤石英

大晦日の第九

2015-01-22 05:31:49 | 音楽

(第九演奏会。国技館すみだ第九を歌う会のHPより引用。)

 ベートーベンの「第九」は、俳句の世界では大晦日の季語として認められつつあります。

 私は「日本の年越しをなぜ西洋クラシック音楽で行うのだろうか?」と前から疑問に思っていました。

 指揮者の佐渡裕氏によれば、年末の第九演奏会は貧乏なオーケストラの大きな収入源になっているといいます。めったにない大入りが見込めるからです。

 なぜ大入りになるかというと、アマチュア合唱団の家族や友人が大挙して見に来るからです。それでオーケストラが潤うならまあいいか、と私は思ったのでした。


※今日、気にとまった短歌

  酔うほどに口三味線で都都逸を唸りし江戸っ子消えた平成 (東京都)大室英敏

天才しか要らない世界

2015-01-21 05:05:24 | 囲碁将棋
   (講談社文庫。)

 上の本は、何十年に一人の将棋の逸材といわれた中学生が、華やかに大人たちをバタバタ倒していたのに、奨励会を制限年齢までに卒業できず(そのためプロになれず)、将棋以外に取り柄のない人間になってしまう物語です。

 もっともその人物は決していじけることなく、一定の矜持をもって生きていくところが救いです。このノンフィクションは文章が稚拙なので読みにくかったのですが、羽生などの実在の棋士が登場するのでなんとか読めました。

 この本を読んでいて、オーバードクターを連想しました。オーバードクターとは博士号をもっていながら就職できず、苦しい生活を送っている人たちです。現在、わが国に2万人いるとされています。

 天才しか要らない世界に、うかうかと入っていくべきではありませんね。


※今日、気にとまった短歌

  我が握手欲しけりゃCD買ってきなプチ売春に見えるアイドル (兵庫県)佐野武

人間の異常な食事

2015-01-20 05:25:49 | 生物

(バクの食事。上野動物園のHPより引用。)

 四川料理の激辛マーボ豆腐が好きな人がいます。あのように辛いものを普通の哺乳動物は食べられるのでしょうか?たぶん辛すぎて食べられないでしょう。

 いろんな面で人類は他の動物のように自然ではありません。火が通った肉や熱い飲み物は自然界には存在しません。自然界に存在しない食べ物こそ「おいしい」と感じるのは、それだけ人類がおかしく進化してしまった証拠ではないでしょうか?


※今日、気にとまった短歌

  若者は言葉遊びに敏感でひとりの事をBOTTIと記す (名古屋市)川面得英

秀吉のキリシタン弾圧

2015-01-19 04:32:32 | 歴史

(マリア地蔵。ウィキペディア「隠れキリシタン」より引用。)

 秀吉は初めキリスト教を保護しました。それが一転、禁止にまわったのは何故でしょうか?

 九州のキリシタン大名が寺社を破壊し始めたことや、ポルトガル商人が日本人を奴隷として海外に売ったことなどが原因とされています。一神教の不寛容さが指摘されることもあります。

 キリスト教が身分制度を否定しているから禁止された、という小中学校で教わった単純な図式は必ずしも正解ではなかったわけですね。どうしてそのようなことが学校で教えられたのでしょうか?

 信長と一向一揆の関係を、秀吉が見ていたことも影響しているかもしれません。ほんとうに歴史は一筋縄ではいきませんね。


※今日、気にとまった短歌

  梅雨晴れのまひるま汗は石走るたぎりて落つるこの禿頭を (神奈川県)中瀬真典

「踏み絵」の役割

2015-01-18 05:46:44 | 歴史

(踏み絵。ウィキペディア「踏み絵」より引用。)

 俳句とは関係がなさそうに見えますが「踏絵」は春の季語です。毎年、正月4日から長崎奉行所などが人々に踏み絵を踏ませるのが恒例だったからです。

 私は踏み絵を踏めないとキリシタンとみなされ、拷問を受けたり処刑されたりするものだとばかり思っていましたが、じつはそうでもないようです。

 つまり、たとえキリシタンであっても彼らを放免するために、踏み絵を踏みさえすれば目こぼしをする目的でも絵踏みは行われていたらしいのです。史実の意味にはつねに二面性があるので注意しなくてはなりませんね。


※今日、気にとまった短歌

  赤い顔淡し産衣の生まれ子に未来があると強くは言はず (京都府)松岡九十九