院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

ミズバショウのイメージ

2013-04-21 00:12:44 | マスコミ
 先日、中日新聞(愛知県版)が写真入りで、飛騨高山でミズバショウが咲いたと報告していた。「純白」「清楚」との措辞があった。

 東京に住んでいた十代のころにも、新聞が尾瀬のミズバショウを掲載し、「可憐」「優美」と讃えていた。

 その後、乗鞍で実際にミズバショウを見て驚いた。これまでの報道から勝手に子どもの手のひらくらいの大きさだろうと思っていたが、20,30センチもある。「清楚」どころかグロテスクだと思った。写真でしか知らなかったから、大きさまでは分からなかったのだ。

 ミズバショウは白いが、太い芯がある形状の不埒さがベゴニアに似て上品とはいえない。

 多くの人が花は美しいと言うけれども、すべての花が美しいわけではない。美しいとされているユリも、私には香りがきつく触ると花粉が着いて、うっとうしく感じる。メシベには粘液が付いている。よくよく見れば細かい毛が生えていて細い管が無数にあり、不気味である。

 考えてみれば、生命とはすべてそうしたもので、蝶にだって蜘蛛と類似の気持ち悪さがある。

 田中喜直作曲の「夏の思い出」は尾瀬を全国的に有名にした歌で、この歌によって尾瀬沼が破壊されるほどに人が集まった。その歌では「夢見て咲いているミズバショウ」と歌われている。

 この歌がミズバショウのイメージを決定付けたのだろう。新聞はこの60年前のイメージを未だに引きずっているわけで、視点に変化のないこと呆れるばかりである。