院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

家宅捜索すなわち「ガサ入れ」の意味

2017-10-31 00:01:20 | 社会

(「ガサ入れ」。産経新聞ウェストより引用。土屋宏剛氏撮影。)

 家宅捜索いわゆる「ガサ入れ」に意味はあるのだろうか?私の4畳半の書斎にある書類でさえ、きちんと整理分類することは困難である。

 「ガサ入れ」は何人も来てトラックいっぱいに荷物を運んでいく。あそこから何かを探し出すことはできない。持っていった荷物は滅茶苦茶になって帰ってくるらしい。

 つまり「ガサ入れ」とは証拠品の発見よりも家の中を破壊することに眼目があるのだ。「ガサ入れ」をするぞというのは、家の中を無茶苦茶にするぞと言うのと同義で、国家権力による脅しだと私は見ている。(むかし、ある病院で刑事に「ガサ入れ」という手もあるんですよと言われた。あぁ、このセリフはこういうときに使うのかと納得した覚えがある。)

 ※今日の短歌
   土手を崩し氷雨を降らせ風吹かせやっと終えたり今日の歯科医師
   栗原良子(東京都)



脳科学の胡散臭さ

2017-10-30 00:21:43 | 科学

(茂木健次郎さん。ウィキペディアより引用。)


(中野信子さん。bikuchan より引用。)

 上のお二方は脳科学者として有名である。脳科学の定義は一応あるのだが、彼らが発言している事柄は脳科学と言えるのだろうか?疑似科学ではないか?

 二人の発言からは「偏桃体」「前頭前野」「尾状核」程度しか出てこない。これだけで、すべての脳機能を説明しているのだが、脳はそんなに単純ではない。彼らはまるでSF作家のように想像力が旺盛である。

 だいたい二人とも最近、実験をしているのだろうか?脳の解剖、生理機能、神経伝達物質の研究だ。それをやっていないと知識はまたたくまに古くなる。

 二人とも東大出の中でもまれな大秀才だから、常人が及ばない芸当ができるのだろうか?

 ※今日の狂歌
   当番兵よ便器掃除は完璧か、さうぬかすなら舐めてみせろや
   中里ひとし(愛知県)

日本橋の上の高架は邪魔か?

2017-10-29 11:53:15 | 環境

(今の日本橋。ウィキペディアより引用。)

 お江戸日本橋の上の高架が邪魔だから取り除けという意見があるが本気か!というまっとうな記事が昨日の毎日新聞にあった。

 江戸期と比べて日本橋界隈はまったく変わってしまっている。もとあった老舗はすでにビル化され、日本橋自体が木製からコンクリ製になっている。高架だけではなく日本橋そのものが別物になっているのだ。高架だけ取り除いても木を見て森を見ずになってしまう。橋が木製だった時代には何10回も流されたらしい。

 そもそも前の東京オリンピックのときに東京の高架化は歓呼で迎えられた。そこに人々は未来への息吹きを感じていた。それが今ごろになって邪魔だとは何たる言いぐさかというわけである。価値観は時代とともに変わるのだ。

 高架が邪魔だからと地下化する案もあるらしい。だが、地下化すると5,000億円以上の費用がかかるらしい。いっときの偏狭なノスタルジアのためには大きすぎる金額だ。

 毎日新聞の記者は、もっと大きな目で見よと言っている。新聞記者にもマトモな人がいるものだと久々に膝を叩いた。

 ※今日の狂歌
   じいさんは知らん顔して触りたりキャバクラ嬢の太ももの裏
   中里ひとし(愛知県)

東京オリンピックで外国人観光客は来ない

2017-10-29 01:21:53 | マスコミ

(千歳駅西口ホテル建設現場。Real Economy より引用。)

 1000日後の東京オリンピックを目当てに、東京はホテル建設のラッシュだと報道は言う。だが、その報道は間違っている。

 わずか20日間のオリンピック期間のために巨大建設を行うだろうか?ホテル経営者はそんなにバカではない。もともと東京にはホテルが不足していた。だから建てるのである。

 自分自身の海外旅行を考えたとき、わざわざオリンピック期間中を選んで、その国に行くだろうか?来たる東京オリンピックでも外国人観光客はさほど増えないと私は見ている。

 ホテル経営者と違って、マスコミにはバカが揃っているなぁ。

 ※今日の狂歌
   ちとキザな教師なりけり汝が若きころより俺のほうが出来るぜ
   中里ひとし(愛知県)

医療費削減が意味するもの

2017-10-28 00:03:10 | 経済

(むかしの看護師。ウィキペディアより引用。)

 年間約40兆円かかっている医療費を1兆円減らそうという案が財務省にある。医者は儲けすぎだから削減はいいことだと考える人が多いかもしれない。だが、根本的な間違いがそこにはある。

 医者は収入から看護師やレントゲン技師を雇う。医者の収入が減ると、看護師やレントゲン技師の収入も減ることになる。さらに、レントゲン装置や医療器具が買えなくなる。または質が落ちる。その結果、それらを作る人たちも不景気になる。

 さらに言えば、医療と直接関係がない分野、すなわち建築屋や事務員、果ては掃除のおばさんの収入も減るか失業する。こうして医療費削減の影響は医療分野に留まらなくなるのだ。

 一か所をいじると他の思いもよらない場所に影響が出てくる。ここが経済政策の難しいところである。

 ※今日の短歌
    山荘は吹奏楽部の合宿か草越えてくる<クワイ川マーチ>
    三井修(塔)

東大出は自分が東大出であることを忘れない

2017-10-27 00:48:24 | 教育

(東大赤門。ウィキペディアより引用。)

 東大出は自分が東大出であることを日も夜も忘れない。暮夜思い出してにんまりとする。
 
 私は東大に入れなかったが、有名高校出身なので辺りに東大出がごろごろいる。東大出にも一流と末流があって、一流は40年以上たったいま、かなりの地位についている。末流はそうでもない。

 東大の授業は進みかたが早くて、末流は付いていくのが大変らしい。目的が東大入学で、やっと受かった学生には過酷だそうだ。東大入学が目的化している高校があるが、そこの出身者は東大の底辺を構成していることだろう。

 大学はともかくとして、勝手に事業を始めて成功している者もいる。私はこういう奴が一番好きだ。学歴なぞには目もくれないのだ。

 では自分を顧みてどうか?東大には入れなかったけれども、そこそこの人生だったのではないか?そうとでも考えなければ、とてもじゃないがやって来られなかった。

 ※今日の短歌
    「勢力を強めながら」と予報士のフリルブラウス無風にそよぐ
    たえなかすず(京都府)

頭の良さは遺伝する

2017-10-26 00:02:06 | 教育

(受験風景。毎日新聞より引用。)

 頭の良さ(知能、学校の成績)は遺伝するようである。頭の良さを「上中下」に分けると、私の友人には「上」が多いが、その子弟も「上」ばかりである。

 私は父母がいずれも「中」だったが、兄弟のなかで私だけ偶然「上」だった。しかしながら、妻も「上」であるにもかかわらず、息子も娘も「中」である。

 こういう統計は一部の実例だけを見ても正確なことは分からない。だが、壮大な実例がある。ひとつは筑波研究学園都市である。ここの研究所に赴任した友人は多い。みな「上」の中でも「特上」だった。

 しばらくして異常事態が起こった。茨城県の筑波村にむかしからあった名もない高校が突然、東大合格者数で頭角を表わし始めたのである。

 実例はまだある。愛知県の岡崎市に自然科学研究機構ができたときだ。日本中の頭脳が岡崎市に集まった。結果、県立岡崎高校が名古屋の超有名高校を抜いて東大合格者数一番に躍り出た。愛知県で、なんと巨大都市名古屋を抜いてしまったのだ。

 むろん環境もあるだろう。「上」の親たちは子弟の教育に余念がないと思われる。だが、世の中には「英才教育」というのがある。「英才教育」を受けた子は小学生の間は成績が良い。だが、高校生になると「上」の子にどんどん追い抜かれていくのだ。可哀そうである。

 まったく残念なことだが、どう考えても頭の良さは遺伝するとしか思えないのである。

 ※今日の短歌
    「おとうちゃん」「ナンダ?」「何でもない」後の微苦笑夫は在さず
    松本ちよこ(ぬはり)

スポーツニュースはニュースではない

2017-10-25 06:16:06 | スポーツ

(高校野球。ウィキペディアより引用。)

 テレビでは一般のニュースの後、必ずスポーツニュースを放送する。一般のニュースが世界情勢を論じるのに、スポーツニュースは何の情報ももたらさない。広島が勝ってもDeNAが勝っても世の趨勢に影響を与えない。

 だから、スポーツニュースはうるさいだけだ。でもスポーツニュースが好きな人もいるだろうから、それらは別に放送してほしい。

 ほんとに進歩がないテレビニュースである。

 ※今日の短歌
    たのしみはとぼしきままに人集め酒飲め物をくへといふ時
    高野公彦(コスモス)

「腰べん」をあなどるなかれ

2017-10-25 00:00:34 | 文化

(日炭高松炭鉱。西日本新聞フォトライブラリーより引用。)

 「腰べん」とは工員を指す侮蔑用語だった。腰に弁当をぶらさげて出勤したからである。

 20年少し前、私は名古屋から豊橋まで通勤しなくてはならなくなった。遠いので閉口した。息子や娘がまだ中学高校の時分だったが、転校は避けたかった。

 親友の父親にそのことをコボした。そうしたら父君は「君さえ頑張れば、すべて丸くおさまる」と言った。私は、なるほどと思った。依頼、文句も言わず始発のバスで通勤を始めた。冬はまだ暗いうちに家を出なくてはならなかった。

 始発のバスに乗って仰天した。そのバスはすでに超満員なのだった。同乗者は「腰べん」ばかり。彼らはこんな時間からもう出勤しているのだ。自分の甘さを思い知った。

 こうした生活が2年間続いた。「腰べん」をあなどってはならないと、つくづく思った2年間だった。

 ※今日の俳句(秋)
    台風禍自転車の人出できたる

テレビドラマが好きじゃない

2017-10-24 01:03:39 | 芸能

(外科医大門未知子。tv-asahi より引用。)

 テレビドラマが嫌いだ。とくにシリアスなやつが。

 シリアスなドラマには人生がある。視聴者は否応なくその人生を追体験させられる。現実の人生が楽でないのにもかかわらず。

 実際の人生以外に、ドラマでまで人生を生きさせられるのは、たまらない。ああいうドラマを娯楽としている人たちの気持ちが分からない。

 その点「ドクターX」はいい。出てくるのは善玉と悪玉だけで、そこに人生はない。人生がないドラマは娯楽として楽しむことができる。

 ※今日の俳句(秋)
    荘園の遺跡の野山錦なる

古来からない食物は有毒である

2017-10-23 01:52:16 | 食べ物

おこめ広場のHPより引用。)

 むかし(縄文以前)からなかった食物は有毒である。

 まず白米。白米はおいしいが、ビタミンなどが不足で、わざわざ玄米を食べている人もいるほどだ。

 次に砂糖。むかしは甘味は果実や大根(てんさい)から摂るしかなかった。それがサトウキビから大量に獲れるようになった。しかしながら、大量の砂糖は糖尿病や虫歯のもとになる。

 さいごは塩である。食物から薄い塩分を摂っているうちはよかった。だが塩田が発明されて、大量の塩を摂るようになると、高血圧などになって生命を縮めた。塩漬けによって腐敗を防げるようになったが、大量の塩分を摂ることになり、人間は不健康になった。

 原始時代から食べている食物でなければ、みな有毒と考えていいだろう。

 ※今日の俳句(秋)
    末枯の葉末が雨に濡るるかな

有効求人倍率1以上はめでたいか?

2017-10-22 00:00:03 | 経済

(欧州連合体の失業率。ウィキペディアより引用。)

 すべての都道府県で有効求人倍率が1を超えたというが、めでたいようでめでたくない。

 GDP以上に求人があるということは、一人の分け前が減るということである。タクシーのように客が増えたわけではないのに求人が多いのは、すぐにやめてしまう運転手が多い証拠である。

 職があってもワーキングプアが増えるだけである。働く意欲がない者は、もともと統計に乗らない。雇用のミスマッチがあっても勤労者は我慢してしまうのかもしれない。結果、企業内失業が生まれる。
 
 その他、就業意欲の減退など完全雇用の副作用は、まだいろいろあるらしいが、筆者の能力を超えている。完全雇用は必ずしもめでたいばかりではないと言うにとどめる。

(一言で言ってしまえば、失業のない世の中は緊張感を欠き、国民がタルんでしまうのだ。2%程度の失業率はあったほうが、国民は勤勉になりやすいという。)

 ※今日の俳句(秋)
    秋雨や十二で逝きし妹(いも)の顔

精神障害者の美術展

2017-10-21 06:37:54 | 文化

(障害者美術展のポスター。東村山福祉学園のHPより引用。)

 「精神障害者の美術展」というのがある。仲間内で「精神障害者の」と枕詞つけるのはなぜかという議論があった。なぜたんに「美術展」ではいけないのかというわけだ。「精神障害者の」と付けると、なにか特別のことにように感じられる。精神障害者差別のようにも感じられる。

 じつは、そんなことではないのだ。「精神者障害の」と付けないと客が来ないからだ。別に精神障害者を差別しているからではない。プリンツホルンが精神障害者の「作品」を収集したのとは時代が違うのである。

 国立博物館でさえ赤字である。だから国立博物館は、ときどき「エジプト展」や「メソポタミア展」など俗受けする展覧会を開いて赤字を埋めようとしている。

 まして素人の展覧会に「精神障害者の」と冠するのは当たり前と言わなくてはならない。

 ※今日の俳句(秋)
    秋深しうなれる自動販売機


居酒屋の2代目

2017-10-21 00:10:08 | 社会

(吉田類さん。NHKプロモーションより引用。)

 吉田類の「酒場放浪記」を見ていると、居酒屋の2代目が店を継ぐことが多い。家業を継ぐ息子は、たいていそこそこの大学を卒業している。そして大都市で就職して、何年かすると古里へ帰って父親の居酒屋を継ぐのだ。

 初代で新規に居酒屋を開店するのは大変である。その点、父親がすでにレールを敷いてある居酒屋は継ぐのに困難は少ない。居酒屋を継ぐのなら、息子はなんのために大都市の大企業に就職したのだろうか?それ以前に、なんのために大学まで出たのだろうか?

 たぶん、それがカッコよかったからだろう。だが、やがてその道で大成するのは難しいと気づく。しがないサラリーマンを続けるより、父親の居酒屋を継いだほうが収入も多いしノウハウもある。こうして息子は脱サラして居酒屋の親父になろうと決めるのだろう。

 安易と言えば安易である。継ぐべき店をもっていることに羨ましささえ感じる。でも、息子にとっては一大決心だっただろう。悩んだに違いない。「息子よ頑張ってくれ」と思いながら、「酒場放浪記」を見ている私である。

 ※今日の俳句(秋)
    栗羊羹持って来たよとにこやかに

なかった昔には戻せない!

2017-10-20 00:03:17 | 歴史

(日本の農業。hatena-blog より引用。)

 「なかった昔には戻せない!」という言葉は山本夏彦翁が言った名言である。

 金属の発明で武器が作れるようになったが、金属は鍋釜にも必要だからなくせない。蒸気機関も内燃機関もなくせない。とうぜん原子爆弾もなくせない。核禁止条約を結んでもダメだというわけだ。

 これら必要なようで害をなす発明を遡ると、農業の発明にまでたどり着く。「帰農」といい「里山主義」といい、あたかも農業に立ち戻るのが理想のように言われるけれども、農業が発明されてから人類は堕落した。

 農業は定住を生んだ。大勢の人が定住して富の偏在が起こった。それらを奪い合った。チームで戦争をするようになった。農業が発明されるまで何10万年間もなかったことだ。

 こうして農業の発明は、現在の核技術や人工衛星にまで連なっている。「なかった昔には戻せない!」とは、こういうことである。

 ※今日の俳句(秋)
    夜の雨の続く晩秋真ただ中